犬の肛門アポクリン腺癌を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

愛犬の肛門周囲に「しこり」を見つけて心配になったことはありませんか?

「病院に連れて行くべき?」
「このしこりはがんなの?」
と、不安に思う飼い主さまも多いでしょう。

特に、わんちゃんの肛門アポクリン腺癌は、進行が速く転移しやすい悪性腫瘍のひとつです。
早期発見・早期治療がとても重要になります。

この記事では、わんちゃんの肛門アポクリン腺癌の症状・原因・治療法・予防策について、解説いたします。

目次

犬の肛門アポクリン腺癌とは

わんちゃんの肛門の左右には、「肛門嚢(こうもんのう)」と呼ばれる分泌腺があります。
通常、この肛門嚢は排便時に分泌物を出し、ニオイのマーキングをする役割を持っています。

しかし、この肛門嚢のアポクリン腺ががん化すると、「肛門アポクリン腺癌」となります。
この腫瘍は進行が速く、リンパ節や肺に転移しやすいため、早めの治療が必要です。

犬の肛門アポクリン腺癌の特徴

  • 悪性度が高い
    進行が速く、リンパ節や肺に転移しやすいので、早めの診断と治療が必要となります。

  • 高齢犬・雌犬に多い
    特に、8歳以上の高齢のわんちゃんに多く見られます。
    また、男の子のわんちゃんに比べて、女の子のわんちゃんのほうが2倍も発症率が高いです。

  • 高カルシウム血症を引き起こすことがある
    高カルシウム血症を引き起こし、腎機能障害の原因となることがあります。

この病気は、見た目だけではわかりにくいため、しこりを見つけたら、すぐに動物病院を受診することが大切です。

犬の肛門アポクリン腺癌の症状

わんちゃんの肛門アポクリン腺癌の初期症状は目立ちにくいため、気づくのが遅れやすいです。
以下のような症状が見られたら、注意が必要です。

初期症状(気づきにくいが重要!)

  • 肛門の周囲に小さなしこりがある

  • 排便時に違和感を示す
    痛がったり、踏ん張る時間が長くなったりします。

  • 肛門を頻繁になめたり、気にしたりする

進行すると見られる症状

  • しこりが大きくなる
    しこりが1cm以上となります。

  • 排便が困難になる
    便が細くなり、排便時に痛がるようになります。

  • 食欲低下体重減少
    全身状態がわるくなります。

  • 多飲多尿
    高カルシウム血症が原因となり、腎臓に負担がかかります。

さらに進行すると…

  • 後ろ足がむくむ
    リンパ節に転移し、血流がわるくなるので後ろ足がむくみます。

  • 呼吸が苦しくなる
    肺転移の可能性があります。

肛門のしこり」+「水をたくさん飲むおしっこが多い」場合は、すぐに動物病院へ!

犬の肛門アポクリン腺癌の原因

はっきりした原因は不明ですが、以下のような要因が関与していると考えられています。

発生しやすい犬の特徴

  • 加齢
    8歳以上の高齢のわんちゃんに多いです。
    加齢とともに発症リスクが上がります。

  • ホルモンバランスの変化
    女の子のわんちゃんでの発症率が高いです。
    男の子のわんちゃんの約2倍のリスクがあります。

  • 遺伝的要因
    特定の犬種で発症リスクが高いです。以下に発症しやすい犬種を示します。

○発症しやすい犬種

  • キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
  • イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ジャーマン・シェパード
  • ダックスフンド

特に、スパニエル系の犬種や小型犬は注意が必要です。

犬の肛門アポクリン腺癌の診断方法

動物病院では、以下のような検査を行います。

視診・触診

しこりの大きさや硬さを確認します。

細胞診

針を刺して細胞を採取し、がん細胞の有無をチェックします。

血液検査

高カルシウム血症の有無を確認します。

レントゲン・エコー検査

転移の確認をします。

CT検査

腫瘍の大きさや転移状況を詳細に調べます。

しこりを見つけたら、早めに検査を受けましょう
早期発見が大切なので、気になる症状があればお早めにご相談ください。

犬の肛門アポクリン腺癌の治療法

わんちゃんの肛門アポクリン腺癌の治療方法は、腫瘍の進行度や転移の有無によって変わります。

外科手術(第一選択)

腫瘍が小さい場合は、肛門嚢ごと切除して完治を目指します。

リンパ節に転移がある場合は、リンパ節も同時に切除します。

放射線治療

手術が難しい場合や、再発予防として行います。

化学療法(抗がん剤)

転移がある場合にがん細胞の増殖を抑えます。

対症療法(進行している場合)

高カルシウム血症に対する治療(点滴など)を行います。

早期発見なら手術で完治することもあります

犬の肛門アポクリン腺癌の予防方法

完全な予防は難しいですが、定期的な健康チェックが早期発見につながります。

予防のためにできることを以下に示します。

定期的な健康診断

犬の肛門アポクリン腺癌は早期発見が重要なため、年に1〜2回の健康診断を受けましょう。

肛門周囲の定期チェック

しこりがないか、定期的に触診します。

排便時の様子を観察し、違和感があれば病院で診察を受けましょう。

食事管理と適度な運動

バランスの取れた食事で免疫力を高めましょう。

適度な運動で健康を維持しましょう。

飼い主さまの「早めの気づき」が、愛犬の命を守る鍵となります。

犬の肛門アポクリン腺癌のまとめ

わんちゃんの肛門アポクリン腺癌は、進行が速く、転移しやすい危険な病気です。
しかし、早期発見・早期治療ができれば、手術で完治を目指せる可能性もあります

愛犬の肛門周囲にしこりがないか定期的に確認し、排便の様子に異常がないか観察しましょう。
お水をたくさん飲んで、おしっこが多い場合は要注意です(肛門アポクリン腺癌以外の病気が隠れていることもあります)。

気になる症状などが愛犬に見つかった場合、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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