老犬の認知症を東洋医学でケア|夜鳴き・徘徊への漢方と養生の取り入れ方【川崎市の動物病院】

川崎市中原区・武蔵小杉駅近くの池田動物病院です。

最近、シニア期に入ったわんちゃんが
「夜に急に吠えるようになった」
「名前を呼んでも反応がない」
「部屋の中をグルグル歩き続けている」
などのご相談が増えています。

こうした行動は、老犬の認知症(認知機能不全症候群)のサインかもしれません。

わんちゃんが年齢を重ねるにつれて、身体の不調だけでなく、脳の機能にも変化が起こります。
西洋医学ではサプリやお薬で対応する方法もありますが、東洋医学の視点を取り入れたケアで、よりやさしく穏やかなサポートができることをご存じでしょうか?

この記事では、老犬の認知症に対する東洋医学的な考え方や、実際に取り入れやすい漢方・養生の方法を、動物病院の視点からわかりやすくご紹介します。

わんちゃんとご家族が少しでも安心して過ごせるよう、ぜひ参考になさってください。

夜に鳴いている老犬の柴犬(認知症の行動の一つである夜鳴きをしている様子)
目次

老犬の認知症とは?

シニア期に入ったわんちゃんに、こんな様子はありませんか?

  • 夜になると落ち着きがなく、吠え続ける
  • 部屋の中をぐるぐる歩き回る
  • 名前を呼んでも反応がない
  • 昼夜逆転してしまい、夜間に活動する

こうした行動は、老犬の認知症(認知機能不全症候群/Cognitive Dysfunction Syndrome)のサインかもしれません。

認知症の主な症状(夜鳴き・徘徊など)

認知症のわんちゃんには、以下のような症状が見られます。

  • 夜鳴きや昼夜逆転
  • 同じ場所をグルグル歩き回る(徘徊)
  • ぼーっとする時間が増える
  • 飼い主さまとの関わりが薄くなる
  • 排泄の失敗や混乱
  • 食事の回数を忘れる・同じごはんを何度も欲しがる

進行すると、生活の質(QOL)が大きく低下し、ご家族の介護負担も増えていきます。

なりやすい犬種や年齢の傾向

小型犬では10歳以上、大型犬では8歳以上あたりから発症リスクが高まります。

特定の犬種(トイプードル、柴犬、ミニチュアダックスなど)での報告もありますが、どの犬種にも起こりうる問題です。

西洋医学での治療の限界も

サプリメントや処方薬など西洋医学的なアプローチもありますが、進行を完全に止めることは難しいのが現状です。

そのため「穏やかな時間を長く保つ」「生活の質を少しでも上げる」ことを目指すケアが大切です。

東洋医学の視点から見る老犬の認知症

西洋医学に加えて、東洋医学の知恵を取り入れることで、よりやさしい認知症ケアが可能になります。

「腎虚」や「心神不安」など東洋医学的な解釈

東洋医学では、老犬の認知症は以下のような身体のバランスの乱れが関係していると考えられます。

  • 腎虚(じんきょ)
    老化やホルモンの衰え。
    記憶・集中力の低下、足腰の弱りに関係。

  • 心神不安(しんしんふあん)
    神経の高ぶりや不眠、夜鳴きなどを引き起こす。

  • 肝気の乱れ
    怒りっぽくなる、興奮しやすくなるなどの情緒不安定。

認知症における「気・血・水」の乱れとは

東洋医学では「気・血・水(き・けつ・すい)」という3つの要素のバランスが健康を保つカギです。


  • エネルギー。
    足りないと元気がなく、巡らないとイライラに。


  • 栄養や心の落ち着き。
    足りないと不安になりやすい。


  • 身体の水分バランス。
    脳や神経機能にも関係します。

このバランスが崩れることで、認知症のような症状が現れるとされています。

高齢犬には東洋医学が合いやすい理由

東洋医学は「体質」や「生活習慣」に合わせたやさしいアプローチが特徴です。

急激な変化を避けたいシニア期のわんちゃんにとって、負担の少ないケア方法として注目されています。

老犬の認知症に使われる漢方薬とは

東洋医学的な治療の柱のひとつに、漢方薬の使用があります。

わんちゃんの身体の状態を確認して、漢方を処方します。

当院では、イスクラ社の動物用漢方薬を中心に、安全性の高いものを使用しています。

使用時の注意点

  • 即効性よりも持続的な効果を期待するものです
  • 他の薬との併用も可能ですが、獣医師の判断が必要です
  • 市販の漢方薬を自己判断で与えるのは避けましょう

自宅でできる東洋医学的ケア(養生)

ご自宅でも取り入れやすい、東洋医学的なケア方法=「養生」をご紹介します。

生活環境を整える

  • 夜間は音や光の刺激を減らす(カーテン、音楽)
  • 日中は適度な日光浴と散歩で体内時計を調整
  • 室内の温度・湿度にも配慮しましょう(冷えは「腎」を弱らせます)

食事でのサポート

  • 温める食材(鶏肉、カボチャ、ショウガ)
  • 「腎」を補う黒い食材(黒ゴマ、黒豆など)
  • 神経の安定を助けるもの(小松菜、ナツメなど)

※栄養バランスやアレルギーを考慮しながら取り入れましょう。

飼い主のそばで穏やかに寄り添っている老犬の柴犬(シニア犬の優しい表情と落ち着いた様子)

マッサージやツボ刺激

  • 首まわりや背中をやさしくなでるだけでも効果的です。
  • 「百会(ひゃくえ)」や「神門(しんもん)」などのツボを軽く押すと、リラックス効果があります。

池田動物病院でのケアの特徴

当院では、西洋医学だけでなく、東洋医学を取り入れた認知症ケアを行っています。

東洋医学科での診察の流れ

  1. 初診では、普段の生活の様子や体質を丁寧にヒアリング
  2. 漢方処方や鍼灸治療のご提案
  3. 必要に応じて、生活環境の整え方や養生指導も実施

鍼灸治療や漢方相談も対応

  • 鍼灸によりリラックス効果や血流改善が期待できます。
  • 東洋医学担当の獣医師による丁寧なカウンセリングを行っています。

総合的なサポート

東洋医学と西洋医学を組み合わせて、その子に合ったオーダーメイドケアをご提案しています。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

まとめ|認知症ケアは「気づき」と「継続」が大切です

まずは「変化」に気づくことから

老化現象と見過ごしがちな症状も、早期に気づくことで対策が可能になります。

「最近ちょっとおかしいかも…」と感じたら、早めにご相談ください。

穏やかな老後を目指して

わんちゃんにとって、毎日を安心して過ごせる環境づくりはとても大切です。

東洋医学をうまく取り入れながら、シニア期の暮らしをより穏やかに、豊かにしていきましょう。

ご相談はお気軽に

川崎市中原区・武蔵小杉駅近くの池田動物病院では、東洋医学に力を入れたシニア犬のサポートを行っています。

夜鳴きや徘徊などでお困りの飼い主さま、ぜひ一度ご相談ください。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次