猫の秋の呼吸器疾患|東洋医学でできるケアと漢方【川崎市・池田動物病院】

秋と猫の呼吸器の関係

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

秋はヒトにとっても過ごしやすい季節ですが、ねこちゃんにとっては注意が必要な時期です。
昼夜の気温差が大きく、空気が乾燥し始めるため、呼吸器に負担がかかりやすくなります。

東洋医学では「秋は肺を養う季節」と考えられています。
乾燥(燥邪:そうじゃ)が身体に入り込むと、肺や鼻の粘膜がダメージを受け、咳・鼻水・鼻づまりといった症状が出やすくなります。
特に慢性鼻炎やアレルギー体質のねこちゃん、また高齢で体力が落ちてきた子は、秋の気候変化に敏感に反応することが多いのです。

秋の乾燥でくしゃみをしている猫
目次

秋に増える猫の呼吸器疾患

慢性鼻炎

ねこちゃんで非常に多い呼吸器疾患のひとつです。
ウイルス感染やアレルギーが原因で、くしゃみ・鼻水・鼻づまりが長く続きます。
秋の乾燥や寒暖差で悪化しやすく、夜中や朝方に症状が強く出ることもあります。

猫喘息(気管支炎)

アレルギー体質のねこちゃんに多く、発作的にヒューヒュー・ゼーゼーとした呼吸をするのが特徴です。
秋はハウスダストや花粉の影響に加え、冷たい空気で気道が刺激され、発作のきっかけになりやすい季節です。

鼻づまりによる食欲不振

鼻が詰まると匂いが感じづらくなり、フードを食べなくなる子も少なくありません。
体力が落ちると免疫力も下がり、症状の悪化につながるため、早めの対応が大切です。

東洋医学からみた猫の呼吸器疾患

東洋医学では、ねこちゃんの身体を「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスでとらえます。
呼吸器のトラブルも、このバランスの乱れが関わっていると考えます。

  • 水っぽい鼻水やくしゃみが続く場合:「風寒(ふうかん)」
    冷えによる影響で肺が弱っている

  • 黄色い鼻水や粘っこい痰がある場合:「風熱(ふうねつ)」
    熱がこもり炎症を起こしている

  • 喘息や痰が絡む咳がある場合:「痰湿(たんしつ)」
    身体に余分な水分が停滞して痰となっている

  • 慢性的に元気がなく、症状が長引く場合:「気虚(ききょ)」
    エネルギー不足で肺の働きが弱まっている

このように、症状の見た目だけではなく、身体の中の状態や体質を重視して治療を進めるのが東洋医学の特徴です。

猫に取り入れられる東洋医学的ケア

鍼灸

ねこちゃんに対しては短時間・ソフトな刺激で行います。

  • 合谷(ごうこく)
    鼻炎やくしゃみ、免疫力を整える

  • 肺兪(はいゆ)
    呼吸を助ける

  • 中脘(ちゅうかん)
    消化を助け、体力の回復に

リラックスする子も多く、鍼灸の最中に気持ちよさそうに眠ってしまうねこちゃんもいます。

食養生

日々のごはんに取り入れられる工夫です。

  • 白身魚
    消化が良く、身体に負担をかけずにエネルギー補給

  • 梨の煮汁
    肺を潤し、喉の渇きや乾いた咳を和らげる

  • 大根スープ
    痰を切って咳を落ち着ける

少量をいつものフードに混ぜる形で与えると安心です。
ただし持病やフードの種類によって合わない場合もあるので、心配な場合はご相談ください。

猫に使われる漢方(QUANPOWペットヘルスサプリメント

当院では症状や体質に合わせて、イスクラ産業のペット用漢方「QUANPOWペットヘルスサプリメント」を処方することがあります。

漢方はあくまで「体質改善」を目的に使うものです。
自己判断で与えるのではなく、診察でねこちゃんに合う処方を選ぶことが重要です。

ご家庭でできる秋の呼吸器ケア

  • 湿度を保つ
    加湿器やぬれタオルで、鼻や喉の乾燥を防ぎましょう。

  • 空気をきれいに保つ
    タバコの煙や香りの強いお香、ほこりは症状を悪化させやすいため注意が必要です。

  • 身体を冷やさない
    毛布やベッドであたたかく過ごせる場所を用意してあげましょう。

  • 食欲を観察
    鼻づまりで食欲が落ちていないかチェックし、早めに対処しましょう。

日々のちょっとした工夫で、ねこちゃんが快適に秋を過ごせるサポートができます。

東洋医学と西洋医学を組み合わせるメリット

西洋医学は、発作や炎症など急性の症状を抑えるのが得意です。
一方、東洋医学は体質を整えて再発を防ぐことが得意です。

両方を組み合わせることで、

  • 急な症状は薬でコントロール
  • 長期的な体質改善は漢方や鍼灸でサポート

といった相乗効果が期待できます。

ねこちゃんにとって負担が少なく、安心して続けられる治療につながります。

まとめ

秋は乾燥や気温差の影響で、ねこちゃんの呼吸器疾患が増えやすい季節です。
東洋医学では「肺を潤す」「痰を除く」「気を補う」ことを大切に考え、体質から整えていきます。

鍼灸や食養生、イスクラ産業のペット用漢方を組み合わせることで、体質改善と症状の緩和が期待できます。
くしゃみや鼻水、咳が長引くときには、早めに動物病院へご相談ください。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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