犬の耳が汚い・臭い・痒い。もしかして外耳炎?

川崎市中原区の飼い主の皆様、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

愛犬の頭を撫でたり、顔を近づけたりした時に、不意に耳が臭いと感じた事はありませんか?
耳をしきりに掻いたり擦ったり、頭をよく振ったりしていませんか?
それは外耳炎のサインかもしれません。

今回は、犬の耳が汚れている、臭い、痒がっているなどの外耳炎の症状や治療、自宅でのケアを紹介します。

目次

1.外耳炎にどうしてなるの?

耳は外側から耳介(じかい)、外耳(がいじ)、鼓膜(こまく)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)に分かれていて、耳介から鼓膜までの外耳道という所に炎症が起きている状態を外耳炎と言います。

耳垢は耳の中の分泌物と新陳代謝で剥がれ落ちた角質が混ざり合ってできます。

健康な耳介では耳垢を外に運び出すため、大量の耳垢がたまってしまうことはありません。

しかし、炎症が起きると正常な働きが出来なくなるので、耳垢がたまっていきます。

では、どうして炎症が起きるのでしょうか?

 (1)耳ダニ(ミミヒゼンダニ)

耳に寄生するダニ(ミミヒゼンダニ)です。

非常に強い痒みを引き起こし、黒い耳垢が大量にみられます。

(2) アレルギー

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを持っている犬は皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌や真菌の感染が起こりやすくなります。

(3) 異物

耳の中に異物が入ってしまった場合にも外耳炎が起こることがあります。 

散歩中に草むらに入った時に植物の種子などが耳に入ってしまい、刺激になって外耳炎を起こします。 

シャンプー後に水が耳の中に残ってしまい、湿度が上がり細菌や真菌が増加したり、残った水が刺激となって炎症を引き起こすこともあります。

(4) 出来物

外耳道に出来物が出来ると通気性が悪くなったり、耳道を塞いで耳垢が外に出にくくなってしまい、細菌や真菌が増殖し外耳炎を引き起こします。

(5) 通気性の悪い耳の形

人と違い犬の外耳道はL字型をしていて通気性が悪い構造をしています。 

そこに耳の形が垂れ耳だったり、耳道に毛が生えていることが重なると通気性がさらに悪くなります。

このような環境は、外耳炎を悪化させる細菌や真菌が増えやすい環境となります。

2.外耳炎になりやすいのはどんな犬種?

外耳炎になりやすい犬種としては

・ダックスフンド
・アメリカンコッカースパニエル
・ゴールデンレトリバー
・ラブラドールレトリバー
・キャバリア
・フレンチブルドック
・パグ
・トイプードル

が挙げられます。

これらの犬種は(2)アレルギー (5)通気性の悪い耳の形 を原因として外耳炎を引き起こしやすいことが指摘されています。

3.外耳炎になってしまった時の症状は?

外耳炎になると耳垢が多くなり、外耳道が炎症を起こして赤くなります。

 耳掃除してもすぐに汚れてしまう、臭う、耳道が赤い、しきりに掻く、頭をよく振るなどは、外耳炎の時に多い症状です。

外耳炎をそのままにするとどうなるの?

 外耳炎を放置すると炎症がひどくなり、耳から膿が出たり、痛くて耳を触られるのを嫌がったり怒ったりするようになります。

 炎症がさらに進行すると中耳炎・内耳炎を引き起こし、頭を傾けたり(斜頸)、グルグルと回ったり(旋回運動)、まぶたや口唇が垂れ下がると言った顔面神経麻痺などの神経症状が見られたりします。

4.外耳炎の検査、診断方法は何をするの?

外耳炎が疑われる時の検査は主に次のようなものです。

(1) 耳鏡による検査

耳鏡とよばれる耳の中をみる器具を使って外耳道を確認します。 

耳垢が溜まっていないか、炎症は起きていないか、異物や出来物はないか、鼓膜が破れていないかなどを確認します。

(2) 耳垢検査

耳垢を採取して顕微鏡で確認します。 

細菌やマラセチアという真菌が増えていないか、耳ダニがいないかを確認します。

5.外耳炎の治療はどうするの?

外耳炎と診断されたらどのような治療をしていくのでしょうか?

細菌やマラセチアによる外耳炎は点耳薬(耳に入れる薬)を使って治療します。 

病院では耳の中をイヤークリーナーで洗浄し点耳薬を入れて治療しますが、ご自宅でも点耳薬の治療が必要となります。

『耳を触らせてくれないので、自宅で点耳や耳掃除はムリ!』という方には、病院で一度点耳するだけで1週間から最長1カ月以上も効果が続く点耳薬があります。

嫌がる子に点耳や耳掃除をするのは、愛犬と飼い主様の両方にとってストレスとなるので、無理をせずご相談ください。

耳ダニによる外耳炎は背中につけるタイプの駆虫薬で治療します。

なんども繰り返す外耳炎の場合は、アトピーやアレルギー、ホルモン分泌の異常などの病気が隠れているかもしれません。

なかなか良くならない、治療してもすぐ外耳炎を起こしてしまう場合はご相談ください。

6.自宅でのケアと注意点

耳掃除をして外耳炎を予防するのは大切ですが、間違ったやり方をするとそれが原因で外耳炎を引き起こしてしまう事もあります。

そこで自宅で出来る耳のケアと注意点を紹介します。

定期的な耳掃除をして耳の中を清潔に保つことは大切です。 

ですがやりすぎは耳道内の皮膚を傷つけて、かえって外耳炎を引き起こすことがあります。 

綿棒も耳の中の皮膚を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んでしまう事もあるのでオススメしません。

自宅で耳掃除する場合は、
イヤークリーナーコットンなどにつけて、指の届く範囲で優しく拭いてください。

綿棒は耳介の窪みなどの汚れを取るのに適していますが、強く擦り付けない、耳の奥など目で見えない所には使わないなど注意して下さい。

耳洗浄液は市販のものでも構いませんが、なるべく低刺激のものを選びましょう。

当院では用途に合わせて数種類のイヤークリーナーをご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

耳掃除の頻度はその子によって変わってきますが、1〜2ヶ月に1回は耳掃除や耳毛抜きなどのケアを行い清潔に保ちましょう。

自宅で観察できる範囲は限られていますので、いつもより汚れが多い、臭いがある、赤みや痒みがある場合は病院を受診しましょう。

まとめ

今回は犬に多い外耳炎について症状とケアを紹介しました。 

外耳炎はどの犬にも起こる病気で、放っておくと中耳炎・内耳炎を引き起こし、治療期間も長くなり、とても大きな苦痛を負わせる怖い病気です。

耳を触られるのを嫌がるので掃除出来ない、どのように掃除したらよいか分からない方も多いと思います。

耳掃除を嫌がる子に無理矢理するのは、愛犬と飼い主さんの両方にストレスとなり、信頼関係を壊してしまう場合もあります。

そんな時は無理せず病院で定期的な耳のチェック・掃除を行いましょう。

嫌なことは病院にお任せください!

日頃から耳のチェックを行い、外耳炎の予防、早期発見を心がけましょう。

- 院長コメント -

当院では外耳炎治療薬として、本文で書かれているような最長で1か月以上効果が持続する点耳薬も取り揃えております。耳を触られることが嫌いなワンちゃんも無理をせずに治療ができますので、是非ご相談下さい。

また、耳鏡による外耳道の観察はもちろん、さらに耳道奥の治療や検査に欠かせない耳内視鏡(ビデオオトスコープ)を用いた診察も行っております。

投稿者プロフィール

山﨑(愛玩動物看護師)

イタズラ好きなダックスと闘いの日々!

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