【犬の膿皮症】赤いブツブツ・かゆみ・フケに注意！原因と治療法を解説｜池田動物病院・武蔵小杉・川崎市

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

最近、「皮膚が赤い」「フケが増えた」「かゆがっている」といった症状が気になることはありませんか？
それは膿皮症（のうひしょう）という皮膚の感染症かもしれません。

膿皮症は、わんちゃんにとても多く見られる皮膚病のひとつで、初期の段階では赤いブツブツやフケなど軽い症状から始まりますが、放っておくとジュクジュクしたり、痛みを伴うこともあります。

この記事では、膿皮症の症状・原因・治療法・おうちでできる予防ケアについて、獣医師監修のもとわかりやすく解説いたします。

犬の膿皮症とは

膿皮症とは、皮膚に常在する細菌（主にブドウ球菌）が増えてしまい、炎症を起こす病気です。
健康な皮膚では細菌の増殖が抑えられていますが、バリア機能が低下すると細菌が増えて炎症が広がります。

皮膚は「表皮・真皮・皮下組織」の3層でできており、感染の深さによって以下の3種類に分類されます。

表面性膿皮症

皮膚のごく表面で炎症が起こる軽度のタイプ

表在性膿皮症

毛包の中や表皮内で感染するタイプ

深在性膿皮症

真皮や皮下組織まで炎症が広がる重度のタイプ

症状や治療法はタイプによって異なりますが、いずれも早期発見が大切です。

こんな症状は要注意！膿皮症のチェックポイント

症状が進むと、皮膚が黒ずんだり（色素沈着）、ジュクジュクして痛みを伴うこともあります。
特に、わきの下・おなか・首まわりなど、蒸れやすい場所に症状が出やすいのが特徴です。

膿皮症の主な原因

膿皮症は、細菌感染そのものよりも「皮膚のバリア機能が落ちる」ことが大きな原因です。
そのきっかけとなる要因には、以下のようなものがあります。

アレルギー体質

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎など、もともと皮膚が敏感なわんちゃんは細菌感染を起こしやすくなります。

内分泌疾患（ホルモンバランスの異常）

クッシング症候群や甲状腺機能低下症などのホルモン異常があると、皮膚の再生力が弱まり、膿皮症をくり返すことがあります。

外部寄生虫や皮膚の傷

ノミやダニなどの刺激、またはかき壊しによる小さな傷が感染の入口になることもあります。

湿度・環境要因

高温多湿の季節は細菌が増えやすく、梅雨～夏にかけて発症が増加します。

膿皮症にかかりやすい犬種

膿皮症はどの犬種にも起こりますが、特に以下の犬種は注意が必要です。

• 柴犬
• ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア
• ダックスフンド
• ミニチュアシュナウザー
• シーズー

これらの犬種はアレルギー体質や皮脂分泌が多い傾向があり、皮膚トラブルをくり返しやすいといわれています。

膿皮症の治療法と治るまでの流れ

膿皮症の治療は、症状の重さや感染の深さによって異なります。
主な治療法は以下のとおりです。

軽度（表面性膿皮症）

• 抗菌成分を含むシャンプーや外用薬を使用
• 患部の毛を短く刈り、皮膚を清潔に保つ

中等度（表在性膿皮症）

• 抗生物質の内服や注射で細菌の増殖を抑える
• シャンプー療法を併用して皮膚環境を整える

重度（深在性膿皮症）

• 長期間の抗生物質治療と並行して、原因疾患の治療（ホルモン異常など）も行う
• 炎症が強い場合は抗炎症薬やサプリメントも併用

おうちでできる膿皮症の予防・ケア

膿皮症をくり返さないためには、日常のケアがとても大切です。

正しいシャンプー方法

1. お湯の温度は35～37℃に設定しましょう。
   高温ですと皮膚のバリア機能に影響を及ぼします
   
   
2. 皮膚をこすらず、泡でやさしく洗いましょう。
   ネットやスポンジで泡を作りましょう
   
   
3. しっかりすすぎ、タオルでやさしく乾かしましょう。
   すすぎ残しがあると皮膚への刺激の原因となります
   
   
4. 保湿剤を併用して皮膚の潤いをキープしましょう。
   シャンプーのみですと皮膚が乾燥してしまいます

ベタつきが強いわんちゃんには、シャンプー前の「下洗い」や「入浴剤」もおすすめです。

お食事（療法食）によるケア

皮膚はお食事から作られます。
皮膚バリアを支えるたんぱく質・脂肪酸・ビタミンを含むスキンケア用療法食に切り替えることで、身体の内側から健康な皮膚をサポートできます。
池田動物病院では、メーカー認定のフードアドバイザー資格を持つスタッフがフード選びをサポートしています。

環境管理

• 湿気を防ぐために定期的な換気
• ベッドやブランケットのこまめな洗濯
• 冷暖房による乾燥にも注意

よくある質問（FAQ）

Q. ほかのわんちゃんにうつりますか？

A. 膿皮症は基本的にうつりませんが、細菌が多い状態では感染が広がる可能性があります。多頭飼いの場合は接触を控えましょう。

Q. シャンプーはどのくらいの頻度で行えばいいですか？

A. 皮膚の状態によって異なりますが、週1～2回が目安です。獣医師の指示に従ってください。

Q. 再発を防ぐためにできることは？

A. 体質改善とスキンケアの両立が大切です。季節ごとの皮膚チェックをおすすめします。

東洋医学でのアプローチも

池田動物病院では、西洋医学だけでなく東洋医学（漢方・鍼灸）も取り入れています。
膿皮症をくり返すわんちゃんの場合、身体の内側の「熱」や「湿」のバランスが崩れていることも少なくありません。

漢方薬によって体質を整えることで、皮膚トラブルの根本改善を目指すことも可能です。
「皮膚が弱い」「くり返す皮膚炎で悩んでいる」など、体質に合わせたご相談もお気軽にどうぞ。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話（044-433-2274）でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

まとめ｜早めの受診で皮膚の健康を守りましょう

膿皮症は、軽いかゆみや赤みから始まる身近な皮膚病です。
早期に治療を行うことで重症化や再発を防ぐことができます。

少しでも気になる症状がある場合は、早めにご相談ください。
川崎市・武蔵小杉エリアの池田動物病院では、皮膚科診療をはじめ、わんちゃん一頭一頭の体質に合わせた治療・ケアを行っています。

この記事の執筆・監修 
執筆：菊地（さ）　愛玩動物看護師
監修：鈴木　獣医師