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川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。
「おなかに小さなしこりがある」
「最近しこりが大きくなった気がする」
「乳首の周りが腫れている気がする」
このような症状はありませんか?
わんちゃんの乳腺腫瘍は、中高齢の女の子で比較的多く見られる病気です。
初期には症状がほとんどないこともありますが、悪性の場合は転移することもあるため、早期発見が大切です。
今回は、犬の乳腺腫瘍の症状・原因・診断・治療法・予防について解説いたします。


乳腺腫瘍とは、わんちゃんの乳腺組織にできるしこり全般を指し、良性と悪性(乳がん)に大別されます。
わんちゃんの乳腺はおなかに左右並んでおり、複数のしこりが同時に見つかることもあります。
統計上、わんちゃんの乳腺腫瘍はおよそ良性:悪性=1:1とされ、早期に手術できるものは根治できるケースも多いと報告されています。
良性と悪性の見分け方(目安)
| 見た目・性状 | 良性腫瘍 | 悪性腫瘍(乳がん) |
| 成長速度 | ゆっくり | 急速に大きくなる |
| 触感 | 柔らかく、移動性あり | 硬く、皮膚に癒着して動きにくい |
| 表面 | 滑らか | 不整・凹凸あり |
| 皮膚変化 | なし | 潰瘍化・赤み・出血など |
| リンパ節 | 異常なし | 腋窩・鼡径リンパ節の腫大がみられることも |
ただし、見た目だけで良性か悪性かを断定することはできません。
最終的な判断は病理検査によって行われます。
乳腺腫瘍の発生には、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が深く関係しています。
そのため、発情をくり返している未避妊のわんちゃんでリスクが高まります。
乳腺腫瘍の主な原因は、上記にもあるように、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)です。
避妊手術の時期によって乳腺腫瘍の発生リスクが大きく変わります。
| 避妊手術のタイミング | 乳腺腫瘍の発生率 |
| 初回発情前(6か月齢頃) | 0.5%(ほぼゼロ!) |
| 2回目の発情前 | 8% |
| 2回目の発情後以降 | 26%(避妊手術をしない場合とほぼ同じ) |
つまり、避妊手術が最も効果的な予防方法といえます。
特定の犬種では乳腺腫瘍の発生率が高いことが知られています。
乳腺腫瘍の発生率が高い犬種
これらの犬種で避妊手術をしていない場合は要注意です。
肥満も乳腺腫瘍のリスク要因のひとつと考えられています。
特に若いうちから肥満傾向がある場合は、乳腺腫瘍の発症リスクに関係する可能性があるとされています。
日頃から適切なお食事管理や適度な運動を心がけ、適正体重を維持することも大切です。
※乳腺腫瘍は女の子のわんちゃんに多い病気ですが、男の子のわんちゃんでもまれに発生することがあります。
乳腺腫瘍では、初期には目立った症状がないこともあります。
そのため、日頃のスキンシップやおなかのチェックで気づかれることも少なくありません。
乳腺部(おなか側)に、米粒~小豆大のしこりを触れることがあります。
初期には痛みやかゆみを示すことは少なく、わんちゃん自身が気にしないことも多くあります。
また、良性か悪性かは、見た目や触っただけでは判断できません。
腫瘍が大きくなったり進行したりすると、乳頭周囲から出血や分泌物が見られることがあります。
症状が進行すると、腫瘍が破裂してしまい、周囲の皮膚にダメージを与えることもあります。
細菌感染につながることもあるため注意が必要です。
しこりが大きくなるにつれて、皮膚の表面が赤くなったり、潰瘍(ただれ)ができたりすることがあります。
また、複数のしこりが見られる場合や、急激に大きくなる場合には注意が必要です。
進行した場合には、食欲低下や元気消失などの全身症状が見られることがあります。
また、肺へ転移した場合には、咳や呼吸が苦しそうな様子が見られることもあります。

乳腺腫瘍が疑われる場合、以下のステップで確定診断に近づきます。
しこりに気づいた時期・成長速度・避妊歴・全身の健康状態などを確認し、腫瘤の位置・大きさ・硬さ・可動性をチェックします。
細い針を使って腫瘤から細胞を採取し、顕微鏡で確認する方法です。
腫瘍の性質を推測する参考になりますが、最終的な診断には病理検査が必要になることがあります。
腫瘍の一部または全部を切除して、顕微鏡で詳細に解析します。
これにより、良性・悪性・グレード(悪性度)を正確に判断します。
必要に応じてCT検査などを行い、腫瘍の広がりを詳しく確認することもあります。
手術前には血液検査を行い、全身状態や麻酔に問題がないか確認します。
腫瘍が良性でも悪性でも、基本的には手術で腫瘍を切除することが最も効果的です。
小さなしこりでは周囲組織を含めて切除することがあります。
複数のしこりがある場合は、乳腺全体を摘出することもあります。
悪性が疑われる場合には、リンパ節もあわせて切除することがあります
手術後、1週間ほどで回復する子が多いです。
手術で取り切れなかった場合や、悪性腫瘍で転移がある場合、手術後に抗がん剤治療を行うことがあります。
ただし、わんちゃんでは副作用が強く出ることがあるため慎重に判断します。
乳腺腫瘍ではあまり一般的ではありませんが、進行がんの痛みを軽減する目的で行われることがあります。
進行した腫瘍や転移が見られる場合に、化学療法と併用されることがあります。
乳腺腫瘍の治療は、腫瘍の性質・大きさ・転移の有無・わんちゃんの年齢・体力などを総合的に判断して決定されます。
外科手術では、腫瘍の大きさや位置、転移の有無によって切除範囲を決定します。
腫瘤のみを切除する場合もあれば、乳腺全体やリンパ節を含めて摘出する場合もあります。
手術後の回復は比較的速く、1週間前後で日常生活に戻れるケースもあります。

治療とは別に、乳腺腫瘍を未然に防ぐ可能性を高める対策も重要です。
乳腺腫瘍は、動物で唯一「予防可能な腫瘍」のひとつと考えられており、初回発情前の避妊手術によって発症リスクを大幅に下げる効果が報告されています。
可能であれば“初回発情前(生後6か月前後)”に手術を行うのが最も理想的です。
ただし、避妊手術は個々の健康状態・年齢・繁殖希望などを考慮する必要がありますので、獣医師としっかり相談しましょう。
初回発情前の避妊手術では、乳腺腫瘍の発症リスクを大きく下げられると報告されています。
ご自宅で愛犬のおなかをやさしくさわって、しこりの有無を確認しましょう。
小さな変化も見逃さず、早期発見につなげることができます。
肥満はホルモンバランスを乱し、腫瘍リスクを高める可能性があります。
バランスの取れた食事と適度な運動を心がけましょう。
触診に加えて、超音波検査やレントゲンなどを組み込んだ健康診断を定期的に受けることで、初期の異変を捉える可能性が高まります。
特に中高齢のわんちゃんや避妊していない子は要注意です。
乳腺腫瘍は、中高齢の女の子のわんちゃんで比較的よく見られる病気です。
しかし、早期発見と適切な治療によって良好な経過が期待できるケースも少なくありません。
当院では、腫瘍科診察や乳腺腫瘍のご相談も常時受け付けています。
疑問や不安があれば、どうぞお気軽にご連絡ください。
腫瘍科診察は、石井院長が担当しております。
しこりや腫瘍に関するご相談、がん治療、セカンドオピニオンなどにも対応しております。
初診の方は、お電話(044-433-2274)でのご予約をお願いいたします。

この記事の執筆・監修
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師
菊地(さ)愛玩動物看護師
ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。
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