犬の頭頚部腫瘍を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「最近愛犬の口の中にしこりがある」
「鼻血が続いている」
「首のあたりに腫れを感じる」

このような症状が見られる場合、わんちゃんの頭頚部腫瘍の可能性があります。

特に7歳以上の中高齢犬(シニア犬)に多く見られ、早期発見が遅れてしまうと食事がとれなくなったり、呼吸が苦しくなったりすることもあります。
しかし、適切な診断と治療を受ければ、愛犬の健康を守ることができます。

この記事では

  • 犬の頭頚部にできる腫瘍の種類
  • 早期発見のポイントと注意すべき症状
  • 治療法や予防策

について解説いたします。

愛犬に気になる症状がある場合は、放置せずに動物病院に相談することが大切です。

目次

犬の頭頚部腫瘍とは?

わんちゃんの頭頚部腫瘍とは、頭部や首(頚部)に発生する腫瘍のことを指します。

腫瘍には良性と悪性のものがあり、発生部位や種類によって治療法や予後が異なります。

犬の頭頚部に発生しやすい腫瘍の種類

わんちゃんの頭や首の周辺(頭頚部)には、口腔、鼻、耳、喉、甲状腺、リンパ節などの組織があり、それぞれに腫瘍が発生するリスクがあります。

腫瘍は大きく「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(がん)」に分けられ、悪性の場合は進行が早く、転移のリスクが高いため注意が必要です。

犬の頭頚部腫瘍が発生しやすい部位と種類

部位主な腫瘍の種類
口腔内(歯肉・舌・口蓋)メラノーマ(悪性)、扁平上皮癌(悪性)、線維肉腫(悪性)、エプリス(良性)
鼻腔・副鼻腔腺癌(悪性)、扁平上皮癌(悪性)、リンパ腫(悪性)
耳道・外耳耳道腺癌(悪性)、良性ポリープ
喉頭・気管扁平上皮癌(悪性)、喉頭腫瘍(良性・悪性)
甲状腺甲状腺腫瘍(良性・悪性)
リンパ節リンパ腫(悪性)

これらの腫瘍は外見だけでは判断が難しく、検査が必要となります。

犬の口腔内腫瘍(口の中)

口腔内(歯肉、舌、頬の粘膜、口蓋)には、比較的腫瘍が発生しやすいと言われています。

以下に代表的なものを挙げます。

メラノーマ(悪性黒色腫):悪性

  • 口腔内腫瘍の中で最も多く、歯肉や舌・口蓋にできやすいといわれています。
  • 骨を破壊しながら大きくなるため、歯のぐらつきや出血が見られます。
  • 進行が早く、リンパ節や肺に転移しやすいです。
  • 特に高齢の小型犬(トイ・プードルやダックスフンドなど)に多く発生します。

扁平上皮癌:悪性

  • 口腔粘膜や舌、歯肉に発生します。
  • 進行は遅めですが、骨に浸潤しやすいです。

線維肉腫:悪性

  • 口腔内で発生し、歯肉や口蓋にしこりを作ります。
  • 転移しにくいですが局所再発が多いです。

エプリス:良性

  • 歯肉に発生する良性腫瘍ですが、悪性のもの(棘細胞性エプリス)もあり、骨に浸潤する場合があります。
  • 手術で完全切除すると再発しにくいといわれています。

鼻腔・副鼻腔腫瘍

わんちゃんの鼻腔腫瘍は多くが悪性で、進行すると顔の変形や呼吸困難を引き起こします。

以下に代表的なものを挙げます。

腺癌:悪性

  • 鼻腔や副鼻腔に発生しやすいです。
  • 進行すると脳に浸潤することもあります。

扁平上皮癌:悪性

  • 口腔内と同様、鼻腔にも発生することがあります。

リンパ腫:悪性

  • リンパ節が腫大し、鼻や喉に腫瘍ができることがあります。

耳・咽頭・喉頭の腫瘍

耳や喉の腫瘍も比較的まれですが、発生することがあります。

以下に代表的なものを挙げます。

耳の腺癌(耳道腫瘍):悪性

  • 慢性の外耳炎を持つわんちゃんに多く、耳道にしこりができます。

喉頭腫瘍:良性・悪性

  • 喉頭(のど)に発生し、呼吸困難や咳を引き起こします。

甲状腺腫瘍:良性・悪性

  • 首の甲状腺に発生します。
  • 悪性の場合は血管や肺へ転移しやすいです。

犬の頭頚部腫瘍の症状と早期発見のポイント

犬の頭頚部腫瘍の主な症状

発生部位注意すべき症状
口腔内よだれが増える、口臭、出血、食欲低下、歯のぐらつき(歯が抜ける)、顔の腫れ
鼻腔・副鼻腔鼻血、くしゃみ、鼻づまり、顔の腫れ、顔の変形
耳道耳垢の増加、耳の腫れ、慢性的な耳の炎症
喉頭・気管声の変化、呼吸困難、咳
甲状腺首のしこり、体重減少、元気がない、食欲低下

ポイント

  • 口の中や鼻、耳を定期的にチェックしましょう(特にシニア犬)。
  • しこりを見つけたらすぐに動物病院で診察を受けましょう。
  • 鼻血・くしゃみ・食欲低下が続く場合は要注意です。

犬の頭頚部腫瘍の診断方法

犬の頭頚部腫瘍の診断には、以下の検査が用いられます。

視診・触診

診たり触ったりして、口腔内や首のしこりをチェックします。

細胞診(FNA:細胞診吸引検査)

細い針で細胞を採取して、がん細胞の有無を調べます。

生検(組織検査)

腫瘍の一部を採取して、詳しく分析します。

X線(レントゲン)検査

骨への浸潤や肺への転移を確認します。

CTMRI

鼻腔腫瘍や脳への浸潤を詳しく調べます。

犬の頭頚部腫瘍の治療方法とその選択肢

治療は腫瘍の種類や進行度によって異なりますが、主に以下の方法があります。

外科手術

  • 腫瘍が局所に限られている場合、最も有効な治療法です。
  • 口腔内腫瘍では、あごの骨を部分的に切除することもあります。
  • 鼻腔腫瘍や耳の腫瘍では、広範囲の切除が必要なことが多いです。

放射線治療

  • 鼻腔腫瘍など手術が難しいケースに有効です。
  • 痛みの緩和やQOL(生活の質)向上にも効果的です。

化学療法(抗がん剤)

  • 血液のがん(リンパ腫)や転移リスクの高い腫瘍に使用されます。
  • 口腔内のメラノーマには免疫療法(メラノーマワクチン)が併用されることもあります。

犬の頭頚部腫瘍の予後(治療後の経過)

  • 良性腫瘍は、完全切除できれば再発しにくいです。
  • 悪性腫瘍は種類によりますが、転移しやすいもの(メラノーマ、腺癌など)は早期発見・治療が重要です。
  • 鼻腔腫瘍や甲状腺腫瘍は進行が早く、治療が難しい場合も多いです。

犬の頭頚部腫瘍の予防と早期発見のポイント

  • 定期的に口腔・鼻・耳のチェックしましょう(腫れ、出血、異臭などがないか)。
  • シニア犬は定期健診を受けましょう(7歳以上は半年に1回の健康診断が推奨されます)。
    (当院では春と秋にお得な健康診断キャンペーンを行っています。)
  • 食欲低下や体重減少に注意しましょう(がんの兆候であることがあります)。

犬の頭頚部腫瘍のまとめ

わんちゃんの頭頚部腫瘍は多様であり、早期発見が鍵となります。

口の中のしこり、鼻血、耳の異常などが見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

特に悪性腫瘍は進行が早いため、迅速な診断と治療が重要です。

愛犬の健康を守るために、定期的な健康チェックを心がけましょう。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次