犬の乳腺腫瘍と余命

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

愛犬のお腹に「しこり」を見つけた瞬間、誰しもが不安になるものですよね。

「これはがんなの?」
「どのくらい生きられるの?」
「治療できるの?手術は必要?」

そんな不安を抱える飼い主さまのために、乳腺腫瘍の基礎知識と余命の目安を中心にお伝えします。

目次

犬の乳腺腫瘍とは

わんちゃんの乳腺腫瘍とは、乳腺にできる「しこり」のことを指します。
良性と悪性(がん)に分かれますが、見た目だけでの判断は困難です。

発症の傾向

  • 50%が良性、50%が悪性
  • 主に7歳以上の避妊手術をしていないの女の子のわんちゃんに多い
  • 小型犬(チワワ、ミニチュアダックスなど)に多く発生

犬の乳腺腫瘍の症状 飼い主さまが気づけるサイン

〇初期症状

  • 乳腺部(お腹の左右)に米粒〜小豆大のしこり
  • 通常は痛みや赤みがない
  • 時間の経過で徐々に大きくなる

〇進行すると…

  • 出血や潰瘍(皮膚が破れてただれる)
  • 発熱や痛み(炎症性乳がんの場合)
  • 元気がなくなる、食欲の低下

犬の乳腺腫瘍と余命 ステージごとの目安と考え方

飼い主さまにとって一番気になるのは「うちの子、あとどれくらい生きられるの?」という「余命」の部分だと思います。

しかし、余命はあくまで「平均的な目安」であり、実際には以下の要素で大きく異なります。

  • 腫瘍の大きさ
  • 悪性度(グレード)
  • 転移の有無
  • 手術や治療のタイミング
  • 年齢や体力など個体差

ステージ別:余命の目安一覧

ステージ病態の特徴余命の目安
早期(I期)腫瘍が3cm未満、転移なし術後1年以上、3年以上の例も
中等度(II〜III期)腫瘍が3cm以上または局所リンパ節転移術後6か月〜1年
進行期(IV期)肺・肝臓・脳など遠隔転移あり平均3〜6か月
末期(炎症性乳がん)急激に進行、非常に悪性度が高い数週間〜1か月以内(緩和ケアが中心)

良性腫瘍の余命

良性であれば手術後の再発は少なく、寿命にほとんど影響はありません。
健康であれば、15歳以上まで元気に過ごせるケースも多いです。

炎症性乳がんに特に注意

  • 触るとを持ち、赤く腫れ痛みを訴える
  • 進行が非常に速く、数日〜数週間で悪化
  • 早期でも余命は1か月以内というケースも

このタイプは、見つけ次第すぐに受診が絶対条件です。

犬の乳腺腫瘍 余命を延ばすためにできる3つのこと

1. 早期発見

  • 腫瘍が3cm未満の段階で見つけることが最大のポイント。
  • 月1回、乳腺部を触ってチェックしましょう。

2. 早期治療

  • 悪性と判明したら、できる限り早く手術を行うことで余命は大きく伸ばせます。
  • 手術が可能なタイミングを逃さないことが重要です。

3. 術後の定期フォロー

  • 半年に1度のレントゲンや血液検査で、再発や転移を早期に発見できます。
  • 特に悪性腫瘍だった場合は必須です。

4. QOLの維持・向上

  • 中医学(漢方薬)を取り入れた養生でQOLを維持・向上することができます。

犬の乳腺腫瘍の予防法

避妊手術のタイミングがカギ

避妊のタイミング発症リスク
初回発情前0.5%未満
2回目以降の発情後26〜70%

避妊手術は将来の腫瘍リスクを大幅に減らすことができる、唯一の予防策です。

犬の乳腺腫瘍と余命 まとめ

乳腺腫瘍と聞くと、とても怖い病気に感じるかもしれませんが、「乳腺腫瘍=余命が短い」ではありません。
しかし、早く見つけて、適切なタイミングで治療すれば、愛犬の命は大きく守ることができます。

「なんかおかしいな」と感じたその瞬間が、未来を変えるスタートです。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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