犬の秋の呼吸器疾患|東洋医学でできるケアと漢方【川崎市・池田動物病院】

秋と犬の呼吸器の関係

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

季節の変わり目は、わんちゃんの身体にさまざまな変化があらわれやすい時期です。
特に秋は空気が乾燥し、朝晩と日中の気温差が大きくなることで、呼吸器に負担がかかります。

東洋医学では「秋は肺を養う季節」とされ、肺と呼吸器系の健康が乱れやすいと考えられています。
乾燥した空気(燥邪:そうじゃ)が身体に入ると、咳やくしゃみが増えたり、呼吸が荒くなる原因になることもあります。
普段は元気なわんちゃんでも、季節の変化に弱い体質やシニア期の子では、症状が目立つことがあります。

秋の乾燥でつらそうな表情をしている犬
目次

秋に多い犬の呼吸器疾患

慢性気管支炎

長く続く咳が特徴で、ゼーゼーという呼吸音が出ることもあります。
乾燥やほこり、気温差で悪化しやすく、夜間や早朝に症状が強く出るケースもあります。

気管虚脱

特に小型犬に多く見られ、気管がつぶれることで呼吸が苦しくなる病気です。
興奮したときや散歩中に「ガーガー」とアヒルの鳴き声のような咳が出るのが特徴です。
秋は気温差や乾燥で発作が起きやすい季節です。

咳・喘鳴

季節の変わり目に急に咳をし始めるわんちゃんもいます。
軽いものだと一時的な刺激咳ですが、長引いたり呼吸困難を伴う場合は注意が必要です。

東洋医学からみた犬の呼吸器疾患

東洋医学では、呼吸器の症状は単に「のどや肺の病気」とは考えません。
身体全体のバランスの乱れが影響しているととらえます。

  • 乾いた咳が多い場合:「肺陰虚(はい・いんきょ)」
    肺に潤いが足りず、カラカラに乾いてしまっている状態

  • 痰が絡む咳が続く場合:「痰湿(たんしつ)」
    身体に余分な水分がたまり、痰として出ている状態

  • 冷たい空気で悪化する場合:「寒邪(かんじゃ)」
    身体を冷やす力が呼吸を妨げている状態

こうした体質や症状の違いを見極めて、それぞれに合った治療や養生を行うことが大切です。

犬に取り入れられる東洋医学的ケア

鍼灸

鍼やお灸は、身体にやさしい刺激で呼吸を楽にしたり、体質の改善を目指す方法です。

  • 肺兪(はいゆ)
    肺の働きを助けるツボ

  • 膻中(だんちゅう)
    胸の真ん中にあり、呼吸を整えるツボ

  • 足三里(あしさんり)
    免疫力や全身のバランスを整えるツボ

わんちゃんの様子を見ながら行うため、痛みや負担が少なく、リラックスして受けられる子も多いです。

食養生

日々の食事に、身体を潤し咳をやわらげる食材を少し取り入れることもできます。


  • 肺を潤し、喉の渇きや咳に良いとされる

  • 大根
    痰を切り、咳をやわらげる働き

  • 白きくらげ
    身体に潤いを与える滋養食材

ただし与える量や形には注意が必要です。
必ず調理して柔らかくし、トッピング程度に少し加えるくらいが安心です。

犬に使われる漢方(QUANPOWペットヘルスサプリメント

当院で取り扱っているイスクラ産業のペット用漢方「QUANPOWペットヘルスサプリメント」には、わんちゃんの呼吸器症状に合わせて選べる処方があります。

漢方はわんちゃんの体質や病気の状態によって使い分ける必要があるため、自己判断は避け、獣医師の診察のもとで使用することが大切です。

ご家庭でできる秋の呼吸器ケア

東洋医学的な視点から、ご家庭でも取り入れられる工夫があります。

  • 室内の乾燥対策
    加湿器やぬれタオルで湿度を保つと、のどや気管の乾燥を防げます。

  • 散歩の時間帯を工夫
    朝晩の冷え込みを避け、暖かい日中にお散歩をするのがおすすめです。

  • 空気をきれいに保つ
    たばこの煙やほこりは呼吸器に大きな負担になります。
    換気や掃除を心がけましょう。

  • 体調観察
    咳が続く、呼吸が荒い、食欲が落ちているなどの変化は早めに受診のサインです。

東洋医学と西洋医学を組み合わせるメリット

西洋医学では、薬や検査で症状をコントロールすることが得意です。
東洋医学は、体質を整えて症状が出にくい体に導くことが得意です。

この2つを組み合わせることで、

  • 急な発作や強い症状は西洋医学でコントロール
  • 長期的な呼吸器の弱さは東洋医学で改善を目指す

というように、それぞれの良さを活かした治療が可能になります。

池田動物病院では、呼吸器の症状に合わせて「薬+漢方+鍼灸+生活アドバイス」を取り入れ、わんちゃんの体質や生活に合った治療をご提案しています。

まとめ

秋は乾燥や寒暖差の影響で、わんちゃんの呼吸器疾患が増える季節です。
東洋医学では「肺を潤す」「痰を除く」という視点から体質改善を目指し、症状をやわらげていきます。

鍼灸や食養生、イスクラ産業のペット用漢方を組み合わせることで呼吸を楽にし、再発を防ぐサポートが可能です。
もし咳や呼吸の異変が続くときは、早めに獣医師にご相談いただくことをおすすめします。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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