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川崎市中原区の飼い主の皆様こんにちは。武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。
今回はうさぎに多い病気のひとつである足底潰瘍(ソアホック)についてまとめてみました。
ソアホックとは足裏の皮膚炎のことで、足裏の脱毛から始まりひどくなると皮膚が炎症を起こし爛れてしまったり化膿してしまったりする病気です。
一度なってしまうと慢性化しやすく、また治療にも時間がかかるため普段から足裏の負担を軽減してあげることが大切です。
ソアホックは足裏の脱毛からはじまります。脱毛した足裏の皮膚はさらに紅斑や腫れ、潰瘍、出血などがみられるようになり、悪化すると痛みにより正常な姿勢を保てなくなるや食欲が低下するなど、うさぎの生活の質を著しく低下させてしまいます。
また重度な場合、骨髄への感染により敗血症を引き起こすこともあります。
検査所見により以下のように5段階のグレード分けがされています。
グレード | 分類 | 症状 |
Ⅰ | 初期の無症状期 | 足底または手掌の脱毛 |
Ⅱ | 軽症 | 赤みや腫れがみられるが表皮は無傷 |
Ⅲ | 中等度 | 潰瘍、痂皮形成 |
Ⅳ | 重症 | 健または深部組織の膿瘍、炎症 |
Ⅴ | 重篤で不可逆 | 骨髄炎、滑膜炎、健炎が起こり、異常な姿勢や歩様を呈する |
ソアホックの原因にはいくつかの要因があります。
うさぎは犬猫とは足の構造が異なり、肉球がなく足裏は毛で覆われています。
そのため、金網やプラスチックなどの平坦で固い床材が敷かれたケージの中などでじっとしている時間が長かったり、フローリング等の滑りやすい床で摩擦があったりすると皮膚や被毛を傷めてしまうことにつながります。
コンクリートや畳などのざらざらした床材は滑りにくいのですが、クッション性が無く足に負担がかかりやすいのでおすすめできません。
糞尿や水入れからこぼれた水などが足裏に付着し、ジメジメと湿った状態が続くとうさぎが気にして舐めてしまい被毛が抜けやすくなってしまいます。また不衛生な環境はストレスや炎症を起こした皮膚からの細菌感染にもつながります。
太り過ぎは足への負担を増やし、運動不足や血行の悪化につながります。
臨床症状やレントゲン検査などにより診断します。
足裏の状態の視診や飼育環境の問診、肥満の有無、関節炎や泌尿器疾患等の足底潰瘍に繋がるような疾患がないかチェックします。
炎症部位が細菌感染を起こしている場合は組織や滲出物を採取し細菌培養検査および感受性試験を行います。
症状の進行度合いによって治療内容は変わってきます。
重篤になればなるほど治療は困難になっていきますので、進行する前に早期発見・治療が必要になります。
まずは飼育環境の見直しが必要になります。
床が硬いのであればクッション性のあるジョイントマットやマイクロファイバーのマットを敷くことで足の負担を軽減することができます。誤食の心配がある子にはコルクやわらでできたマット等かじっても大丈夫な素材であれば安心して使うことができます。
木製やプラスチック製のすのこは水捌けが良く、糞尿が下に落ちるため足裏の湿潤や汚れをある程度防いでくれます。
交換の手間やうさぎの性格によって利点や欠点があるため、その子にあった床材を探してみましょう。
肥満が原因になっているのであれば減量が必要になります。
減量は食事管理と運動をすることが基本になりますが、いきなりご飯を減らしたり、今まであげていたおやつを無くしてしまうとうさぎにストレスをかけることになってしまいます。
またうさぎは消化管を動かし続ける必要があるので量を減らすよりも適切な食事に変えてあげることが大切です。繊維質が高くて低カロリーのイネ科の牧草をメイン且つ、いつでも食べられるようにしてあげてください。
嗜好性が高くて高カロリーなペレットを与えているのであれば、低カロリーなペレットに変更したり、糖分の多いおやつは徐々に減らしてやめる、もしくはどうしても欲しがるようであれば野菜に置き換えてみるなど獣医さんと相談して工夫してみましょう。
運動についてはケージを広いタイプに変えてみたり、部屋んぽの時間や回数を増やしてみましょう。
重度の潰瘍を起こしている場合は傷が治るまで運動制限が必要になります。
炎症が起きている場合は患部を洗浄、消毒し清潔を保つようにします。
必要に応じて伸縮包帯などを巻いて足を保護する場合もあります。
傷や包帯を気にしてかじってしまう子はエリザベスカラーを装着します。
治療法にも書いたように、ソアホックは予防がとても重要になります。
うさぎのストレスを取り除き、足裏に負担がかかりにくいような生活環境を整えてあげる必要があります。
肥満にならないよう運動や食事内容にも気を付けてあげましょう。
今回はうさぎのソアホックについてまとめてみました。
ソアホックは進行してしまうと完治が難しくなり、また治療にも時間がかかる病気です。
そのため早期発見、早期治療ができるよう日頃からうさぎの様子をよくチェックしてあげてください。
いつもと違う様子に気付いたら、早めに動物病院に相談しましょう。
松井(愛玩動物看護士)
IKEDA ANIMAL HOSPITAL
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