犬の歯周病について

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「最近、愛犬の口がにおう気がする」
「食べ方に違和感がある」
そんなお悩みはありませんか?
もしかすると、その原因はわんちゃんの歯周病かもしれません。

わんちゃんの歯周病は、歯ぐきの炎症だけでなく、進行すると歯を支える骨が溶けて歯が抜け落ちたり、心臓病や腎疾患のリスクを高めたりする恐れもある深刻な病気です。

この記事では、わんちゃんの歯周病の原因・症状・治療法・予防法について、わかりやすく解説いたします。

愛犬の「お口のにおいが気になる」「歯石が目立ってきた」と感じた方は、ぜひ最後までご覧ください。

口を大きく開けた犬のイラスト(歯周病により歯石や歯ぐきの腫れが見られる)
目次

犬の歯周病とは

わんちゃんの歯周病とは、歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットに細菌が繁殖し、炎症を引き起こす病気です。
進行すると、歯ぐきだけでなく、歯を支える骨(歯槽骨)が破壊され、歯が抜け落ちてしまいます。

実は、3歳以上のわんちゃんの約8割が何らかの歯周トラブルを抱えているといわれており、非常に身近な病気です。
特に小型犬ではリスクが高く、日常的なケアが欠かせません。

歯周病の原因

歯周病の主な原因は、プラーク(歯垢)と歯石です。

  • プラーク(歯垢)
    食べかすに含まれる細菌のかたまり。
    柔らかく白い状態。

  • 歯石
    プラークが約3~5日で硬化したもの。
    ザラザラしていて、さらに細菌が付きやすい。

歯周病の進行メカニズム

  • 食べかすや細菌が歯に付着し、プラーク(歯垢)が形成されます。
  • プラークが唾液中のミネラルで石灰化して歯石になります(約3~5日で形成)。
  • 歯石の上にさらに細菌が付着し、歯ぐきに炎症を引き起こします
  • 炎症が進行し、歯槽骨が破壊されて歯が抜けます

わんちゃんの唾液はアルカリ性のため、ヒトよりも歯石ができやすい体質です。
特にチワワ、トイプードル、ダックスフンドなどの小型犬は歯が密集しており、汚れがたまりやすい傾向があります。

犬の歯周病の主な症状

わんちゃんの初期の歯周病は目立った症状が出にくいため、飼い主さまが気づいた時には進行しているケースも多く見られます
以下のようなサインに注意しましょう。

犬の歯周病の初期症状

  • 口臭が強くなる
  • 歯ぐきが赤くなる、腫れる
  • 歯に茶色や黄色い歯石が付着している

犬の歯周病の中~重度の症状

  • よだれが増える
  • ごはんを食べづらそうにする、片側でしか噛まない
  • 歯がグラグラする、または抜け落ちる
  • 鼻水やくしゃみが続く(歯の根が鼻に穴を開けることも)
  • 顎の骨がもろくなり、骨折することがある(特に小型犬)

「なんとなく口がにおう」「食べ方がいつもと違う」など、些細な変化に早く気づくことが大切です。

犬の歯周病が引き起こす全身のトラブル

わんちゃんの歯周病は、お口の中だけの問題ではありません。
歯周病菌が血液を通じて全身にまわることで、さまざまな病気の引き金になる可能性があります

歯周病が関連する疾患

  • 心内膜炎(心臓の内側に細菌が入り込む)
  • 腎炎、肝炎
  • 慢性的な食欲不振、体重減少
  • 免疫力低下や他の疾患の悪化

特に高齢のわんちゃんや持病のあるわんちゃんでは、歯周病が身体全体に与える影響が大きいため、予防と早期対応がとても重要です。

犬の歯周病の予防法

歯周病の予防には、毎日のケアがとても重要です。
歯みがきを中心に、いくつかの方法があります。

歯みがきがもっとも効果的

わんちゃんの歯周病を防ぐ最も有効な方法は歯みがきです。

  • 最初はガーゼでお口の周りをさわる練習からスタート
  • 慣れてきたら、わんちゃん用の歯ブラシや歯みがきペーストを使用
  • 週2〜3回以上の歯磨きが理想的

飼い主さまの手で丁寧にケアすることで、歯石になる前のプラークを除去することができます。

飼い主が犬の歯を丁寧にみがいている様子(歯周病予防のための歯みがき)

歯みがきが難しい犬には代替ケア

  • デンタルガム
    噛むことで歯垢を物理的に落とします
  • デンタルトイ
    遊びながら口腔ケアをします
  • デンタルジェルやスプレー
    歯に塗るだけのタイプです
  • デンタルウォーター
    飲み水に混ぜて使うケア用品
  • デンタルケア成分が配合された療法食

これらはあくまで補助的な手段であり、歯みがきとの併用がおすすめです。

歯周病予防におすすめのデンタルグッズ

池田動物病院で取り扱いのある、おすすめデンタルケア製品をご紹介します。

  • 歯みがきペースト・デンタルジェル
    酵素配合で抗菌作用に優れています。
    愛犬の好きなテイストのペーストやジェルを、歯ブラシやガーゼなどにつけて、歯みがきが嫌いにならないようにしましょう。

  • デンタルブラシ
    小型犬も使用しやすい、ヘッドが小さめな設計になっています。

  • デンタルトリーツ
    デンタルガムなどを使用し、咀嚼で歯垢を除去しながら美味しくケアができます。

  • デンタルウォーター
    飲み水に混ぜるだけで簡単に口腔ケアができます。

  • 口腔善玉菌サプリメント
    タブレット型、パウダー型があり、フードや飲み水に混ぜて与えられます。

  • デンタルケア療法食
    ヒルズ等から出ています。
犬用の歯ブラシ、デンタルジェル、デンタルペースト、デンタルフードのイラスト(歯周病予防グッズ)

製品ごとの使い方やおすすめの組み合わせは診察時にご案内いたします。

犬の歯周病の治療法

すでに歯石がついてしまっている場合、家庭でのケアでは除去できません。
動物病院でのスケーリング(歯石除去)処置が必要です

動物病院での主な処置

  • 全身麻酔下でのスケーリング(歯石除去
  • 歯周ポケット内の洗浄と殺菌
  • 状態によっては抜歯処置も必要
  • 研磨処理で歯の表面を滑らかに(ポリッシング)し、再付着を防止
  • 歯周病治療薬の処方

当院では事前に血液検査心臓の状態をチェックするなど、安全性を確保したうえで麻酔処置を行っています。
麻酔に不安がある飼い主さまも、まずはご相談ください。

犬の歯周病のまとめ

わんちゃんの歯周病は、放置すると大切な歯を失うだけでなく、全身の健康にも深刻な影響を及ぼす病気です。
しかし、正しい知識と日々のケアによって、多くのトラブルは未然に防ぐことができます。

「最近、口臭が気になる」「歯石がついている気がする」など、気になる症状がある場合は、早めの診察がおすすめです。

愛犬のお口の健康が気になる飼い主さまは、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次