ハムスターの腫瘍|症状・原因・治療・予防をわかりやすく解説【川崎市・池田動物病院】

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

ハムスターさんはその小さな身体と愛くるしい仕草で、多くの飼い主さまにとってかけがえのない存在です。
しかし、身体が小さいからこそ健康状態の変化に気づきにくく、命にかかわる病気に気づくのが遅れることもあります。
その中でも「腫瘍(しゅよう)」は、特に注意すべき病気の一つです。

当院では、ハムスターさんの腫瘍診療にも力を入れております。
この記事では、腫瘍の種類、症状、原因、検査法、治療法、予後、予防について、飼い主さまにわかりやすく解説いたします。
ハムスターさんの健康を守る第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

お腹に腫瘍ができて少し痩せたゴールデンハムスターが、心配そうな表情で座っている様子のイラスト。
目次

ハムスターの腫瘍とは|良性腫瘍と悪性腫瘍の違い

ハムスターさんにできる腫瘍には「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(がん)」の2種類があります。
良性腫瘍は、体内でゆっくりと成長し、転移のリスクが低いのが特徴です。
一方、悪性腫瘍は短期間で急激に大きくなり、周囲の臓器やリンパ節、血流を介して全身へ転移する危険性があります。

ハムスターさんは犬や猫と比べて身体が小さいため、ほんの小さなしこりでも命にかかわる可能性があります。
さらに、ハムスターさんは痛みや不調を隠す性質があるため、見た目でわかる頃には腫瘍が進行していることもあります。

特に、ゴールデンハムスターさんやジャンガリアンハムスターさんでは腫瘍の発生が多い傾向にあります。
日頃からスキンシップや健康チェックを行うことが、早期発見・早期治療につながります。

よく見られるハムスターの腫瘍の種類と特徴

ハムスターさんに多く見られる代表的な腫瘍には以下のような種類があります。

皮膚にできるしこり(皮膚腫瘍)

体表の皮膚の下にコリコリとしたしこりが触れるタイプの腫瘍です。
高齢のハムスターさんに特に多く見られます。
良性の場合はゆっくりと成長しますが、悪性腫瘍では短期間で大きくなり、皮膚の潰瘍や出血を伴うこともあります。
なかなか改善しない皮膚病が検査をしたら腫瘍(皮膚型リンパ腫)というケースも少なくありません。

女の子に多い乳腺腫瘍

女の子のハムスターさんに比較的多く見られる腫瘍で、乳腺に沿ってしこりができるのが特徴です。
進行が早く、肺など他の臓器への転移が見られるケースもあり、早期の対応が求められます。

気づきにくい内臓腫瘍(肝臓・脾臓など)

見た目にはわかりにくく、発見が遅れやすい腫瘍です。
食欲低下や体重減少、腹部の膨張、便や尿の異常といった症状が出た場合には、内臓腫瘍を疑う必要があります。

ハムスターに腫瘍ができるのはなぜ?遺伝や環境が関係する?

ハムスターさんの腫瘍には、以下のような要因が複合的に関与していると考えられています。

  • 加齢による細胞変異
    年齢を重ねるごとに、細胞分裂時のエラーを修復する機能が低下し、腫瘍のリスクが高まります。

  • 遺伝的素因
    血統や品種によって、腫瘍ができやすい傾向があることが知られています。
    特に、ゴールデンハムスターさんは腫瘍の発症率が高い品種です。

  • ホルモンの影響
    女の子のハムスターさんでは、ホルモンの変化が乳腺腫瘍の発症と関係していることがあります。

  • 環境やストレス
    不衛生なケージや過密飼育、急激な温度変化はハムスターさんにとって強いストレスになります。
    ストレスは免疫力を低下させ、腫瘍発症の引き金となることがあります。

ハムスターの腫瘍に見られる初期症状とは?

腫瘍に気づくためには、次のような症状に注意しましょう。

  • 体表にコリコリしたしこりができた
  • しこりが短期間で大きくなっている
  • 食欲がなくなった、好きな食べ物も食べない
  • 体重が徐々に減少している
  • 活動量が低下し、動かずじっとしていることが増えた
  • 呼吸が浅く早い
  • 排泄物の色や形に異常がある
  • 血尿や下血が見られる

こうした変化は、飼い主さまが毎日の観察で気づける初期症状です。
異変を感じたら、すぐに獣医師に相談してください。

ハムスターの腫瘍の検査方法

腫瘍を正確に診断するためには、以下のような検査を組み合わせて行います。

動物病院ではどんなチェックをする?視診・触診とは?

しこりの位置・大きさ・硬さ・動きなどを診察します。
体表の腫瘍であれば、比較的早期に判断できます。

ハムスターの腫瘍はどう調べる?細胞診や画像検査について

FNA

細い針で腫瘍から細胞を吸引し、顕微鏡で腫瘍の種類を調べます。
比較的短時間で行える検査で、ハムスターさんへの負担も少なく済みます。

レントゲン・エコー

内臓腫瘍や転移の有無を調べるために、レントゲンや超音波検査を行います。
腫瘍の位置・大きさ・周囲臓器との関係を把握するために有用です。

組織検査でわかる腫瘍の悪性度

外科手術で摘出した腫瘍を病理検査に出し、詳細に分析します。
腫瘍の悪性度を明確に判断するために最も信頼性が高い方法です。

ハムスターの腫瘍に対する治療法

治療方針は、腫瘍の種類、進行具合、ハムスターさんの年齢や体調によって異なります。

腫瘍の手術ってどんな内容?ハムスターにできる処置とは?

腫瘍の完全摘出を目指す方法です。
良性腫瘍や、転移のない悪性腫瘍には効果的です。
当院では麻酔や術後管理にも細心の注意を払い、小さな身体のハムスターさんにも負担がかからないように配慮しています。

手術以外にどんな治療がある?内科治療や抗がん剤について

手術が困難な場合や高齢個体に対しては、腫瘍の進行を抑える内服薬や、免疫力を高めるサポート療法を行うことがあります。
抗がん剤の使用はケースバイケースで、リスクとメリットを慎重に判断します。

ゴールデンハムスターが、薄黄色の液体が入った点眼瓶のボトルを見つめているイラスト。

治療が難しいときは?緩和ケアでできることとは?

腫瘍の進行が進んでいる場合は、痛みを和らげたり、食欲を保ったりすることを目的に、生活の質(QOL)を保つ緩和ケアを優先します。

腫瘍があると寿命は短くなる?ハムスターの予後とは?

早期発見・治療で長生きできる可能性も

ハムスターさんの腫瘍の予後は、腫瘍の種類と発見時期によって大きく異なります。
早期に発見され、適切な治療が行われれば、再発せず長生きできるケースもあります。

進行がんの場合の生活ケア

進行がんの場合は、余命が数週間~数か月ということもあります。

体重や活動量の変化にすぐ気づけるように、日頃から健康観察を欠かさず行うことが大切です。

ハムスターの腫瘍を予防するには

~家庭でできる早期発見・予防対策~

  • 毎日同じ時間に体重測定を行う
    体重の増減は健康状態の大きな指標です。

  • 毎日のスキンシップで触診を習慣にする
    体表のしこりや腫れは、早期に気づくことが可能です。

  • ケージの掃除を徹底し、清潔な環境を保つ
    感染症やストレスのリスクを減らします。

  • 温湿度を安定させる
    極端な気温変化はハムスターさんの免疫を下げ、腫瘍を助長する要因になります。

  • 高齢(2歳以上)になったら半年に1度の健康診断を
    無症状の腫瘍でも定期検査で早期に発見できる可能性があります。

川崎市でハムスターの腫瘍治療なら池田動物病院へ

ハムスターさんの腫瘍は、見つけた時にはすでに進行していることも少なくありません。
しかし、早期に気づき、適切な処置を行えば、元気に暮らせる時間を延ばすことが可能です。

当院では、ハムスターさんの診療経験が豊富な獣医師が在籍し、小さな命に対しても丁寧な検査と治療を行っています。
しこりに気づいた、体調が気になる、そんな時はどうぞお気軽にご相談ください。

ハムスターさんを含むエキゾチックアニマルの診療は、石井院長が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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