【犬の慢性気管支炎とは?】咳が続くときに知っておきたいこと

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「うちの子、最近ずっと咳をしていて、夜中にむせるような咳で目を覚ましてしまう」
「朝方も咳が止まらなくて苦しそう…これって何かの病気なの?」

こうしたお悩みを持つ飼い主さまへ、今回は「犬の慢性気管支炎」という病気について、症状・原因・診断・治療法・生活での注意点まで、わかりやすくお伝えします。

慢性気管支炎は、中高齢の小型犬に多く、乾いた咳が長く続くことが特徴です。
他の呼吸器疾患や心臓病との区別がつきにくく、放置すると悪化するリスクもあります。

この記事では、慢性気管支炎の見極め方や治療選択肢、当院で行っている東洋医学的アプローチまで、詳しくご紹介いたします。

目次

犬の慢性気管支炎とは?

わんちゃんの慢性気管支炎は、気道に慢性的な炎症が起こり、咳が長期間続く病気です。
原因がはっきりしない場合もありますが、主にアレルギー反応や過去の感染、空気中の刺激物が関係しているといわれています。

特に、8歳以上の小型犬(ヨークシャー・テリア、マルチーズ、シーズーなど)に多く見られます。
加齢により、気道の防御機能が低下することも影響します。

犬の慢性気管支炎の症状

こんな咳に注意!よくある症状の例

もっとも代表的な症状は「乾いた咳」です。
1日に何度も咳き込み、徐々に悪化する傾向があります。

咳をしているヨークシャー・テリア(目を閉じて苦しそうな表情で「コンコン」と咳をしている様子)

飼い主さまが気づきやすい具体的なサインとしては以下のようなものがあります。

  • 「コンコン」という乾いた咳が1か月以上続く
  • お散歩の後や興奮した時に咳が強くなる
  • 夜中や明け方に咳で目を覚ます
  • 咳のあと、吐くような動作(えづき)をする
  • 食欲や元気はあるが、咳の頻度が徐々に増える

呼吸が浅く、速くなってきたら、早めの受診が必要です。

犬の慢性気管支炎の原因とリスク要因

年齢や生活環境が影響する?

この病気は高齢のわんちゃんに多く、以下のようなリスク因子が関係しています。

  • 加齢による気道粘膜の変性や繊毛運動の低下
  • 繰り返す軽度の感染(ウイルスや細菌)

アレルギーや喫煙環境もリスクに

次のような環境要因も慢性炎症の引き金になります。

  • タバコの煙や車の排気ガス
  • ハウスダスト、カビ、香料、洗剤などのアレルゲン
  • 肥満による胸腔圧の増加と呼吸のしづらさ

実際に、当院でも喫煙者のいる家庭のわんちゃんに慢性気管支炎が見られるケースは少なくありません。

犬の慢性気管支炎の診断方法

診察で注目するポイント

初診では、問診と聴診によって咳の質や呼吸音を確認します。
診断では、他の疾患との区別(除外診断)が重要です。

咳の原因としては、以下の病気も考慮されます。

  • 気管虚脱
  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 肺炎
    など

レントゲンや血液検査でわかること

より正確な診断には以下の検査が有効です。

  • 胸部レントゲンで気管支の肥厚や肺の変化を確認
  • 血液検査で炎症や感染の有無を確認
  • 心エコー検査で心臓疾患の除外

犬の慢性気管支炎の治療法

西洋医学的なアプローチ

治療の基本は、ステロイドなどの薬によって、気道の炎症を抑えることです。

  • ステロイド薬(必要最小限の用量でコントロール)
  • 気管支拡張剤・去痰剤の使用
  • アレルゲン対策(掃除・空気清浄機)
  • 肥満管理のための食事指導

吸入療法や生活習慣の見直し

吸入室の中で治療を受けているチワワ(もくもくとした蒸気に包まれている様子)

薬物療法に加え、以下のような補助療法も効果的です。

  • ネブライザー(吸入器)による吸入ステロイド治療
  • 室内環境の改善とストレス軽減

池田動物病院の東洋医学的アプローチ

漢方薬による体質改善

わんちゃんの体質や症状に合わせて、呼吸器を補う漢方薬を処方します。
目指すのは「根本的な体質改善」です。

鍼灸で呼吸のバランスを整える

  • 鍼灸により肺経・腎経にアプローチし、自律神経の調整や免疫強化を図ります。
  • 長期的な改善と再発防止を目指します。

犬の慢性気管支炎と暮らすための生活上の注意点

日常生活のなかでも、わんちゃんの呼吸を楽にしてあげる工夫ができます。

おうちでできる環境づくり

咳の悪化を防ぐためには、日々の生活環境の見直しが重要です。

  • 空気清浄機・加湿器を使用し、室内の環境を整える
  • 首輪ではなくハーネスを使い、気管への負担を軽減
  • 季節の変わり目はとくに注意し、体調をこまめに観察する
  • 興奮を避け、穏やかな生活リズムを維持する
  • 小さな変化に気づけるよう、定期的な診察を受ける
気管を圧迫しにくいY字型ハーネスを着けて軽やかに歩くチョコタンのチワワ(首元がゆったりしている様子)

たとえ小さな変化でも、飼い主さまの「いつもと違うかも」という感覚が早期発見につながります。

当院おすすめの気管サポートハーネス

当院では、気管を圧迫しにくいやさしいハーネスを取り扱っています。

アニサポ ハーレスト (anifull)

  1. 気管に当たらない
    気管を避けたY字形状の首もと
    で、愛犬の気管を圧迫しにくくしています。

  2. 胸や脇を締め付けない
    肩部分にクッションパッドを配置することで、胸や脇部分に加わる衝撃を逃がし、圧力を軽減しています。

  3. 動きを妨げない
    首の後ろを締め付けないので、歩く・走る動作がしやすく、ワンちゃんの身体の丸みに合わせ縫製しフィット性を追求しています。

アニサポ ハーレストの公式サイトはこちら
気管にやさしい犬の散歩用ハーネス アニサポ ハーレスト

咳が長引いている、苦しそうな様子が続いていると感じたら、早めの受診をご検討ください。

犬の慢性気管支炎のまとめ

犬の慢性気管支炎は、生活環境・加齢・体質などさまざまな要因が関与する病気です。

早期発見・早期治療により、進行を抑えて快適な生活を送ることが可能です。

池田動物病院では、西洋医学と東洋医学の両面からアプローチし、わんちゃんの健康を支えます。

「咳が長引いている」
「夜中に苦しそうにしている」
といった症状が見られた場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の執筆・監修
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次