ペットにも鍼灸治療

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

ペットに鍼灸治療と聞くと、少し意外と思われる方もいるのではないでしょうか。
ヒトでは鍼灸というと肩こりやギックリ腰のイメージなどがあると思います。
ペットでも、椎間板ヘルニアなど、筋肉や関節の問題がある時にするものだというイメージがあるかもしれません。
実はそれだけではないんです。

動物たちのストレスを軽減し、自然治癒力を高めてくれる治療として、近年、ペットの中医学が注目を集めています。
その中でも鍼灸治療はペットの体に癒しと健康をもたらしてくれる治療法です。

目次

中医学の考え方

中医学では、いま、体に現れている症状の原因は、体の機能のバランスが乱れているところにあると考えます。
そして、体全体のバランスを整えることで、ペットのもつ自然治癒力を高め体を健康な状態へと導くことが中医学の治療とされています。

中医学で考える健康は、体を構成する3つの要素「気」「血」「津液」が過不足なく体を巡っている状態のことを言います。
その中でも特に重要視される「気」は、簡単に言うと生命活動を源となるエネルギーのことです。
「気」を補い体全体に「気」を巡らせる効果のある鍼灸治療は、ペットの病気の治療だけでなく健康維持にも役立ちます。

鍼灸治療とは

鍼灸治療は、鍼や灸を使って、ツボや経絡を刺激することで、ペットの体内のバランスを整えて体を健康へと導く治療法です。

ツボと経絡

ヒトの体には361個のツボがあると言われています。
ペットの体にも同じようにツボが存在します。
ツボはひとつひとつの独立したものではなく、経絡と呼ばれる気の通り道で繋がれています。
そして経絡は体中に張り巡らされています。
体の表面にあるツボを刺激することで、経絡の先にある内蔵を刺激することが出来ます。

手が届かない体の内部の問題を、ツボを使って治療出来るのは経絡のおかげです。

鍼について

鍼治療では、鍼を使ってツボを刺激します。
この時に使う鍼は、予防注射や採血の時に使う針よりも細いものを使います。
この細さはヒトの髪の毛ほどですから、ペットたちは、ほとんど痛みを感じません。

病院や注射が苦手なペットには、ローラー鍼などの刺さないでツボを刺激する鍼を使う事もあります。

灸について

灸治療ではモグサを使って、ツボに熱刺激を与えます。

レーザーについて

灸の代わりにレーザー治療器を使って、ツボを温める治療を行います。

鍼治療の適応

鍼灸治療と聞くと、ヒトだと肩こりや腰痛、ワンちゃんの椎間板ヘルニアや歩行異常のための治療というイメージがあるかもしれません。
実は、鍼灸治療に適応外の病気はありません。
もちろん、救急疾患や一部の病気の完治には不向きですが、あらゆる病気に対応することが出来ます。

鍼治療の適応症

あらゆる病気に適応する鍼灸治療ですが、得意な事と不得意な事があります。
椎間板ヘルニアや歩行異常、神経麻痺などの運動器や神経の病気を得意とします。
他にも、てんかんや前庭疾患にも効果的です。
嘔吐や下痢、尿漏れ、膀胱炎などの疾患の際にも鍼治療を行います。

健康維持に鍼治療

鍼治療は「気」という生命エネルギーの流れを整えて体調改善する治療です。
ですから、生命エネルギーが不足していて虚弱体質の若い子や、加齢に伴い生命エネルギーの不足している高齢の子まで、年齢を問わず治療を受ける事が出来ます。

鍼治療の効果と注意点

鍼治療に期待できる効果

鍼治療には鎮痛効果や血流促進、自律神経を整える効果、免疫細胞を活性化する効果などがあります。
心身共にリラックスすることが出来ます。

鍼治療の注意事項

大きな副作用はありませんが、施術後に血流が変化することにより疲労感が出ることがあります。
施術直後は、治療効果を高めるためにゆっくりと休息を取りましょう。
施術後に血流がよくなるので、高熱がある場合など施術を控えた方がよい場合があります。
気になる事がある場合には、獣医師に相談してみましょう。

鍼治療を開始する時期

不調を感じたら早めに相談をしてみましょう。
症状が長引いてしまうと、体のバランスが乱れ過ぎてしまい、バランスを整えるのに時間がかかってしまう事もあります。

まとめ

多くの体の不調や病気は、体の冷えや、「気」の巡りの悪さから起こります。
血行促進をし、巡りをよくしてくれる鍼治療は、体を温め、「気」の巡りをよくする事で、ペットたちの免疫力の向上や自然治癒力を高めてくれます。

また、鍼治療は体の負担が少ない治療です。
年齢や持病のために使える薬が制限されていたり、手術が難しい場合でも治療を受ける事が出来ます。
現在行っている治療と組み合わせて鍼治療を行う事も可能です。

年齢や病気を問わず鍼治療を受ける事が出来ます。
あなたもペットのために鍼治療を考えてみませんか?

投稿者プロフィール

名取(獣医師)

生まれ変わっても猫と暮らしたい。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次