犬・猫に危険な植物について

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅近くの池田動物病院です。

植物を飾ることでお部屋が華やぎ、リラックス効果も得られます。
しかし、私たちの生活に身近な植物の中には、わんちゃんやねこちゃんにとって命に関わるほど危険なものがあることをご存じでしょうか？

この記事では、わんちゃんやねこちゃんにとって危険な植物とその理由、症状、対処法、予防策について解説します。

大切な愛犬・愛猫の健康と安全を守るために、ぜひ最後までお読みください。

犬・猫にとって危険な植物一覧

まず、わんちゃんやねこちゃんにとって危険な植物を一覧でご紹介します。

これらの植物は、観葉植物として人気のものや、お散歩中に見かけることが多い草花が含まれています。

植物名	危険な部位
ユリ科（テッポウユリなど）	全体（特に花粉や花瓶の水も危険）
チューリップ	球根が特に危険
スズラン	全体
スイセン	全体（特に球根）
ポトス	葉、茎
アイビー	葉、茎
アロエ	葉の内部
アジサイ	全体（特に花や葉）
ポインセチア	樹液
ツツジ科	花、葉
ヒガンバナ	球根
オシロイバナ	全体
クリスマスローズ	全体
ナス科植物（ジャガイモ、トマトなど）	未熟な果実、葉、茎

犬・猫にとって危険な植物の代表例と症状

ここでは、特に注意が必要な植物について詳しく解説します。

ユリ科（テッポウユリ、チューリップなど）

ユリ科の植物は、特にねこちゃんにとって非常に危険です。
お花の部分はもちろん、葉や花粉、さらには花瓶のお水にまで毒性があります。
わんちゃんやねこちゃんが食べてしまうと、ほんのわずかな摂取でも急性腎不全を引き起こします。
チューリップは球根が特に危険です。

○症状

• 軽度：嘔吐、食欲不振、元気消失
• 重度：急性腎不全、けいれん、最悪の場合死亡

スズラン

スズランはわんちゃんやねこちゃんだけでなく、すべての動物に有毒です。
コンバラトキシンという毒成分が含まれています。
口にしなくても接触するだけで影響が出る場合もあります。
ユリ科の植物と同様に、花瓶のお水を飲んだだけでも命に関わります。

• 軽度：嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失
• 重度：心拍数低下、不整脈、けいれん

スイセン（ヒガンバナ科）

スイセンの球根には、アルカロイド系の毒（リコリンなど）が含まれており、誤食すると危険です。

• 軽度：嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振
• 中度：よだれ、呼吸困難
• 重度：不整脈、ふるえ、けいれん、昏睡

ポトス（サトイモ科）

ポトスはつる性の観葉植物として人気ですが、葉や茎に含まれるシュウ酸カルシウムが有毒です。

• 軽度：嘔吐、よだれ、口や喉の炎症
• 重度：嚥下困難、食欲不振

アイビー（ウコギ科）

アイビーはつる性の観葉植物で、葉や茎に軽い毒性があります。

• 軽度：嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振
• 重度：呼吸困難、嚥下困難、口腔内の炎症

アロエ（アロエベラ・キダチアロエ）

アロエには、サポニン・バルバロイン・アントラキノンの成分が含まれています。

• 嘔吐、下痢、胃腸炎、腎臓への負担

アジサイ

アジサイの花や葉、根に含まれるアミダグリン（青酸配糖体）が中毒を引き起こすと言われています。
わんちゃんは地面を掘ったり、ねこちゃんは身体についたお花や花粉を毛づくろいで舐めとったりしてしまう可能性もありますので、気を付けましょう。

• 軽度：嘔吐、下痢
• 重度：昏睡、呼吸困難

ポインセチア

ポインセチアの白い樹液にはホルボールという毒性の物質が含まれています。

• よだれ、嘔吐、下痢、食欲不振
• 軽度の皮膚炎

ツツジ科（セイヨウツツジ、アセビ、アザレア、シャクナゲなど）

ツツジ科には、グラヤノトキシンという毒が含まれています。

• 軽度：よだれ、嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振
• 重度：元気消失、最悪の場合死亡

ヒガンバナ

ヒガンバナには、リコリン・セキサニン・ガランタミンなどの、アルカロイド系の毒が含まれています。

• 軽度：嘔吐、下痢
• 重度：けいれん、最悪の場合死亡

オシロイバナ（オシロイバナ科）

オシロイバナは全草に毒性成分（トリゴネン）が含まれています。

• 嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振、元気消失
• 皮膚にも有害

クリスマスローズ（キンポウゲ科）

キンポウゲ科は毒性を持つ植物が多く、クリスマスローズの主な毒性は強心配糖体やサポニン、プロトアネモニンであると考えられています。

○症状

• 軽度：よだれ、嘔吐、下痢、腹痛、食欲不振
• 重度：呼吸困難、元気消失、けいれん、最悪の場合死亡

犬・猫が有害な植物を食べてしまった場合の対処法

すぐに動物病院へ連絡

摂取した植物の名前、量、摂取した時間を記録しましょう。

植物の写真を撮影

獣医師に写真を見せることで診断がスムーズになります。

症状がなくても油断しない

植物による中毒は時間差で症状が出る場合があります。
早めに診察を受けましょう。

植物による中毒を防ぐためのポイント

○家庭での注意

• ペットが届かない場所に植物を配置しましょう。
• 危険な植物は家庭内に置かないようにしましょう。

• リードを短く持ち、拾い食いを防止しましょう。
• 拾い食い防止用のマズルガード（口輪）も検討すると安心です。

安全な植物を選ぶ

ペットがいる家庭では、安全とされている植物を選び、わんちゃんやねこちゃんにとって有害なものを避けましょう。

○ペットに安全な植物例

• パキラ
• ガジュマル
• サンセベリア
• テーブルヤシ
  など

犬・猫に危険な植物のまとめ

植物の中には、わんちゃんやねこちゃんにとって非常に危険なものが多くあります。

わんちゃんやねこちゃんにとって危険な植物を知り、家庭やお散歩中での安全対策を徹底することで、大切なペットの健康を守ることができます。

愛犬や愛猫が安心して生活できる環境を作るために、日頃から植物の管理に注意し、何かあればすぐに動物病院に相談することを心がけましょう。