【ハリネズミの病気ガイド】症状・予防・受診の目安をやさしく解説｜川崎市・池田動物病院

川崎市中原区・武蔵小杉駅近くの池田動物病院です。

「最近、ちょっと動きが鈍いかも」
「針がごっそり抜けている気がする…」
――そんなささいな変化が、実は病気のサインであることもあります。

身体が小さく、体調不良を隠すのが得意なハリネズミさんにとって、早期発見と適切な対応が健康寿命を延ばすカギとなります。

この記事では、よく見られる病気の症状、予防法、受診のタイミングなどをわかりやすく解説します。

ハリネズミによく見られる病気一覧

分類	病気例
皮膚疾患	外部寄生虫（ダニ）・皮膚真菌（カビ）
呼吸器疾患	くしゃみ・肺炎など
消化器疾患	下痢・便秘・寄生虫
歯科疾患	不正咬合・口内炎
代謝異常・肥満	肥満・過体重
腫瘍	良性・悪性のしこり
神経疾患	Wobbly Hedgehog Syndrome（WHS）
体温異常	低体温症・高体温症

代表的な病気とその症状・対処法

外部寄生虫（ダニなど）

• 症状
  針が抜ける、フケ・赤み、かゆみ、耳の分泌物など
  
  
• 原因
  不衛生な環境、他動物との接触、免疫低下
  
  
• 対処
  駆虫薬による治療、ケージの清掃、床材の交換、新規個体の隔離

呼吸器感染症（肺炎など）

• 症状
  くしゃみ、鼻水、呼吸が荒い、元気がない
  
  
• 原因
  温度変化、換気不足、ウイルスや細菌感染
  
  
• 対処
  室温管理、換気、早期の動物病院受診

消化器疾患

• 症状
  下痢、便秘、腹部の張り、食欲減退
  
  
• 原因
  食事の急変、ストレス、寄生虫
  
  
• 対処
  食事管理、水分補給、便のチェック、必要に応じて薬投与

歯・口のトラブル

• 症状
  食べにくい、よだれ、口周りの汚れ
  
  
• 原因
  不正咬合、遺伝、硬い餌不足
  
  
• 対処
  動物病院でのチェックと歯処置、固めのペレットの導入

肥満

• 症状
  動きが鈍い、回し車を使わない、体型の変化
  
  
• 原因
  食べ過ぎ、運動不足
  
  
• 対処
  食事管理、低カロリーフード、遊びの時間確保

腫瘍（がん）

• 症状
  しこり、体重減少、元気消失
  
  
• 原因
  加齢、遺伝、慢性炎症
  
  
• 対処
  早期診断、摘出手術、日常的な身体チェック

神経疾患：Wobbly Hedgehog Syndrome（WHS）

• 症状
  後ろ足のふらつき、倒れる、運動不能へ進行
  
  
• 原因
  遺伝的要因が強く、原因不明
  
  
• 対処
  治療法はなく、生活サポートが中心。痛みの緩和などが必要

病気を予防するためにできること

対策	内容
飼育環境の清潔保持	週1回以上の清掃、床材交換、湿気対策
温度と湿度の管理	室温24～28℃、湿度40～60％を保ち、急変を避ける
運動とストレス軽減	回し車、放牧、おもちゃの導入
食事管理	高品質ペレット、副食の調整、清潔な水の常備
健康観察と診察	毎日の体調確認と年1回の健康診断（高齢個体は半年に1回）

こんなときはすぐに動物病院へ

• 動きが鈍くぐったりしている
• 食欲の急な低下、体重減少
• 下痢や便秘が続いている
• 呼吸が苦しそう、くしゃみ、分泌物がある
• 針が異常に抜ける、皮膚炎がある
• 足を引きずる、ふらつきがある
• 硬いしこりや口臭が目立つ

よくある質問（FAQ）

Q. ダニが少なくても見た目に変化がないことはありますか？

A. はい。
軽度のダニ感染では症状がほとんど出ないことがあります。
見た目ではなく、皮膚のかゆみや針抜けなどの小さな兆候を見逃さないことが大切です。

Q. Wobbly Hedgehog Syndromeは治りますか？

A. 残念ながら完治する治療法は確立されていません。
進行を遅らせたり症状を和らげたりするサポートを獣医師と相談しながら行うことが基本です。

Q. どのくらいの頻度で健康診断を受けるべきですか？

A. 2～3歳未満では年1回を目安に。
高齢になると半年に1回のチェックをおすすめします。

まとめ｜ハリネズミの健康を守るために

ハリネズミさんは見た目のかわいらしさだけでなく、デリケートな身体を持っています。
ちょっとした変化を見逃さずに、環境・食事・運動を整えること、そして症状が出たら早めに動物病院へ相談することが、元気で長生きするために何よりも大切です。

気になることがあれば、小さなことでもお気軽にご相談ください。

ハリネズミさんを含むエキゾチックアニマルの診療は、石井院長が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。

この記事の執筆・監修 
執筆：菊地（さ）　愛玩動物看護師
監修：名取　獣医師