犬や猫にも血液型がある?知らないと危険な輸血時の注意点とは

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

突然のケガや病気で、愛犬・愛猫に輸血が必要になることがあります。
そんなとき、「血液型がわかっていれば…」と思う場面もあるかもしれません。

実は、わんちゃんやねこちゃんにも血液型があり、輸血の際にはとても重要な情報となります。
今回は、あまり知られていない「動物の血液型」について、わかりやすく解説いたします。

犬と猫のイラストと「blood type?」の文字(ペットの血液型に関する疑問を表現)
目次

犬の血液型

毛布にくるまれて眠る柴犬(輸血や血液型に関連して安静にしている犬の様子)

わんちゃんの血液型はDEA式という犬赤球抗原で分類されます。

DEAにはDEA1.1、DEA1.2、DEA3、DEA4、DEA5、DEA6、DEA7、DEA8の全部で8種類あります。

それぞれ抗原を持っていれば 陽性(+)、持っていなければ陰性(-)となり、抗原を持っているかいないかで血液型が決まります。

ヒトは「A型」「B型」のように1人1つの血液型しかありませんが、わんちゃんは複数の抗原を持っているので、「うちの子はDEA1.1(+)型、DEA3(+)型」「私の子はDEA1.2(+)型、DEA4(+)型、DEA6(+)型」のように複雑なパターンの血液型を持っています。

国際基準では8種類とされていますが、まだまだ分かっていない部分も多いので、特定の犬種や個体数が少ないものも合わせると13種類以上と言われています。

猫の血液型

穏やかに眠る灰色の猫(猫の血液型について紹介する章の挿入画像)

ねこちゃんの血液型はAB式でA・B・ABの3種類です。

日本ではA型が約95%、B型が約5%、AB型は1%未満と非常に稀です。

ほとんどのねこちゃんがA型で、B型はスコティッシュフォールドやブリティッシュショートヘアなどで比較的多いと言われています。

血液型による性格の違いはあるの?

ヒトでは、A型は几帳面、B型はマイペース、O型はおおらか、AB型は天才肌…などと、血液型と性格に関する話題をよく耳にしますよね。

では、わんちゃんやねこちゃんにも、血液型によって性格の違いがあるのでしょうか?

実際のところ、動物においては「血液型と性格に関連がある」という科学的な根拠は現在のところありません。
性格の違いは、遺伝(親の性格)や成長過程、特に子犬・子猫時代の社会化経験、飼い主さまとの関わり方などの影響を大きく受けます。

たとえば、子犬の時期にさまざまなヒトや環境に触れる経験が少なかった場合は、怖がりな性格になることもありますし、穏やかな性格の両親を持つ子は、おっとりした子になる傾向もあると言われています。

血液型は主に「輸血時の適合性」や「医療上の安全性」に関係するものであり、性格を判断する材料にはならないというのが、現在の獣医学の見解です。

血液型を知っておくメリットはあるの?

血液型による性格診断や占いが出来ないなら、血液型を知っておくメリットはあるのでしょうか?

一番大きなメリットとしては輸血を受けるときです。

ヒトと同じように異なる血液型を輸血してしまうと、命にかかわる副反応を起こしてしまいます。

多量出血や様々な病気で起こる貧血のときに輸血が必要となることがあります。

緊急時のためにも血液型を知っておくことは大切です。

ペットの治療に使用される輸血バッグや薬などの医療器具のイラスト(血液型検査や輸血治療をイメージ)

うちの子は何型?

血液型を調べてみようと思ったら、病院にご相談ください。

検査方法は外部検査センターへ依頼するか、血液型判定キットを使用するかがあります。

当院では外部検査センターへ依頼するため、検査結果まで数日頂きます。

血液を使用して検査するため、健康診断の時などに一緒に調べれば、採血のストレスを減らせます。

わんちゃんの血液型検査ではDEA1.1の(+)、(-)を判定します。

その他のDEA抗体は検査しませんが、その理由としてDEA1.1が最も重大な副作用を起こすためです。

ねこちゃんの血液型検査ではA、B、ABの判定を行います。

血液型が分からないと輸血出来ない?

結論から言うと血液型が分からなくても輸血は行えます。

血液型が分かっていてもいなくても、輸血前に血液交差試験を必ず行います。

血液交差試験とはドナー(血液を与える側)とレシピエント(血液を受ける側)の血液を混ぜ合わせ適合するか確かめる検査です。

たとえ同じ血液型でも、血液交差試験が不適合なら輸血は行えません。

点滴を受けている猫のイラスト(輸血や治療中の猫の状態を表現)

血液交差試験で適合すれば血液型が分かっていなくても輸血は可能です。

しかし血液型を知っていれば、同じ血液型のわんちゃん・ねこちゃんの中から探すことが出来るので、適合する子を早く見つけることが出来ます。

ねこちゃんのB型のように珍しい血液型の場合は、血液交差試験のみでドナーを見つけようとすると、なかなか適合する個体が見つからず、対応が遅れてしまうこともあります。

必ずではありませんが、知っておくことで、安心・迅速に輸血が受けられるようになります

まとめ

今回は、わんちゃん・ねこちゃんの血液型について紹介しました。

普段は知っていても役に立つことはほぼ無い血液型ですが、緊急時には知っておくと安心ですね。

病院で採血する機会があったら、ついでに血液型検査をしてみても良いかもしれません。

ドナー登録のお願い

池田動物病院ではドナー登録のお願いをしております。
わんちゃん・ねこちゃんにはヒトのように血液バンクはありません。
そのため慢性的に血液不足となっており、輸血を必要としている子にすぐに行うことが出来ない現状があります。
一つでも多くの命を救うために、献血にご協力いただける方がいらっしゃいましたら、当院までご連絡ください。

ドナー登録の条件

・体重 わんちゃん:15kg以上    
    ねこちゃん:4kg以上
・基礎疾患がない7才までの子
・各種予防済み
・これまで輸血を受けたことがない

※秋田犬は赤血球中のカリウム濃度に特性があるため、ドナー登録はご遠慮頂いております。

みなさまのご協力をお願いいたします。

窓辺で鼻を近づけ合う猫とチワワ(血液型の違いがある犬と猫の交流を示すイメージ)

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師 
監修:山﨑 愛玩動物看護師

投稿者プロフィール

山﨑(愛玩動物看護師)

ずっとダックスを飼っているダックス好き。

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