犬の肥満細胞腫を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

愛犬の皮膚に「しこり」や「できもの」ができていませんか?
もし触ってみて、硬かったり、短期間で大きくなったりする場合、それは「肥満細胞腫」の可能性があります。

肥満細胞腫は、わんちゃんの皮膚にできる腫瘍の中でも特に多く、悪性(がん)のケースが多い病気です。
進行すると命にかかわることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。

この記事では、わんちゃんの肥満細胞腫の原因や症状、診断方法、治療法について詳しく解説します。

「しこりを見つけたけれど、病院に行くべきか迷っている…」
「肥満細胞腫ってどんな病気なの?」

そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

犬の肥満細胞腫とは?

肥満細胞腫とはどんな病気?

肥満細胞腫は、わんちゃんの皮膚にできる腫瘍の一種です。

肥満細胞は、正常であればヒスタミンやヘパリンなどの化学物質を放出し、アレルギー反応を調整する働きがあります。
しかし、異常に増えてしまうと悪性腫瘍となり、身体の様々な部位に影響を及ぼします。

肥満細胞腫の多くは皮膚や皮下組織に発生しますが、進行すると内臓(肝臓・脾臓・骨髄)に転移し、命にかかわることもあります。

犬の肥満細胞腫の発生率は?

わんちゃんの皮膚腫瘍の中で最も多い腫瘍のひとつであり、全体の約20%を占めるといわれています。
また、肥満細胞腫のうち、約50%はわんちゃんの四肢や体幹(胴体部分)に見られます。

特定の犬種は発症リスクが高いといわれています(2-1|遺伝的要因参照)。

放置すると内臓への転移のリスクが高まるため、早期発見・早期治療が重要です。

犬の肥満細胞腫の原因

肥満細胞腫の明確な原因は解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

遺伝的要因

以下の犬種では、肥満細胞腫の発生リスクが高いことが報告されています。

○肥満細胞腫が発生しやすい犬種

  • ラブラドール・レトリーバー
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ボストン・テリア
  • フレンチ・ブルドッグ
  • パグ
  • ボクサー

特に短頭種(鼻が短い犬種)に多く見られる傾向があります。
これらの犬種を飼っている場合は、定期的な健康診断をおすすめします。

当院では、年に2回(春と秋)に健康診断キャンペーンを行っていますので、ぜひご利用ください。

免疫の異常

免疫機能の低下や異常があるわんちゃんは、肥満細胞腫のリスクが高まるといわれています。

ストレスや食生活の乱れ、加齢、病気などが影響する場合もあるため、日ごろの健康管理が大切です。

環境要因

紫外線化学物質などの環境的要因も肥満細胞腫の発症に関与すると考えられています。

特に、皮膚に慢性的な炎症があるわんちゃんや、アレルギー体質のわんちゃんはリスクが高い可能性があります。

犬の肥満細胞腫の症状

肥満細胞腫は初期段階では目立った症状がないこともあり、発見が遅れることが多いのですが、次のようなサインが見られます。

皮膚にしこり・できもの・腫れができる

最も特徴的な症状は、皮膚や皮下にできるしこりです。

しこりは、触ると硬い場合もあれば、柔らかい場合もあります

しこりの大きさ短期間で変化することがあります。

かゆみや炎症、赤みを伴う

肥満細胞腫はヒスタミンを大量に放出するため、強いかゆみや赤みを引き起こすことがあります。

わんちゃんが頻繁に患部を舐めたり、噛んだりする場合は要注意です。

消化器症状(嘔吐や下痢)

腫瘍がヒスタミンを大量に放出すると、胃酸が過剰に分泌されて、胃腸に影響を与えます。

その結果、嘔吐や胃潰瘍、食欲不振、血便や黒い便などの症状が現れることもあります。

しこりの出血や潰瘍化

進行すると、しこりが潰瘍化し、破れて出血したり、ただれたりすることがあります。

細菌感染を引き起こす可能性もあるため、早めの治療が必要です。

犬の肥満細胞腫の診断方法

針生検(細胞診)

細い針を使用して腫瘍の細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査です。

比較的簡単に実施でき、短時間で結果が得られるため、肥満細胞腫の診断に最もよく用いられます。

組織生検(病理検査)

より詳しい診断を行うために、腫瘍の一部または全体を外科的に切除し、顕微鏡で詳しく調べます。

針生検と比較して、より正確な診断が可能となります。

画像診断(X線・超音波・CT・MRI)

腫瘍の進行具合や内臓への転移の有無を調べるために、レントゲン検査や超音波検査、CTやMRIを用いることがあります。

適切な治療法を選択するために重要な検査となります。

犬の肥満細胞腫の治療法

外科手術(第一選択)

腫瘍を完全に切除することが最も効果的な治療法です。
腫瘍の周囲に広いマージン(安全域)を確保して切除することが重要です。
早期に発見できれば、手術だけで完治する可能性も高いです。

放射線治療

手術が困難な場合や、切除しきれなかった場合に用いられます。
局所的なコントロールに有効です。

化学療法(抗がん剤)

転移がある場合や、手術後の補助治療として使用されます。
副作用の管理が必要ですが、効果的に腫瘍を抑えることができます。

分子標的薬(トラセニブなど)

最近では、トセラニブ(パラディア)などの分子標的薬が使用されることもあります。
副作用が少なく、持続的な効果が期待できます。

犬の肥満細胞腫のまとめ

わんちゃんの肥満細胞腫は、放置すると危険な腫瘍ですが、早期発見・早期治療で完治できる可能性も高い病気です。

愛犬の健康を守るために、気になる症状があればすぐに動物病院を受診しましょう。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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