犬・猫に絶対与えてはいけない食べ物について

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

わんちゃん・ねこちゃんは、私たち家族の一員として多くの愛情を受けて暮らしています。
だからこそ、彼らの健康を守るためには、飼い主である私たちが正しい知識を持つことがとても重要です。

この記事では、わんちゃんやねこちゃんに絶対与えてはいけない食べ物とその理由、症状、対処法、予防策について解説します。

知らなかった、気を付けていなかったという些細なミスが、愛犬や愛猫の命に関わることもあります。

この機会にぜひ、危険な食品についての知識を深め、大切なペットの健康を守りましょう。

目次

犬・猫に絶対に与えてはいけない食べ物一覧

わんちゃんやねこちゃんにとって危険な食品は、私たちヒトにとってはごく普通の食べ物であることが多いです。
こうした食品を誤って食べてしまうと、中毒症状最悪の場合命に関わるケースもあります。

わんちゃんやねこちゃんにとって危険な食べ物を一覧にまとめましたので、ご紹介します。

犬・猫に危険な食べ物一覧

食べ物代表的な症状
チョコレート・ココアよだれ、嘔吐、下痢、興奮、ふるえ
カフェイン(お茶、コーヒー)嘔吐、下痢、頻尿、ふるえ、けいれん
ネギ類嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失、貧血
ブドウ・レーズン嘔吐、下痢、元気消失、食欲不振
キシリトール嘔吐、元気消失、ふらつき
アボカド嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失
マカダミアナッツ嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失
銀杏よだれ、嘔吐、下痢、元気消失
鶏の骨嘔吐、血便、食欲不振、呼吸困難
香辛料(唐辛子、コショウなど)よだれ、嘔吐、下痢、食欲不振
アルコールよだれ、嘔吐、下痢、元気消失、ふらつき

犬・猫に絶対に与えてはいけない食べ物の代表例と症状

飼い主さんが注意すべき具体的な食品について、詳しく解説していきます。

チョコレート・ココア

チョコレートココアは、わんちゃんやねこちゃんにとって、危険な食品のひとつです。
甘い香りに惹かれて誤って食べてしまうケースが多いのですが、これらには「テオブロミン」と呼ばれる毒性物質が含まれています。

○危険性

  • テオブロミンカフェインは、わんちゃんやねこちゃんの体内で分解されにくく、少量でも中毒症状を引き起こします。
  • 中毒の発症は食べた量や体重に依存しますが、体重が軽い小型犬や猫は特に注意が必要です。

○主な症状

  • 軽度:よだれ、嘔吐、下痢、興奮、ふるえ、不整脈
  • 重度:けいれん、呼吸困難、最悪の場合死亡

○チョコレートの種類別リスク:カカオ含有量の高いチョコレートほど危険

  • ダークチョコレート: 最も毒性が高い
  • ミルクチョコレート: 中程度の危険性
  • ホワイトチョコレート: テオブロミン含有量は少ないが、高脂肪で別のリスクあり

カフェイン(お茶・コーヒーなど)

カフェインは、わんちゃんやねこちゃんにとって非常に危険な成分です。
緑茶コーヒー紅茶だけでなく、エナジードリンクや一部の炭酸飲料にも含まれています。

危険性

  • 中枢神経系や心臓に強い刺激を与えます。
  • 少量でも中毒を引き起こし、症状が急速に進行することがあります。

症状

  • 軽度:嘔吐、下痢、頻尿、心拍数の増加、ふるえ、けいれん
  • 重症:呼吸困難、昏睡状態

ネギ類(玉ねぎ、長ネギ、ニンニク、ニラ、らっきょうなど)

ネギ類は、わんちゃんやねこちゃんの赤血球を破壊し「溶血性貧血」を引き起こします。
摂取量が少なくても影響を受けることがあるため、特に注意が必要です。

危険性

  • ネギ類に含まれる「硫化アリル」が赤血球を破壊します。
  • 加熱しても毒性は残るため、調理済みの食品(スープやソースなど)も危険です。

症状

  • 軽度:嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失、貧血
  • 重度:黄疸、呼吸困難、血尿

※特に、柴犬さんは他の犬種よりも玉ねぎに対する感受性が高いと言われていますので、注意しましょう。

ブドウ・マスカット、レーズン(干しブドウ)

ブドウレーズンは、わんちゃんやねこちゃんにとって「急性腎不全」を引き起こす可能性があります。
原因物質はまだ解明されていませんが、少量でも命に関わることがあります。
生のブドウだけでなく、レーズンも同様に危険ですので、ブドウパンやレーズンサンドなどにも気を付けましょう。

○症状

  • 嘔吐、下痢、元気消失、食欲不振
  • 腎不全が進行すると尿が出なくなります

キシリトール

キシリトールは、人工甘味料としてガムやキャンディー、ダイエット食品などに使用されています。
わんちゃんでは、少量でも血糖値の急激な低下肝不全を引き起こします。

○症状

  • 軽度:嘔吐、元気消失、ふらつき
  • 重度:けいれん、昏睡、肝不全

アボカド

アボカドに含まれる「ペルシン」は特に鳥類やうさぎ、馬などに対して毒性が強いことで知られていますが、わんちゃんやねこちゃんに対しても注意が必要です。
心臓や肺に影響を与えるおそれがあります。

種や皮を食べた場合は、物理的な腸閉塞を引き起こす可能性もあります。

○症状

  • 軽度:嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失
  • 重度:腹部膨満感、呼吸困難、心拍増加、不整脈、最悪の場合死亡

マカダミアナッツ

マカダミアナッツに含まれる毒性成分は解明されていませんが、わんちゃんが摂取した場合、中毒症状を引き起こすことが確認されています。

ねこちゃんでの中毒例は非常に少ないですが、与えないことが安全です。

○症状

  • 軽度:嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失
  • 中度:筋力低下、ふるえ、けいれん、発熱、腹痛
  • 重度:急性膵炎、呼吸困難、最悪の場合死亡

銀杏

銀杏に含まれるメチルピリドキシンという毒性物質は、わんちゃんやねこちゃんの神経系に影響を与え、中毒症状を引き起こす原因となります。

○症状

  • 軽度:よだれ、嘔吐、下痢、元気消失
  • 中度:筋肉の震え、ふらつき、呼吸が速くなる
  • 重度:けいれん、高体温、意識障害、最悪の場合死亡

鶏の骨

鶏の骨は、鋭利に割れる性質があり、摂取すると深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。

○症状

消化管の傷害:鋭利な骨片が消化管を傷つけることで、次のような症状が現れることがあります。

  • 嘔吐、血便、腹痛

腸閉塞

  • 嘔吐、食欲不振、排便が止まる・便が少量しか出ない、脱水症状

窒息

  • 呼吸困難、咳、激しいよだれ、舌や歯茎が青白くなる

香辛料(唐辛子、コショウなど)

香辛料に含まれる成分は、消化器官を刺激したり、中毒症状を引き起こす可能性があります。
特に唐辛子コショウ、玉ねぎ、ニンニクなどの香辛料はわんちゃんやねこちゃんにとって非常に有害で、少量でも症状が出る場合があります。
(玉ねぎ、ニンニクの誤食は上記参照)

唐辛子(カプサイシン)

  • 唐辛子に含まれるカプサイシンは、わんちゃんやねこちゃんの消化管を刺激し、激しい胃痛下痢嘔吐を引き起こします。
  • カプサイシンは神経系にも影響を与え、過剰摂取により神経障害が発生することもあります。

玉ねぎ・ニンニク(硫化アリル)

  • 玉ねぎやニンニクには硫化アリルという成分が含まれており、これが赤血球を破壊して溶血性貧血を引き起こします。
  • 玉ねぎ中毒の症状は少量でも起きることがあり、症状が出るまでに時間がかかることがあります。

コショウ

  • コショウに含まれるピペリンは、胃腸を刺激し、吐き気下痢を引き起こすことがあります。
  • 香りが強いため、嗅覚の鋭いわんちゃんやねこちゃんにとってストレスの原因にもなります。

ナツメグ

  • ナツメグにはミリスチンという成分が含まれており、これが中毒症状を引き起こします。
  • 中毒症状として、神経過敏ふるえけいれんなどが見られることがあります。

シナモン

  • シナモン自体の毒性は低いですが、大量に摂取すると胃腸障害呼吸困難を引き起こす可能性があります。
  • シナモンを含む加工食品には、他の危険な成分が含まれていることが多いため注意が必要です。

○香辛料を誤食した際の症状

  • 軽度:よだれ、嘔吐、下痢、食欲不振
  • 中度:腹痛、元気消失、眼や口の周囲の赤み・炎症
  • 重度:
    ・ふるえ、けいれん(唐辛子、ナツメグ)
    ・呼吸困難(香辛料を吸い込んだ時)
    ・貧血(玉ねぎ、ニンニク)
    ・意識障害:きわめて重篤

アルコール

わんちゃんやねこちゃんは、アルコールを分解する酵素をほとんど持っていないので、少量でも急性中毒を引き起こします。

○症状

  • 軽度:よだれ、嘔吐、下痢、元気消失、ふらつき
  • 中度:呼吸が速い、体温低下、血圧低下、意識混濁
  • 重度:ふるえ、けいれん

もしも犬・猫が危険な食べ物を食べてしまった場合

速やかに動物病院に連絡す

食べた時間、食品の種類を可能な限り把握して伝えましょう。

症状がなくても早めに受診する

中毒症状はすぐに現れない場合もあるため、「大丈夫かも」と油断しないことが大切です。

食品のパッケージを持参

動物病院に行く際は、食品の成分が分かるパッケージを持参してください。

犬・猫にとって危険な食べ物の「誤食・誤飲」を防ぐための対策

わんちゃんやねこちゃんが危険な食品を口にしないよう、日頃から次のような対策を徹底しましょう。

食品管理の徹底

  • 危険な食品はペットが届かない場所に保管しましょう。
  • ごみ箱にはをつけましょう。

散歩中の拾い食い対策

  • ペットが落ちているものを口にしないよう、リードを短めに持ちましょう。
  • 拾い食い防止用のマズルガード(口輪)も検討すると安心です。

家族全員でルールを共有

  • ペットにヒトの食べ物を与えないことを家族みんなで徹底しましょう。
  • 特に子どもには注意を呼びかけることが重要です。

犬・猫に絶対与えてはいけない食べ物のまとめ

ヒトが日常で食べているものの中には、わんちゃんやねこちゃんにとっては非常に危険なものが多くあります。

わんちゃんやねこちゃんにとって危険な食品を知り、家庭内での管理を徹底することで、大切なペットの健康を守ることができます。

愛犬や愛猫が安心して生活できる環境を作るために、日頃から食べ物の管理に注意し、何かあればすぐに動物病院に相談することを心がけましょう。



投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次