【うさぎの病気ガイド】消化管うっ滞(GIスタシス)|症状・治療・予防をやさしく解説|池田動物病院・武蔵小杉・川崎市

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。​

「急に食べなくなった」
「なんだか便が少ないかも…」
そんなとき、うさぎさんでよく見られるトラブルのひとつが“消化管うっ滞”です。

命にかかわることもあるため、早めに気づき、適切に対応することが非常に重要です。

この記事では、原因や症状、治療法、予防策、そして「いつ動物病院へ行くべきか」の目安まで、飼い主さまに役立つ内容をまとめました。

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目次

【消化管うっ滞とは】うさぎで起こる腸の運動停止のメカニズム

お腹が膨れて元気のない様子のうさぎ。背中を丸め、目に少し不安な表情を浮かべている。

消化管うっ滞とは、うさぎさんの胃や腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が低下したり止まってしまい、食べたものやガスがスムーズに移動できなくなる状態を指します。
腸の流れが滞ることで、食べ物が消化されず停滞してしまい、さらに悪化すると腸閉塞など重篤な状態を引き起こすこともあります。

また、うっ滞は「毛球症」によるものと混同されることがありますが、消化管うっ滞は食事・水分・ストレス・痛みなど複数の要因が絡んで起こることが多く、原因をひとつに絞れないことが特徴です。

消化管うっ滞の主な原因|水分不足・ストレス・歯の問題など

消化管うっ滞は、以下のような要素が重なることで発症しやすくなります。

  • 繊維質の不足
    チモシーなどの牧草が十分でないと、腸を刺激するものが足りず運動が鈍くなります。

  • 水分不足・脱水
    飲水量が少ない、給水器が使いにくいなどで水分が不十分になると、腸内容物が固くなりやすくなります。

  • ストレス・環境変化
    大きな音、引っ越し、ケージの模様替え、来客などの刺激が腸の動きを妨げることがあります。

  • 歯や口の痛み
    不正咬合や口内炎などで食べにくくなると、腸への刺激が足りずにうっ滞を招くことがあります。

  • 併発疾患・痛み
    子宮疾患、膀胱結石、腫瘍など体内で痛みや不快感を伴う疾患があると、腸の運動が抑制されることがあります。

消化管うっ滞の症状チェックリスト:初期〜進行期のサイン含む

消化管うっ滞が始まると、うさぎさんの体調に少しずつ変化が現れます。
早い段階で気づけるよう、よく見られるサインを知っておきましょう。

  • 食欲が落ちる、またはまったく口をつけない
  • 便の量が激減、硬化する、またはまったく出ない
  • おなかが張る、さわると硬さを感じる
  • おなかの音(ゴロゴロ音)が聞こえなくなる
  • ぐったりして動かない、目がうつろ
  • 口元によだれがついている、歯ぎしり、呼吸が浅い・速いなど

特に、「普段と違う」「なんだか元気がない」などのちょっとした変化を見逃さないようにしましょう。

診断の流れ|問診・触診・画像検査でどう判断する?

正しい診断を得るためには、複数の方法を組み合わせる必要があります。

  1. 問診・視診
    食事内容、便・排泄の状態、環境変化などを詳しくお聞きします。

  2. 触診・聴診
    腹部(おなか)の張りや腸音の有無を確認します。

  3. レントゲン検査
    腸管にガスが溜まっているか、腸管が拡張しているかを視覚化します。

  4. 超音波検査
    腸壁の状態や腸内の内容物の滞留具合を調べます。

  5. 血液検査
    脱水や電解質の異常、炎症マーカーなどを確認して全身状態を把握します。

これらの情報をもとに、「うっ滞かどうか」「その原因は何か」を総合的に判断します。

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治療法と日常ケア|補液・薬・強制給餌の実践的なケア方法

消化管うっ滞の治療は、腸の動きを再開させると同時に原因を取り除くことが目標になります。
以下は一般的な治療法と日常ケアです。

  • 点滴・補液療法
    脱水や電解質バランスの乱れを正すために行います。

  • 消化管運動促進薬
    モサプリドなどの薬剤を使って、腸の蠕動運動を促すことがあります。

  • 強制給餌 / 流動食
    自力で食べられない場合は、胃腸に負担をかけない流動食やスポイト給餌で栄養を補給します。

  • 原因治療
    歯の問題があれば歯科処置、子宮疾患であれば手術など、根本原因に対処します。

  • 安静と管理
    ストレスを避け、温度・湿度を安定させた環境で過ごさせましょう。

いつ病院へ行くべき?受診の目安と危険サイン

以下のような状態が見られたら、すぐに動物病院で診てもらうことをおすすめします。

  • 半日以上、何も食べていない
  • 便がまったく出ていない
  • 元気が明らかにない、ぐったりしている
  • おなかが膨れて硬く痛がる
  • 呼吸が苦しそう、ふるえが出ている

時間が経過するほど状態が悪化しやすいため、迷ったら早めに連絡を。

予防と管理のコツ|うさぎの腸を守る毎日の飼育法

消化管うっ滞を未然に防ぐためには、日常の飼育管理が重要です。

  • 牧草中心の食事を常に用意する
  • 給水環境を整え、清潔な水を十分飲めるようにする
  • 乾燥した床材・巣材を使い、湿気を避ける
  • 定期的に歯科検査を受ける
  • ストレスを減らす環境作り(静かさ・安定した配置など)
  • 急激な温度変化を避けるよう配慮する

よくある質問(FAQ)

Q. 毛球症とどう違うの?

A. 毛球症は主に飲み込んだ毛が原因で腸に詰まることですが、消化管うっ滞は複数要因が絡んで腸の運動が止まってしまう状態です。

Q. 家でできる応急処置は?

A. 暖かい場所へ移す、保温する、流動食を少量与えるなどの対処はできますが、改善が見られなければ速やかに受診してください。

Q. 一度うっ滞した子のケアはどうすれば?

A. 繊維・水分・ストレス管理を徹底することが大切です。
再発予防を意識した飼育が欠かせません。

まとめ|うさぎさんを守るための観察と行動

うさぎさんの消化管うっ滞は、突然状態が悪くなることが多く、時間との勝負になることがあります。
ちょっとした変化を「気のせいかな?」で済ませず、早めに気づいてあげることが、うさぎさんの健康を守る大切なステップになります。

池田動物病院では、うさぎさんを含めたエキゾチックアニマルの診療を行っております。
少しでも不安があればお気軽にご相談ください。

うさぎさんの診療・健康相談は044-433-2274まで

うさぎさんを含むエキゾチックアニマルの診療は、石井院長が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:鈴木 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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