犬の乳腺腫瘍 初期症状

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

わんちゃんの乳腺腫瘍は、特に避妊手術をしていない中高齢の女の子のわんちゃんによく見られる病気で、約半数が悪性(がん)であるといわれています。
早期発見・早期治療が非常に重要ですが、初期段階では症状が目立ちにくく、飼い主さまが気づかないまま進行してしまうケースも珍しくありません。

この記事では、わんちゃんの乳腺腫瘍について、初期症状のチェックポイントを中心に解説いたします。

目次

犬の乳腺腫瘍とは

わんちゃんの乳腺腫瘍とは、乳腺(乳房の組織)にできる腫瘍のことで、わんちゃんの腫瘍全体の中でも特に多く見られます。
発症の多くは、7歳以上の避妊手術をしていない女の子のわんちゃんに見られ、約50~60%が悪性、つまりがんであると報告されています。

悪性腫瘍は肺やリンパ節などへ転移する可能性があり、治療が遅れると命に関わる危険もあります。

乳腺腫瘍はなぜできるのか? 避妊手術との関係

乳腺腫瘍の発症には、エストロゲンプロゲステロンといったホルモンの影響が深く関わっています。
避妊手術をしていないわんちゃんでは、ホルモン分泌が続くことで腫瘍が発生しやすくなります。

避妊手術のタイミングによって発症率は以下のように変わります。

避妊手術の時期発症率
初回発情前に避妊手術約0.5%
2回目の発情までに避妊手術約8%
2回以上発情を経験した犬約25%以上

このように、避妊手術の時期は乳腺腫瘍の予防に大きく関わります。

犬の乳腺腫瘍の初期症状とは? 飼い主が気づくべきサイン

乳腺腫瘍の初期症状は目立たないことが多く、見逃されやすい傾向にあります。
以下のようなサインが見られたら、すぐに動物病院へご相談ください。

  • 乳腺にしこりがある
    乳腺部分に米粒〜ビー玉サイズのしこりが触れることがあります。
    しこりは硬く、悪性の場合は急速に大きくなることがあります。
    触って痛がらないことも多いため、注意が必要です。

  • 分泌物や出血
    乳頭から透明やにごった液体、または出血が見られる場合は要注意です。
    腫瘍が炎症や内部の変性を起こしている可能性があります。

  • 皮膚の赤みや腫れ
    乳腺部の皮膚が赤くなったり腫れたりしている場合、血流やリンパの異常によるものかもしれません。
    特に炎症性乳がんでは皮膚の変化が顕著に現れます。

  • 舐める・嫌がる行動
    愛犬が特定の部位をしきりに舐める、触れたときに嫌がる仕草を見せる場合は、違和感や痛みを感じているサインです。

自宅でできる!乳腺腫瘍セルフチェックの方法

乳腺腫瘍の早期発見には、日常的なチェックが非常に有効です。

月に1回のセルフチェック

  1. 愛犬をリラックスさせ、仰向けや横向きに寝かせます。
  2. 前足の後ろから後ろ足のつけ根まで、乳頭のラインに沿って両側をゆっくりと指でなぞるようにやさしく触れてください。
  3. 左右で大きさの違う部分や硬いしこりがないかを確認しましょう。

しこりがあった場合は…

  • 気になるしこりがあれば、日付と大きさ・位置などを記録しておきましょう(メモや写真がおすすめです)。
  • 2週間後に再確認して、サイズの変化があればすぐに病院へ。

犬の乳腺腫瘍相談が増加している理由

川崎市内でも近年、乳腺腫瘍に関するご相談が増えています。
背景には以下のような要因があります。

  • 高齢犬の増加
    ペットの寿命が延びるにつれて、乳腺腫瘍の発症年齢(7歳以上)に達するわんちゃんが増加しています。

  • 避妊手術の実施率の低下
    健康志向の飼い主さまの間で、自然な成長を望む声もあり、避妊手術を行わないケースが増えています。
    これにより乳腺腫瘍のリスクが高まっていると考えられます。

こうした背景もあり、動物病院では早期発見・定期チェックの重要性が強く訴えられています。

乳腺腫瘍の診断と治療の流れ

動物病院では、以下のような手順で診療が行われています。

○診断

  • 視診・触診

  • 画像診断(レントゲン・エコー)
    腫瘍の大きさや内部の状態、転移の有無を確認します。

  • 細胞診・病理検査
    腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で診断します。

○治療

  • 外科手術
    腫瘍の摘出が基本です。状態によって乳腺の部分的または全摘を行います。

  • 抗がん剤治療(化学療法)
    悪性腫瘍で転移の可能性がある場合、抗がん剤治療を併用することがあります。

術後の経過観察や再発チェックも含め、継続的なケアが大切です。

犬の乳腺腫瘍と初期症状 まとめ

愛犬と長く健康で過ごすためには、乳腺腫瘍の初期症状のサインを見逃さないことが何より大切です。

早めの避妊手術や月1回のチェックで予防・早期発見をしましょう。
小さなしこりや異変があれば早めに動物病院を受診しましょう。

当院では、腫瘍に特化した診療体制を整えており、診断から治療、術後のフォローアップまで一貫して対応しています。
愛犬の乳腺腫瘍に関して不安な点がある場合は、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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