犬の口臭は病気のサイン?

川崎市中原区の飼い主の皆様、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

飼っているワンちゃんの口臭が気になる飼い主様は少なくありません。
病気の症状の1つではないかと相談を受けることもあります。
今回は口臭の原因と病気との関わり合い、対策方法についてまとめてみました。

目次

1. 犬の口臭のさまざまな原因と病気との関わり合いについて

ワンちゃんの口臭の原因には、様々な要因が挙げられます。

病気を背景に口臭が発生している場合が多いですが、食事や飼育状況を原因とする場合もあります。

以下にまとめて挙げてみました。

(1) 口腔内疾患

口臭の原因の中で最も1番多い原因が歯周病であるとされています。

歯周病は、歯垢や歯石から発生する臭いや、化膿した部分から発生する臭いが口臭の原因となります。

歯周病を原因とした口臭は「腐った臭い」として表現されます。

また、口内炎や口腔内腫瘍でも同様の臭いの症状や口の痛み、食欲不振がみられます。

(2) 内臓疾患

胃や腸、肝臓、腎臓といった内臓の病気でも口臭に異常が出ることがあります。

胃や腸では炎症がある場合は胃酸過多によって「酸臭」、停滞がある場合は「便臭」、腎臓や肝臓が悪くなると老廃物が体内に溜まり「アンモニア臭」として感じられるようになります。

(3) 食べ物による影響

においが強い食べ物を食べた後や開封してしばらく時間の経過した食べ物を与えると口臭がきつくなることがあります。

また、食糞行動をしてしまう場合も口臭に影響を与えます。

(4) 口腔内の乾燥

口腔内の水分が不足すると唾液が濃縮されて口臭の原因となります。

暑い季節は口を開けて呼吸をする開口呼吸が増えるため、口腔内が乾きやすく脱水を起こしやすいため、口臭が悪化しやすい季節と言えます。

口腔内の乾燥を原因とした口臭は「生臭い」「魚臭い」といった臭いで表現されます。

2. 犬の口臭予防と対策

ワンちゃんの口臭の原因となるさまざまな要因を挙げました。

次はどのようにしたら口臭の改善や治療につながるのか、また口臭が発生しないようにするためにはどのように予防したらよいのかを挙げさせていただきます。

(1) 歯磨きの習慣化

食べかすが口の中にのこると歯垢がたまり、歯垢は歯石へ変化していきます。

歯垢や歯石が口臭の原因となるため、食事をした後は、歯ブラシを使ったブラッシングを心がけましょう。

歯ブラシ以外にも歯磨きシートや繊維質の布などを用いて歯の表面を拭うことも効果があります。

ブラッシング時には人間で使う歯磨き粉のように、ワンちゃんにも専用の歯磨き粉やデンタルジェルを使用するとさらに効果が高まります。

歯ブラシ、専用の歯磨き粉、デンタルジェルは病院でもとりあつかっておりますのでお気軽にご相談ください。

(2) その他のデンタルケア商品

歯ブラシや歯磨きシートをきちんとできることが一番であることはかわらないですが、なかなか慣れていないと口の中にものを入れさせてくれないワンちゃんも少なくないと思います。

その場合はデンタルガムを噛ませたりやロープやタオルのおもちゃを噛んで遊ぶといった、歯に摩擦の刺激を加える方法も有効とされています。

(3) フードの変更

ドッグフードはウェットタイプよりもドライタイプの方が食べる際に歯を使って嚙み砕くため、歯垢や歯石が付きづらいです。

また、フードの大きさや形状や素材が工夫されており、食べるだけで歯磨き効果の高いフードもあります。

病院で取り扱っておりますので、是非ご相談ください。

(4) 病院での歯石治療

しっかりと歯に付着してしまった歯石は容易に取ることができません。

歯石を完全に除去し口臭を改善させるためには、麻酔下で超音波スケーラーを用いた歯石治療が必要となります。

無麻酔下でおこなう歯石治療もありますが、歯の裏側に付着してしまった歯石は除去できず、残念ながら口臭改善は期待できません。

麻酔下では口腔内の環境もしっかりと観察できるため、歯石治療以外にも口腔内のできものや口内炎を発見して治療に役立ちます。

(5) 内臓疾患

口臭の原因が内臓疾患から生じている場合、多くのケースでは口臭以外に食欲や元気の低下など体調不良を起こしていることがみられます。

病気として重大な問題を抱えていることが多いため、口臭よりも体調不良から来る症状の方が目立っているかもしれません。

病院で病気の原因をしっかりと検査し、適切な治療を受けましょう。

(6) 適度な運動やこまめな水分補給

運動不足は代謝機能の低下を引き起こし、体内に不要なものを溜め込んで口臭の原因となる可能性があります。

また、水分が不足すると口腔内の唾液が濃縮され、口臭の原因となります。

ストレス解消のためにも適度な運動をおこない、食事を取った後には水分補給を促して口臭対策をおこないましょう。

3. まとめ

犬の口臭の原因は問題ないものから重篤な病気までいろいろな可能性があります。

口臭のパターンから原因を予測することもできますが、飼い主様ご自身で見極めることは難しいと考えます。

ワンちゃんの口臭が気になる飼い主様は、病院で歯石の付き方や口の中にできものができていないか状態を確認してもらい、食欲や元気の低下など体調不良が生じている場合には内臓の病気を考えて積極的に検査を検討してください。

当院では診察で口腔内の状態確認はもちろん、春と秋の年2回の血液検査キャンペーンも行っておりますので是非ご利用してください。

また、ご自宅では常日頃から歯みがきや口腔ケアを少しずつからでも実践していただき、水分補給や運動を定期的におこなうように心がけて、口臭予防・対策をおこないましょう。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

この記事を書いた人

目次
閉じる