犬のマラセチア皮膚炎について

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。​

「最近、愛犬が体をかゆがることが増えた…」そんなお悩みはありませんか?
もし、皮膚が赤くなり、独特なニオイがする場合、それは「マラセチア皮膚炎」かもしれません。

マラセチア皮膚炎は、わんちゃんに多い皮膚病のひとつで、湿気や皮脂の分泌異常が原因で発症します。
特に、川崎市のような湿度が高い地域では注意が必要 です。

この記事では、わんちゃんのマラセチア皮膚炎の原因・症状・治療法・予防法を解説し、愛犬の健康を守るための具体的な対策をお伝えします。

目次

犬のマラセチア皮膚炎とは?

マラセチア皮膚炎とは、「マラセチア」という酵母菌(カビの一種)が異常繁殖することで引き起こされる皮膚病です。

マラセチアは、わんちゃんの皮膚にもともと存在する常在菌であり、通常は問題を起こしません。
しかし、湿気・皮脂の過剰分泌・免疫低下などの要因で増殖すると、皮膚の炎症や強いかゆみを引き起こします。

マラセチア皮膚炎の主な特徴

  • 皮膚の赤み・かゆみが強い
  • 独特な「カビ臭い・脂っぽい」ニオイがする
  • 皮膚がベタつき、フケが増える
  • 耳の中が赤くなり、茶色い耳垢が増える(外耳炎を併発することも)

これらの症状が見られたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。

マラセチア皮膚炎が発症しやすい犬種

マラセチア皮膚炎は、皮脂が多い犬種や、皮膚のしわが多い犬種に発症しやすい傾向があります。

  • フレンチブルドッグ
  • パグ
  • シーズー
  • コッカー・スパニエル
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ラブラドール・レトリーバー
  • ダックスフンド
  • ビーグル

このような犬種を飼っている場合は、特に注意が必要です。

犬のマラセチア皮膚炎の原因

マラセチアは、健康なわんちゃんの皮膚にもいる菌ですが、以下の条件がそろうと異常繁殖し、皮膚炎を引き起こします。

湿度の高い環境(特に川崎市の気候に注意)

マラセチアは、高温多湿を好むため、梅雨の時期(6〜7月)夏場急激に増殖します。

特に川崎市は、年間の平均湿度が約70%と高く、皮膚トラブルが起こりやすい地域です。

室内飼いでも、湿度が高いとリスクが高くなるため、除湿機やエアコンを活用し、室内の湿度を50〜60%に調整することが重要です。

通気性のわるい皮膚(しわの間、耳の中、指の間、わきの下、内股) は要注意です。

免疫力の低下

加齢・ストレス・病気(アレルギーやホルモン異常)・栄養不足などが原因で、免疫力が落ちるとマラセチアが増殖しやすくなります。

特に、高齢のわんちゃんや持病のあるわんちゃん(アレルギー性皮膚炎やホルモン疾患など)はリスクが高くなります。

皮脂の分泌異常(脂漏症の犬はリスク大)

皮脂の分泌が多いと、マラセチアの栄養源となり、急激に増殖します。

脂漏症(皮脂の分泌異常)のわんちゃんや、皮膚が脂っぽいわんちゃん(ゴールデン・レトリーバーなど)は特に注意が必要です。

犬のマラセチア皮膚炎の主な症状

皮膚の赤み・かゆみ

マラセチアが異常繁殖すると、皮膚が赤くなり、かゆみが発生します。

わんちゃんが頻繁にかゆがる、身体をこすりつける仕草が増えます。

皮膚が厚くなったり、黒ずんだりすることもあります(慢性化してしまうと、さらに悪化します)。

特に、耳、首回り、わきの下、おなか、内股、足の裏(指の間)に症状が出やすいです。

皮膚のベタつき・フケの増加

マラセチアが増殖すると、皮膚がベタつき、フケが増えることがあります。

マラセチアが増殖すると、皮膚が脂っぽくなり、ベタベタする感じになります。

また、白っぽいフケが増えることもあり、皮膚のコンディションが悪化します。

しわの間がジュクジュクすることもあります。

これは皮脂の異常分泌によるものです。

特有の「カビ臭い・脂っぽい」ニオイ

マラセチア皮膚炎の特徴として「カビ臭い」「脂っぽい臭い」がすることがあります。

シャンプーしてもすぐに臭ってくる場合は、マラセチア皮膚炎の可能性が高いです。

以前よりも体臭が強くなったと感じることが多くなります。

耳の中の赤み・耳垢の増加(外耳炎を併発することも)

耳の中にマラセチアが増殖すると、「外耳炎」を引き起こす場合があります。

耳の中が赤くなり、茶色くベタベタした耳垢が増えます。

わんちゃんが頭を振る耳を強くかゆがるなどの仕草が目立つようになります。

犬のマラセチア皮膚炎の治療法

愛犬に、かゆがる・皮膚が赤い・ニオイが強いなどの症状があれば、早めに動物病院を受診しましょう。
放置してしまうと、悪化して治療も長引いてしまいます。

抗真菌薬の投与

動物病院では、抗真菌薬(抗カビ薬)を処方することが一般的です。

内服薬や外用薬(塗り薬)があり、症状に応じて使い分けます。

薬用シャンプーでのケア

マラセチアは皮膚に付着するため、抗真菌成分が入っている薬用シャンプーを使うことで、マラセチアの増殖を抑えることができます。

週2~3回のシャンプーが推奨されることが多いです。

シャンプーのポイント

  • 泡を皮膚に優しく馴染ませ、5〜10分放置して有効成分を浸透させます。
  • すすぎ残しがないように、しっかりと洗い流します。
    ※しっかりと洗い流さないと菌が残る原因になります
  • 湿気が残らないように、ドライヤーでしっかりと乾かします。
    ※湿気が残ってしまうと、逆効果になります

耳のケア(外耳炎の予防)

耳の中にマラセチアが増えやすいので、月に2~3回は耳掃除を行うと予防になります。

耳の中の湿気を減らすために、定期的にケアをしましょう。

獣医師の指導のもと、専用のイヤークリーナーを使いましょう。

食事管理による改善

皮膚の健康を保つために、オメガ3脂肪酸を含むフード低アレルゲンのフードを選ぶことが推奨されます。

犬のマラセチア皮膚炎の予防法

マラセチア皮膚炎は「予防」がとても大切です。

室内の湿度管理を徹底する

除湿機やエアコンを活用し、室内の湿度を50〜60%に保つことが重要です。

梅雨の時期や夏場は注意しましょう。

特に川崎市のような湿度が高い地域では、適切な湿度を保つことが重要となってきます。

定期的なシャンプーで皮膚を清潔に

皮脂の分泌が多いわんちゃんは、2週間に1回以上のシャンプーを心がけると、マラセチアの増殖を抑えられます。

しわの間や、指の間も丁寧に洗いましょう。

動物病院に相談して、愛犬の皮膚に合ったシャンプーを選びましょう。

免疫力を高める(ストレスの軽減・良質なフード)

散歩、適度な運動や遊びの時間を増やし、愛犬のストレスを軽減することで免疫力の低下を防げます。

オメガ3脂肪酸を含むフード(サーモン・アマニ油など)を取り入れましょう。

アレルギー体質のわんちゃんは、低アレルゲンフードを選びましょう。

犬のマラセチア皮膚炎のまとめ

わんちゃんのマラセチア皮膚炎は、予防をすれば防げる病気です。

湿度管理・皮膚ケア・お食事の見直しをして、愛犬をマラセチア皮膚炎から守りましょう。

愛犬の皮膚の調子がわるいかも…と思ったら、早めに動物病院を受診しましょう。

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次