うさぎのスナッフルについて

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

川崎市近隣にお住まいのうさぎさんの飼い主さまへ向けて、うさぎさんに多く見られる呼吸器疾患「スナッフル」について詳しくご説明します。
うさぎさんは本能的に体調不良を隠す傾向があり、わんちゃんやねこちゃんに比べて体調の変化に気づきにくいため、病気の兆候に早く気づくことがとても重要です。

この記事では、うさぎさんのスナッフルについて、原因や症状、治療方法から予防法まで解説いたします。

目次

うさぎのスナッフルとは

スナッフルとは、うさぎさんの鼻水くしゃみが続く慢性の上部呼吸器疾患の総称です。
スナッフルの約70~80%は「パスツレラ菌(パスツレラ・ムルトシダ)」と呼ばれる細菌による感染が原因とされています。
この細菌はストレス免疫力の低下をきっかけに活性化し、鼻腔や副鼻腔で炎症を引き起こします。
ヒトでいうと風邪のような症状ですが、うさぎさんのスナッフルは重症化すると肺炎や中耳炎に発展し、命にかかわる可能性もあります。

うさぎのスナッフルの症状

スナッフルの代表的な症状は次の通りです。

  • くしゃみが頻繁に出る
  • 鼻水が出続ける(透明から白色、黄緑色へと変化)
  • 鼻の周りが濡れている
  • 呼吸時にヒューヒュー音がする
  • 目やにが出る
  • 元気や食欲がなくなる

これらの症状が2日以上続く場合や、食欲低下が見られるときは、早めに動物病院での診察を受けることが重要です。
スナッフルは進行性の病気であるため、放置することで他の臓器にも影響を及ぼす可能性があります。

うさぎのスナッフルの原因とリスク要因

スナッフルの主な原因菌は“パスツレラ・ムルトシダ”という細菌です。
この菌はうさぎさんの鼻腔内に常在していることも多く、健康なうさぎさんでも保菌している場合があります。
しかし、以下のようなリスク要因によって菌が活性化することがあります。

  • 温度や湿度の急激な変化
  • 換気の悪い飼育環境
  • ストレス(騒音、多頭飼い、環境の変化)
  • 免疫力の低下(高齢、他の病気、栄養不良)
  • 歯科疾患(不正咬合が原因で鼻涙管が詰まる)

飼育環境の見直しや日頃のケアによってスナッフルのリスクを大きく下げることができます。

うさぎのスナッフルの検査と診断方法

スナッフルが疑われる場合、動物病院ではまず問診と身体検査を行います。
続いて、以下のような検査が行われることがあります。

  • 鼻汁や涙の細菌培養検査
  • レントゲン検査(副鼻腔炎や肺炎の有無を確認)
  • 血液検査(感染の程度や全身状態を把握)
  • 歯科検査(不正咬合の有無)

正確な診断をもとに、うさぎさんの状態に合った治療が選択されます。

うさぎのスナッフルの治療法

スナッフルの治療は原因菌に対する抗生物質の投与が中心です。
お薬は内服薬のほか、鼻に直接投与する点鼻薬、ネブライザーによる吸入療法が行われることもあります。
症状が重い場合には、点滴治療や入院が必要になることもあります。

また、再発を防ぐためには生活環境の見直しが欠かせません。
空気清浄機の設置や室温・湿度の管理、ストレスを与えない飼育方法などが推奨されます。

スナッフルと腫瘍の関係性にも注意が必要

スナッフルと似た症状が、実は鼻腔内腫瘍や副鼻腔内の腫瘍だったというケースもあります。
特に中高齢のうさぎさんでは、慢性的な鼻水やくしゃみがスナッフルではなく腫瘍である可能性も否定できません。
腫瘍性疾患の場合、抗生物質が効かず症状が長引くのが特徴です。

うさぎのスナッフルの予防

スナッフルを予防するには、日常的な飼育環境の管理と健康チェックが欠かせません。

  • 定期的な健康診断(年に1~2回)
  • 適切な温湿度管理(室温20~25℃、湿度40~60%)
  • 清潔なケージと換気の良い室内環境
  • ストレスを与えない飼い方(音や振動に注意)
  • 栄養バランスの良い食事

これらの習慣を心がけることで、うさぎさんが健康に過ごせる時間を長く保つことができます。

うさぎのスナッフルのまとめ

うさぎさんのスナッフルはよくある呼吸器疾患のひとつですが、慢性化や重症化を防ぐためには早期発見と適切な治療が欠かせません。
また、類似した症状を持つ鼻腔内腫瘍の可能性もあるため、専門的な診断を受けることが重要です。

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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