【猫の病気ガイド】猫の肥大型心筋症（HCM）｜息が速い・元気がない…心臓からのサインと治療法を獣医師が監修｜池田動物病院・武蔵小杉・川崎市

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

ねこちゃんは普段とても我慢強く、体調不良を隠してしまう動物です。
特に「肥大型心筋症（HCM）」は、発見が遅れると命にかかわる心臓病であり、川崎市でも多くのねこちゃんが来院する疾患のひとつです。

飼い主さまが「最近ちょっと息が速いかもしれない」「元気がない日がある」と感じた程度の変化でも、検査をすると進行した状態だったケースも珍しくありません。

このコラムでは、ねこちゃんの肥大型心筋症が心配な飼い主さまに向けて、原因・初期症状・検査方法・治療・寿命・日常ケアまでを丁寧に解説いたします。

猫の肥大型心筋症とは？｜肥大型心筋症の特徴と病態

肥大型心筋症とは、ねこちゃんの心臓の筋肉（心筋）が異常に厚くなる心臓病です。

心臓の筋肉が厚くなると、心臓の中のスペースが狭くなり、血液をしっかり送り出せなくなります。
その結果として、全身の血流が低下し、肺に水が溜まる「肺水腫」、血栓ができてしまう「血栓症」など、命にかかわる状態を引き起こすことがあります。

特に遺伝的に発症しやすい猫種（メインクーン、ラグドール、スコティッシュフォールドなど）が増えていることも、肥大型心筋症の発見が増えている理由です。

猫の肥大型心筋症の原因｜遺伝・加齢・ストレスの関係

遺伝的に多い猫種

遺伝性の場合、若い2～3歳でも発症することがあります。

年齢とともに進む心臓の変化

8歳以上になると、心臓の老化によって心筋が厚くなることがあります。
当院でもシニア期に入ってから診断されるケースが増えています。

ストレス・肥満・内分泌疾患との関連

強いストレス、肥満、高血圧、甲状腺機能亢進症なども、肥大型心筋症を悪化させます。

猫の肥大型心筋症の初期症状｜早期発見したいチェックポイント

初期のねこちゃんの肥大型心筋症は無症状であることが多く、「健康診断の心エコー検査で偶然見つかった」というケースが全体の30～40％を占めます。

しかし、進行すると下記のような症状が見られます。

よくある症状

• 呼吸が速い
• 横になると呼吸がつらそう
• 食欲が落ちる
• 元気がなくなる
• 後ろ足を突然引きずる
• 急に倒れる

特に「後ろ足を引きずる」症状は、血栓が詰まる“動脈血栓塞栓症”の可能性があり、緊急治療が必要です。

猫の肥大型心筋症の検査方法｜心臓精密検査

ねこちゃんの肥大型心筋症の診断には複数の検査が必要です。

心臓超音波検査（心エコー）

最も重要な検査です。
心筋の厚さ、心臓の動き、血流の状態を詳しく確認できます。

心エコー検査は、石井院長が担当いたします。
心エコー検査をご希望の方は、お電話（044-433-2274）でのご予約をお願いいたします。

レントゲン検査

肺水腫の有無、心臓の大きさを確認します。

血液検査（NT-proBNP）

心臓への負担を示す数値です。
早期発見に役立ち、健康診断に追加する飼い主さまが増えています。

心電図

不整脈の有無を確認します。

猫の肥大型心筋症の治療法｜進行を抑える薬・食事・東洋医学ケア

ねこちゃんの肥大型心筋症は完治を目指す治療ではなく、進行を抑える「継続的な治療」が中心です。

薬物治療の目的と種類

• 心臓の負担を軽減する薬
• 血栓を予防する薬
• 血圧を下げる薬
• 利尿剤（肺水腫がある場合）

特に血栓予防は重要で、肥大型心筋症のねこちゃんの約30％が一生のうちに血栓を経験するといわれています。

心臓用療法食のポイント

• 塩分控えめ
• 高品質なたんぱく質
• 肥満対策

当院でもフードの取り扱いがございます。

東洋医学（漢方）科による体質改善サポート

池田動物病院では、東洋医学科でのサポートを行うことが可能です。

• 血流改善を目的とした漢方
• 気血の巡りを整える鍼灸
• 心臓の負担を減らす体質ケア

薬だけでは改善しきれない「体質そのもの」にアプローチできるため、継続することで呼吸状態の改善を実感する飼い主さまもいます。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話（044-433-2274）でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

猫の肥大型心筋症の寿命と予後｜症状別の生存期間

寿命は発症年齢や進行度によって大きく変わります。

• 無症状で発見された場合：数年～10年以上生存するケースもある
• 肺水腫などの症状が出た場合：1～3年
• 血栓症を起こした場合：予後は不良

早期発見・早期治療が寿命を大きく延ばします。

猫の肥大型心筋症の予防と家庭でできるケア

• 呼吸数を毎日チェック（1分間で20～30回が目安）
• 食欲や元気の変化に敏感になる
• ストレスの少ない環境を整える
• 適正体重を維持する
• 1年に1回は健康診断と心臓チェック

特に「呼吸数チェック」は飼い主さまでも簡単にでき、再発の早期発見につながります。

川崎市で猫の肥大型心筋症が心配な飼い主さまへ｜池田動物病院のサポート

ねこちゃんの肥大型心筋症は怖い病気ではありますが、早期に見つけて適切に治療を行うことで、長く穏やかに過ごせるねこちゃんはたくさんいます。

川崎市近隣で「呼吸が速いかも」「最近元気がない」と感じた場合は、ぜひ早めにご相談ください。
ねこちゃんとご家族の暮らしを、医療と東洋医学の両面から全力でサポートいたします。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話（044-433-2274）でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

この記事の執筆・監修 
執筆：菊地（さ）　愛玩動物看護師
監修：名取　獣医師