猫の乳腺腫瘍と余命

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

愛猫が「乳腺腫瘍」という診断を受けた瞬間、「余命はどのくらいなのか?」「治療すれば助かるのか?」という不安が押し寄せた方も多いのではないでしょうか。
ねこちゃんの乳腺腫瘍は進行が早く、命にかかわる重大な病気です。
しかし、正しい知識とタイミングのよい治療によって、愛猫との時間を大きく延ばすことも可能です。

この記事では、不安を抱える飼い主さまのために、ねこちゃんの乳腺腫瘍の基礎知識と余命の目安を中心にお伝えします。

目次

猫の乳腺腫瘍とは

ねこちゃんの乳腺腫瘍は、特に避妊手術を受けていない女の子のねこちゃんに多く発症します。
発症年齢は10歳前後が多く、乳腺にできる腫瘍のうち約90%は悪性であると報告されています。
小さなしこりの段階でもすでに肺やリンパ節に転移している可能性があり、早期発見が非常に重要です。

猫の乳腺腫瘍の症状

初期段階ではしこりが触れる程度で、痛みや違和感が少ないため、見逃されやすい傾向があります。
以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • 乳腺部分に小さな硬いしこりがある
  • 乳頭から出血や膿のような分泌物が出る
  • 元気や食欲の低下が続いている
  • 呼吸が速く浅くなる、咳をする(肺転移の可能性)

これらの症状は進行段階によって変化します。
特に高齢のねこちゃんや避妊手術を受けていないねこちゃんは、定期的な健康チェックが推奨されます。

猫の乳腺腫瘍と余命の関係

ねこちゃんの乳腺腫瘍における余命は、腫瘍の大きさ、進行度、転移の有無、治療の有無によって大きく異なります。

1. 腫瘍の大きさ

  • 2cm未満の場合
    平均余命は2〜3年。再発率も比較的低め。
  • 2〜3cmの場合
    平均余命は1〜1.5年程度。
  • 3cm以上の場合
    平均余命は6ヶ月〜1年未満と短くなる傾向。

2. 転移の有無

  • 肺やリンパ節への転移あり
    余命は数か月〜半年程度に短縮されることがあります。
  • 転移なし・早期発見
    手術によって長期生存が可能。

3. 治療の有無と種類

  • 外科手術のみ
    腫瘍が小さい場合は有効です。再発しないケースでは3年以上生存する例もあります。
  • 手術+抗がん剤治療
    転移のリスクがある場合に併用されます。平均余命を半年〜1年ほど延ばす可能性があります。
  • 治療なし・自然経過観察のみ
    急速に悪化することが多く、余命は2〜3か月程度とされることもあります。

 具体的な症例から見る余命のイメージ

腫瘍の状態治療内容予想余命の目安
小さな1cm以下の腫瘍、転移なし手術のみ約2〜3年
2〜3cmの腫瘍、転移なし手術+抗がん剤約1〜1.5年
3cm以上、多発性、転移あり抗がん剤や対症療法数か月〜半年
高齢・転移あり・治療せず緩和ケアのみ数週間〜3か月程度

これらのデータはあくまで目安であり、愛猫の体力や治療の反応によって変動します。
重要なのは、早期に発見し、適切な治療を選択することです。

外科手術による生存期間の延長

乳腺腫瘍の治療において、外科的な腫瘍切除は最も効果的とされています。
腫瘍が2cm以下で転移がない状態での手術では、再発率も低く、長期的な延命が期待できます。

再発や取り残しを防ぐため、摘出範囲は広く設定するのが基本です。

抗がん剤治療の役割と注意点

抗がん剤治療は、以下のようなケースで選択されます。

  • 手術後の再発予防として
  • すでに転移が確認されている場合
  • 高齢持病により手術ができない場合

抗がん剤治療のメリット

  • 転移の進行を抑えることができます。
  • 腫瘍の縮小によりQOLを維持できます。
  • 手術が難しい場合の代替治療となります。

抗がん剤治療のデメリット

  • 吐き気、食欲不振、免疫低下などの副作用が出ることがあります。
  • 継続的な通院が必要となります。
  • 医療費が高額になることがあります。

当院では、できる限り副作用を抑える治療法を採用し、飼い主さまと相談のうえ、最適な治療プランを決定します。

漢方薬など東洋医学を組み合わせることで、QOLの維持・向上をサポートします。

避妊手術で乳腺腫瘍の発症リスクを減らす

乳腺腫瘍は、避妊手術を早期に行うことで予防できる可能性が高い病気です。

  • 生後6か月未満で避妊手術 → 発症リスクを91%減少
  • 1歳未満での避妊手術 → 発症リスクを86%減少
  • 2歳以降では予防効果が大きく下がる

若いうちの避妊手術は、乳腺腫瘍のほかにも子宮疾患の予防にもつながります。
健康なうちの手術は、ねこちゃんにとっても負担が少なく安心です。

飼い主さまが日常でできる観察とケアのポイント

日々のスキンシップの中で、乳腺腫瘍を早期に見つけることができます。

  • おなかや乳腺部を軽く触って、左右にしこりがないか確認しましょう。
  • 触れた際に痛がったり、異常に反応しないか観察しましょう。
  • 呼吸が浅くなったり、疲れやすくなっていないか確認しましょう。
  • 食欲や元気の有無を注意深く観察しましょう。

月に1回のチェックを習慣にするだけでも、早期発見のチャンスは大きく広がります。

特に高齢のねこちゃんや避妊手術をしていない女の子のねこちゃんは、定期的な健康診断を受けることが推奨されます。

猫の乳腺腫瘍と余命のまとめ

ねこちゃんの乳腺腫瘍は放置すれば命に関わる病気ですが、早期発見と適切な治療によって、余命は大きく変わります。

初めてのご相談でも丁寧にご説明し、納得していただける診療を心がけています。
大切な家族の健康を守るため、少しでも気になる症状があれば、まずはお気軽にご相談ください

当院では、愛猫との時間を一日でも長く大切に過ごすためのサポートを全力で行っています。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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