【犬の病気ガイド】僧帽弁閉鎖不全症|“息が荒い”“散歩で疲れやすい”はわんちゃんの心臓サイン|池田動物病院・武蔵小杉・川崎市

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「最近、うちの子が散歩してもすぐ立ち止まる」
「夜、息づかいが速くなった気がする」
――そんな何気ない変化、実はわんちゃんの心臓にかかる負担のサインかもしれません。

この記事では、わんちゃんに多く見られる心臓の病気、僧帽弁閉鎖不全症の原因・症状・診断・治療・飼い主さまができるケアまで、わかりやすく解説いたします。

池田動物病院(川崎市・武蔵小杉)公式サイト|犬の心臓病・僧帽弁閉鎖不全症の治療に対応しています
目次

僧帽弁閉鎖不全症とは?心臓のしくみからわかりやすく

わんちゃんの心臓には、酸素を含んだ血液が肺から戻って左心房→左心室へと送られ、さらに全身へと送り出される流れがあります。
その際、左心房と左心室の間には「僧帽弁(そうぼうべん)」という弁があり、心臓が収縮する際に血液の逆流を防ぐ役割を担っています。
しかし、加齢や弁の変性・腱索(けんさく:弁を支える糸状構造)の断裂などにより僧帽弁がきちんと閉じなくなると、収縮時に血液が左心房へ逆流してしまいます。
これが僧帽弁閉鎖不全症です。
逆流が続くと心臓に余分な負荷がかかり、左心房・左心室の拡大肺に水がたまる(肺水腫)、さらに身体にむくみが出るなど、心不全に進行することもあります。

どんなわんちゃんがなりやすい?リスク要因と犬種

この病気は特に以下のようなわんちゃんで注意が必要です。

  • 小型~中型犬種(例:トイ・プードル、チワワ、ダックスフンド、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど)
  • 年齢が8歳以上になった中高齢期の犬
  • 遺伝的な素因がある犬種でも報告されています。

僧帽弁閉鎖不全症は、特に小型〜中型犬に多く見られますが、大型犬や雑種のわんちゃんにも発症する可能性があります。
そのため、犬種に関係なく、日頃から心臓の健康に配慮することが大切です。

「あれ?いつもと違うかも…」飼い主さまが気づきやすい変化

穏やかな表情で座っている小型犬のイラスト。隣に少し悲しそうな表情の心臓が描かれ、僧帽弁閉鎖不全症をイメージしている。

初期段階では目立った症状が出ず、「年のせい」「少し動きたくないのかも」と見過ごされることも多くあります。
ですが、次のようなサインが出たら注意が必要です。

  • お散歩中に以前より立ち止まる回数が増えた、歩くスピードが落ちた
  • 夜寝ている時・朝起きた時に、息づかいが速く浅くなっている
  • 咳をする(特に夜、横になると咳き込む)
  • 食欲はあるのに、体重が少しずつ減ってきた
  • おなかが膨らんできた・お尻や脚がむくんでいるように見える

診断・検査の流れ:何をどう確認する?

当院では、僧帽弁不全症が疑われる場合、以下のステップで診断を進めています。

聴診・触診

心臓に雑音(逆流による音)があるか、胸部を触診し肺に水がたまっていないかを確認。

胸部レントゲン(X線)

心臓の大きさ・形・肺の状態を確認。
肺に水があるかどうかを調べます。

心エコー(超音波検査)

弁の状態・逆流の量・心臓のポンプ機能を調べる最も精密な検査で、診断・ステージ分類に欠かせません。

血液検査・バイオマーカー

心臓への負荷が出ていないか、腎臓・肝臓の状態はどうか、併発疾患がないかを確認します。
これらの検査結果をもとに、「まだ治療開始が必要ない段階か」もしくは「すぐに薬を開始した方が良いか」を判断します。

治療・ケア:わんちゃんと飼い主さまの二人三脚

僧帽弁閉鎖不全症は「完治」を目指す病気ではなく、「進行をできるだけ遅らせ、わんちゃんが穏やかに暮らせる時間を延ばす」ことが大切です。

当院では、飼い主さまとわんちゃんが安心して生活できるよう、下記3つの柱でケアを実践しています。

薬物療法

病気のステージに応じて、利尿剤・ACE阻害薬・強心薬(例:ピモベンダン)などが用いられます。

これらの薬により「肺に水がたまる」「身体むくむ」「呼吸が苦しくなる」などの症状を予防し、生活の質を保ちます。

食事・運動・体重管理

適正体重を維持することで、心臓の負荷を軽減できます。

具体的なポイントは

  • 塩分を控えめにした質の良いたんぱく質・脂質を含むドッグフードを選ぶ
  • おやつの量・種類を見直す
  • 無理のない範囲で散歩やおもちゃ遊びを毎日続ける

こうした日常の工夫が、お薬の効きにも好影響を与えます。

定期フォロー&暮らしの観察

雑音を指摘された段階でも、すぐに症状が出ないことがあります。
ただし、進行は確実に起こる可能性があるため、定期的な通院・検査が必要です。
飼い主さまには「夜寝ている時の呼吸数」「咳の頻度」「散歩中の疲れやすさ」などを記録していただくようお伝えしています。

池田動物病院 東洋医学科(漢方・鍼灸)|心臓病ケアや体質改善をやさしくサポート|川崎市・武蔵小杉

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話(044-433-2274)でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

飼い主さまが今日からできること

  • 毎朝・夜、わんちゃんの 呼吸数を数えてみましょう(目安:50回/分以上は要注意)。
  • お散歩中の様子を観察し「以前より立ち止まる回数が増えた」「階段を嫌がる」などをメモしましょう。
  • 体重と肋骨の触れ方を月1回確認しましょう。
    太りすぎ・痩せすぎはどちらも心臓に負担です。
  • 咳・夜中の呼吸苦・むくみのようなおなかの膨らみなどがあれば早めに受診をしましょう。

これらを継続することで、わんちゃんの心臓の健康を守る大きな一歩となります。

最後に|気になる変化があったらお気軽にご相談を

僧帽弁閉鎖不全症という言葉を聞くと「重い病気」「もう手遅れかも」と感じる飼い主さまもいらっしゃるかもしれません。
しかし、早期に気づき・管理を始めることで、わんちゃんは長く穏やかな毎日を送る可能性があります。

川崎市近隣にお住まいのみなさま、もし「最近、愛犬の動きが鈍い」「夜中に咳をしていた」など、少しでも気になることがあれば、ぜひ池田動物病院へご相談ください。
腫瘍科・東洋医学科も含め、わんちゃんの身体全体を見守るケアをご提供いたします。

飼い主さまとわんちゃんが、いつまでも笑顔でいられるよう、私たちが全力でサポートいたします。
お気軽にご相談ください。

池田動物病院 電話予約はこちら|044-433-2274

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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