【獣医師監修】うさぎの尿路結石のすべて|原因・症状・治療・予防まで

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

うさぎさんの飼い主さまの中には、
「最近、おしっこの色が濁っている気がする」
「いつまでもトイレにこもっている」

そんな様子に心配になったことはありませんか?

うさぎさんを飼っている飼い主さまにとって、「尿路結石」という言葉は、まだあまり馴染みがないかもしれません。
しかし、うさぎさんに多く見られる疾患のひとつであり、放っておくと重症化して命にかかわることもある怖い病気です。

この記事では、うさぎさんの飼い主さまに向けて、尿路結石の原因、症状、診断方法、治療法、そして再発を防ぐ予防法まで、わかりやすく解説いたします。

座っているうさぎと、下腹部に痛みを感じて横たわるうさぎ。尿路結石を示す膀胱のイラスト付きで症状を説明する画像。
目次

うさぎの尿路結石とは?|原因や仕組みを解説

うさぎさんの尿路結石とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道など、尿の通り道にカルシウムなどの成分が結晶化・石化して溜まる疾患です。

なぜうさぎは尿路結石になりやすいのか?

うさぎさんは、草食動物でカルシウムの吸収率が非常に高い動物であり、摂取したカルシウムの大部分を尿として排出します。
このため、以下の条件が揃うと尿の中にカルシウムが過剰に含まれ、結晶や石ができやすくなります。
結石が小さい場合は尿と共に排出されることもありますが、大きくなってしまうと排尿時の痛みや排尿困難、血尿などの症状を引き起こす原因となります。

  • 食事に含まれるカルシウム量が多すぎる
  • 水分摂取量が不足している
  • 運動不足によって代謝が低下している
  • トイレを我慢して排尿回数が減っている

このような生活が続くと、尿が濃くなり、カルシウムが尿の中で結晶から石に変わってしまいます。

特に、アルファルファ中心の牧草を与えている場合や、水をあまり飲まない子には注意が必要です。

うさぎの尿路結石の症状|こんなサインは要注意

うさぎさんの尿路結石は、初期段階では見逃されやすい病気です。
しかし、進行すると排尿困難や腎臓への影響まで引き起こす可能性があります。

以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

飼い主さまが気づきやすい5つのポイント

  • トイレに長時間こもり、何度も出たり入ったりする
  • おしっこの色が白く濁っていたり、赤く(血尿)なっている
  • トイレには行くが、おしっこが少ししか出ていない
  • 排尿時に背中を丸めたり、苦しそうな表情を見せたり、鳴いたりする
  • 急に食欲が落ちて、元気がなくなる

うさぎさんは本来、痛みや体調不良を隠す動物です。
こうした行動が見られたら、目に見えないところで深刻な病気が進行しているサインかもしれません。

尿路結石の位置を示すイラスト付きの立っているうさぎ。体内に石がたまった様子をわかりやすく表現した図解。

うさぎの尿路結石の原因|日常に潜むリスク

うさぎさんの尿路結石の形成には、複数の要因が関わっています。
日常的な飼育環境や食事内容がその発症に大きな影響を及ぼします。

高カルシウム食に注意|牧草や野菜の見直しを

うさぎさんに多いのはシュウ酸カルシウム結石炭酸カルシウム結石です
以下のような食材を多く与えていると、結石のリスクが高まります。

  • アルファルファ牧草(成長期ならOKですが、成うさぎには要注意です)
  • 小松菜、チンゲン菜、春菊などカルシウムの多い葉野菜

水分不足と脱水リスク|うさぎの飲水量を増やす工夫

うさぎさんは水をあまり飲まない個体もいます。
特に冬場や空調の効いた部屋では脱水傾向になりやすく、尿が濃くなるため、結石のリスクが高まります。

運動不足とストレス|代謝と免疫の低下に注意

ケージ内での生活が中心で運動量が不足していたり、同居動物や騒音でストレスがかかっていたりすると、代謝の低下や免疫の乱れにより、病気のリスクが上がります。

尿検査・画像検査でわかるうさぎの尿路結石

動物病院では、うさぎさんの尿路結石の早期発見のために、以下の検査を行います。

尿検査で見える初期変化

  • 顕微鏡で尿を観察し、シュウ酸カルシウムやストラバイトの結晶の有無を調べます。
  • 尿のpH、タンパク、血尿の有無などもチェックします。

レントゲン・超音波で結石を可視化

  • X線検査(レントゲン)で結石の位置や大きさを確認します。
  • 超音波検査で膀胱や腎臓に炎症や腫れがないかを調べます。

これらの検査によって、症状の重さや治療方針が明確になります。

うさぎの尿路結石の治療法|内科・外科の選択肢

症状や結石の大きさ、場所に応じて治療方法は異なります。

内科療法|食事と投薬で改善をめざす

  • 食事内容の変更(カルシウム量の調整)チモシーを中心にする
  • 水分摂取の増加
  • 排尿を促すための投薬など

内科療法のメリット

  • 体に負担が少ない
  • 日常生活の中で実行できる
  • 治療費が抑えられる
  • 予防にもつながる

内科療法のデメリット

  • 即効性に欠ける
  • 結石が大きいと排出が困難
  • 結晶の種類によっては改善が見られないこともある
  • 定期的な検査や経過観察が必要

外科療法|重症・再発時の治療法

  • 膀胱切開による結石の摘出手術
  • 尿道閉塞の場合は緊急処置を行うこともあります

当院では、麻酔管理にも熟練した獣医師が対応し、安全性を最大限に配慮しています。

外科療法のメリット

  • 大きな結石を確実に取り除ける
  • 症状が急速に改善する
  • 摘出した石から原因の分析が可能
  • 再発予防のための具体的な対策が立てられる

外科療法のデメリット

  • 全身麻酔のリスク(特に高齢個体)
  • 術後のケアと安静が必要
  • 再発リスクが完全にゼロではない
  • 手術費用がかかる

うさぎの尿路結石の予防法|今日からできる5つの対策

うさぎさんの尿路結石の再発を防ぐために、飼い主さまが今日からできる5つの予防習慣を挙げます。

チモシー中心の食事管理

成うさぎにはアルファルファではなく、カルシウム含有量の低い「一番刈りチモシー」を主食にしましょう。
野菜の種類もローテーションさせて偏りを防ぎましょう。

お水をしっかり飲める工夫

常に清潔なお水が飲めるようにしてあげましょう。
給水ボトルでお水が飲みにくいうさぎさんの場合は、お皿型に変更したり工夫をしてみましょう。
飲水量を記録する習慣をつけることが大切です。

1日1時間の運動タイム

1日1時間はケージの外で自由に動かせる時間を作り、運動不足を解消しましょう。

ストレスを減らす環境づくり

静かな環境、隠れ家の設置、同居動物との距離に配慮して、うさぎさんがリラックスできる環境を整えましょう。

日々の健康チェックと定期検査

排尿・食欲・体重・尿の色などを日々記録し、変化に早く気づく習慣をつけましょう。
予防のために定期的な尿検査も行うと良いでしょう。

まとめ|うさぎの尿路結石は早期発見と予防がカギ

うさぎさんの尿路結石は、早期発見・早期治療が非常に重要な病気です。
しかしながら、日常のちょっとした違和感を見逃さなければ、重症化を防ぐことができます。

川崎市近隣にお住まいで、「おしっこの様子が変だな?」と感じたら、
池田動物病院までご相談ください。

尿検査だけでも、お気軽にどうぞ。(初診の子でカルテ登録がない場合は、カルテ作成・初回診察が必要となります。)
詳しくは、初めてご来院の方へをご覧ください。
事前予約で待ち時間も少なく、うさぎさんにも負担をかけません。

うさぎさんは家族の一員です。
大切な命を守るために、まずは小さな一歩から始めましょう。

うさぎさんを含むエキゾチックアニマルの診療は、石井院長が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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