犬の認知症(認知機能不全)とは?症状・原因・治療法をわかりやすく解説

川崎市中原区の飼い主の皆様、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

近年の動物医療の発展に伴い、犬猫の寿命は長くなりました。

それに伴い、老齢によって生じる行動の変化が見られるようになることがあり、飼い主さんにとって困ってしまうことも。

うちの子、認知症かな?」と心配になった時のチェックポイントどを挙げてみました。

目次

犬の認知症とは? 川崎市でも増加中の高齢犬の問題行動

川崎市中原区で犬の認知症に関するお悩みは、武蔵小杉駅近くの池田動物病院までお気軽にご相談ください。

暖房の前でじっとしている柴犬(認知症による行動変化の一例)

犬の認知症(認知機能不全症候群)とは?

加齢に伴う脳の衰えによる認知機能の障害によって、夜中に起きてしまう、宙を見つめる、家の中や庭で迷う、トイレ以外で粗相をしてしまう…など老齢によって生じる行動の変化が見られるようになることがあります。

どんな症状が見られる?主な6つの変化

犬の認知症では、以下の特徴的な6つの変化がみられることが多いです。

  • 見当識障害
  • 社会的交流の変化
  • 睡眠の変化
  • 排泄や学習能力の変化
  • 活動性の変化
  • 不安の増加

見当識障害(方向感覚や人・物に対する認知の障害)

  • 隙間に挟まる、物をよけることができない、ドアの蝶番側を通ろうとする
  • 壁、床、空中などの何もないところをぼんやり見つめる
  • よく知っているはずの人や動物を認識できない
  • 家の中や庭で迷子になる
  • 光や音に対する反応が鈍い

社会的交流の変化

  • 以前よりも家族や他の動物、来客に対して、吠えたり、怖がったり、攻撃するようになった
  • 近づかれたり、挨拶したり、撫でられることに対する興味が減った
  • 名前を呼ばれたときの反応が鈍くなった、あるいは反応しなくなった

睡眠の変化

  • 夜間にウロウロ歩く
  • 夜間に、鳴いたり吠えたりする

排泄や学習能力の変化

  • いつもできていたトイレができなくなった
  • 簡単にできていたトレーニングができなくなった

活動性の変化

  • 今まで好きなことをしなくなった
  • 今までやらなかったことをやるようになった
  • 無目的に歩き回る(徘徊する)ようになった

不安の増加

  • 飼い主さんが離れた時に不安がるようになった
  • 光や音に対して過敏になり、怖がるようになった
  • お出かけや新しい場所を怖がる事が増えた

犬の認知症の診断方法|病気の除外と評価ツールの活用

犬の認知症と診断するには、身体に他の病気がないか?を調べること、犬の認知症の評価をすることが重要です。

まずは他の病気の有無をチェック

高齢犬であれば何かしら体に変化が生じていることが多く、それによって問題となる行動が現れていることがあるため、身体検査は重要です。

体が痒いから寝られない、腰が痛いから触られたくない、膀胱炎があってトイレに間に合わない、などの行動の変化が見られることもあります。

評価ツールを使って認知機能の状態を把握

犬の認知症を疑った時、評価ツールを使用して症状や進行の程度を評価します。
評価ツールは診断時にも有用ですが、治療によって症状がどの程度改善しているかの評価にも活用できます。

評価ツールは当院でご用意していますので、気になったらいつでもご相談ください。

犬が認知症と診断されたら|治療と対策の4つの柱

毛布の上でうとうと眠るトイプードル(高齢犬の安らかな表情)

残念ながら認知症は治せる病気ではありません。

現在の症状の進行をいかに遅らせるか、飼い主さんにとって問題となる行動をどう落ち着かせるかが、治療の目標となります。

主な治療法や対処法は、

  1. 生活環境を整える工夫
  2. 適度な運動と脳トレを取り入れる
  3. サプリメントや食事でケアする
  4. 薬物療法で症状を緩和・進行を抑制

    となります。

生活環境を整える工夫

ぐるぐる歩き回ってしまう子は、部屋の角などで動けなくなってしまうことも。

その対策として円形のサークルを設置したり、寝たきりの子には、床ずれを防ぐ工夫が必要になります。

その子の症状に合わせて、滑らない床や、行きやすいトイレなどそのご家庭でもできることを一緒に考えていきましょう。

適度な運動と脳トレを取り入れる

適度な運動は心にも身体にも良い刺激となり、寝たきりの予防や夜鳴き対策につながります。

また、知育トイを利用することは脳のトレーニングになり、認知症の進行を遅らせるとも言われます。

サプリメントや食事でケアをする

抗酸化物質を摂取することで、犬の認知症の進行を遅らせる可能性があると言われています。

最近では療法食で認知症をケアするものも。

認知症早期のうちにサプリメントや食事によって抗酸化物質を摂取することで犬の認知症の進行を遅らせたり、症状の改善効果が期待されます。

また老齢になった犬は、身体の自由がきかなくなったり、感覚が鈍くなるために、些細なことで不安が生じやすいとも言われます。

不安が強い子にはリラックス効果の高いサプリメントや、漢方薬を処方することもあります。

当院では各種ご用意していますので、飼い主さんがあげやすい、わんちゃんも飲みやすい物を選んでいただけます。

薬物療法で症状を緩和・進行を抑制

犬の認知症の薬物療法は大きく分けて、進行を遅らせるもの、症状を緩和させるものがあります。

症状が進行すると介護している飼い主さんも困ってしまうことも。
認知症の進行程度や症状の重症度によって適切なお薬を処方します。

犬の認知症のまとめ|「もしかして認知症?」と感じたら早めに相談を

犬の認知症は進行性の疾患で、長くケアが必要になることもあります。

まずは、認知症以外の病気が隠れていないかを見つけることも重要です。

うちの子は認知症かな?と心配になったら、まずご相談ください。

その子にとって、飼い主さんにとって、より良いケアを一緒に考えていきましょう。

投稿者プロフィール

安川 瑞枝(獣医師)

旅先で猫&犬(特にコーギー)のグッズを探すのが趣味です♪宜しくお願いします。

ー 院長コメント  ー

当院に来てくれるワンちゃん、ネコちゃんもひと昔まえに比べて、長生きな子たちが多くなりました!喜ばしいことですが、長生きすると人も動物も認知症を発症しやすくなり、同時に家族が介護問題に直面します。
症状が軽度なうちに気付いてあげて、早めに治療の介入や対策を立ててあげましょう。

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