猫の疥癬について

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。​

「最近、愛猫がしきりに顔や耳を掻いている…」
「毛が抜けて皮膚にかさぶたができている…」

このような症状が見られたら、猫の疥癬(かいせん)かもしれません。

猫の疥癬は「ヒゼンダニ」という寄生虫が皮膚に感染することで起こる皮膚病です。
激しいかゆみを伴い、放置すると重症化することもあります。

この記事では、猫の疥癬の症状・原因・治療・予防について解説します。

目次

猫の疥癬とは?

猫の疥癬(Notoedric Mange)は、ヒゼンダニ(Notoedres cati)という寄生虫が皮膚に感染して起こる病気です。

このダニは、非常に小さく肉眼では見えませんが、ねこちゃんの皮膚の表面ではなく、皮膚の奥深くにトンネルを掘って寄生し、卵を産みながら繁殖します。
そのため、感染すると強いかゆみを引き起こし、放置すると重症化することがあります。

猫の疥癬の主な特徴

  • 激しいかゆみ
    ひっきりなしに身体を掻きます。
  • 皮膚の異常
    赤み、腫れ、発疹、かさぶた、フケが増えます。
  • 脱毛が進む
    特に耳、顔、首周りから毛が抜け始めます。
  • 感染力が非常に強い
    ねこちゃん同士の接触で簡単に感染します。
    特に多頭飼いのねこちゃんやお外へ遊びに行くねこちゃんは要注意です。
  • 放置すると悪化
    皮膚が厚くなり、細菌感染を引き起こしてしまうこともあります。

猫の疥癬の症状

疥癬は進行性の病気で、時間とともに悪化していきます。
早い段階で気づくことが大切です。

猫の疥癬の初期症状(発症から1週間)

  • 特に耳や顔をしきりに掻く仕草が増えます
  • 皮膚が赤くなり、ポツポツとした発疹(眼の周りや耳の付け根)ができます
  • 耳の後ろや眼の周りにフケが増えます
  • しきりに顔をこすりつけます

猫の疥癬の中期症状(発症から2~3週間)

  • かゆみがさらに悪化し、顔だけでなく、首や前脚にも広がり、毛が抜け始めます
  • 掻き壊した部分にかさぶたができ、フケが増えて、皮膚がボロボロになります

猫の疥癬が重症化すると(4週間以上放置した場合)

  • 全身の皮膚が象のように厚く硬くなり、ひび割れやただれが生じて、痛みを伴うこともあります。
  • 掻き壊した傷口から細菌感染を起こし、膿が出ることもあります。
  • かゆみとストレスで、食欲が低下し、元気がなくなり、衰弱してしまいます。

特に子猫や高齢猫は、重症化すると命に関わることもあります。
早めの治療が重要です。

猫の疥癬の感染経路

  • 直接感染
    感染したねこちゃんと接触することでうつります。
    多頭飼育の家庭やお外へ遊びに行くねこちゃんは特に注意が必要です。
  • 間接感染
    ベッド(寝床)、キャットタワー、ブラシ、タオルなどを共有することで感染します。

猫の疥癬の診断方法

動物病院では、以下の方法で診断を行います。

  • 皮膚検査
    皮膚を少し削り、顕微鏡でヒゼンダニの有無を確認します。
  • 臨床症状のチェック
    かゆみの程度、脱毛の範囲、かさぶたの位置をチェックします。
  • 他の皮膚病との鑑別
    ねこちゃんの皮膚病には「アレルギー性皮膚炎」や「真菌感染症」など、似た症状の病気が多いため、これらと区別することが重要です。

猫の疥癬の治療方法

疥癬はダニを駆除しない限り治りません。
そのため、駆虫薬の投与が基本の治療になります。

駆虫薬の使用

  • スポットタイプの駆虫薬(首の後ろに垂らす薬)
    セラメクチン(レボリューション、レボリューションプラス)・モキシデクチンなどを使用します。
    飲み薬が苦手な子はこのタイプがおすすめです。
  • 内服薬(飲み薬)
    イベルメクチンなどの駆虫薬を使用します。
    スポットタイプが苦手な子にはこちらがおすすめです。
  • 注射薬(重症の場合)
    皮下注射でダニを駆除する薬を使用します。

かゆみや炎症をおさえる

  • かゆみが強い場合
    抗ヒスタミンやステロイドを使用します。
  • 二次感染がある場合
    細菌感染がある場合には、抗生剤を使用します。

また、薬用シャンプーで皮膚の清潔を保ちましょう。

自宅でできるケア

  • 環境を清潔に保つ
    愛猫のベッド(寝床)や毛布はこまめに洗濯して、ダニの繁殖を防ぎましょう。
  • 感染した猫の隔離
    疥癬に感染しているねこちゃんは隔離して、他のねこちゃんとの接触を避けましょう。
  • 栄養バランスを整える
    免疫力を高めるために、良質なタンパク質を含む食事を与えましょう。

治療を始めてから1〜2週間で症状が改善することが多いですが、完全に治るまで4~6週間かかる場合もあります。
重症の場合は、より長期間の管理が必要です。

猫の疥癬は人にうつる?

ねこちゃんの疥癬は、ヒトにも感染する可能性があります。
ただし、ヒゼンダニはヒトの皮膚では長く生きられないため、一時的なかゆみ程度で済むことが多いです。

飼い主さんが注意すべきポイント

・感染した愛猫を触った後はしっかりと手を洗いましょう。
・愛猫との過度なスキンシップを避けましょう。
・かゆみや発疹が出たら皮膚科を受診しましょう。

もし愛猫が疥癬にかかった場合は、愛猫との過度な接触を避け、飼い主さん自身も皮膚の異常がないか注意しましょう。

猫の疥癬の予防方法

  • 定期的な駆虫
    月に1回の駆虫薬・予防薬を使用することで、疥癬を予防できます。
  • 完全室内飼育にする
    完全室内飼いにすることで、野良猫との接触を避けることで、感染リスクを下げましょう。
  • 清潔な環境を保つ
    ベッドやタオル、キャットタワーを定期的に掃除しましょう。
    ブラシや首輪を清潔に保ちましょう。
    ノミ・ダニ駆除スプレーを使うのも効果的です。
  • 早めに動物病院を受診する
    気になる症状(かゆみや脱毛)があれば、すぐに動物病院へ行きましょう。

猫の疥癬のまとめ

ねこちゃんの疥癬は、ヒゼンダニが皮膚に寄生することで起こる病気で、強いかゆみ、脱毛、かさぶたができるのが特徴です。

放置してしまうと、悪化して治りにくくなってしまいます。

予防が大切になってきますので、定期的な予防薬の使用、環境を清潔に保ちましょう。

もしも、愛猫がかゆがっている場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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