ペットと過ごす秋の養生

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

暑さが和らぎ、朝晩の空気がひんやりしてくる秋の始まり。
夏の名残を残しつつも、季節の変わり目はペットにとって体調のゆらぎが出やすい時期でもあります。

今回は、わんちゃん・ねこちゃんが秋を健やかに、そして心地よく過ごすためのヒントを、東洋医学の「養生(ようじょう)」の視点からご紹介します。

秋の公園で、女性がオレンジ色の猫を抱きながら、横に座るゴールデンレトリバーの頭を優しく撫でている様子。背景には紅葉した木々と落ち葉が舞い、温かみのある色合いが秋のやさしい雰囲気を表している。
目次

秋に強くなる「燥邪(そうじゃ)」

東洋医学では、自然界の「気(き)」は時期や季節によって変化し、体に影響を与えると考えられています。
秋は空気が乾きやすくなる時期。
この乾燥した「気」を「燥邪」と呼びます。

燥邪は体の水分を奪い、皮膚や肺に負担を与えます。

わんちゃん・ねこちゃんでは、

  • 鼻や喉が乾く
  • 毛並みがパサつく
  • 皮膚がカサついて痒みやフケがでる
  • 空咳がでる

などの変化に気付くことがあります。

秋の静かな空気の中で、体の中では小さな変化が起きているのです。

秋に起きやすい不調のサイン

以下のような変化が見られる場合には、秋の燥邪が影響していることがあります。

  • 鼻や喉が乾いている
  • 空咳や軽い咳をしている
  • 鳴き声がいつもと違う
  • 毛がパサつく
  • フケが気になる
  • 抜け毛が増える
  • 体を痒がる
  • 食欲にムラがある
  • 便が硬くなる、便秘気味

「そういえば、最近ちょっと違うかも?」と感じたら、早めに対応をすることで、体調の悪化を防ぎましょう。

秋の養生は乾燥対策と「肺」のケア

秋の養生でまず重視したいのは「乾燥対策」です。
皮膚や呼吸器を守るために、以下の工夫をお勧めします。

加湿

部屋の温度を50〜60%程度に保ちます。
加湿器や、濡れマット、バスタオルを室内干しするのも有効です。

お湯のスプレー

室内を軽くリフレッシュする時、ぬるま湯を霧状にスプレーすると乾燥対策に役立ちます。

ブラッシング

毎日のブラッシングは、抜け毛のケアだけでなく、皮膚の血流促進にもつながります。

入浴頻度の調整

頻繁にお風呂に入れてしまうと、皮膚の潤いまで失われてしまいます。
乾燥がひどい時は、シャンプー剤を使用せず、ぬるめのシャワーだけにしてみましょう。
また、保湿効果の高いシャンプー剤や保湿剤を使うのもお勧めです。

肉球のケア

乾燥しがちな肉球には、保湿クリームを少量塗って保護してあげましょう。

「肺」を守るために

肺はきれいな空気を取り込み、呼吸や血液の循環をサポートする重要な役割を果たしています。
空気が乾燥する秋には、その負担が増してしまいます。

  • 室内外の温度差に注意し、呼吸器に刺激がいかないよう気をつけましょう。
    特に冷房が直接当たるのは避けた方が安心です。
  • フード選びやトッピングの工夫で、呼吸器に優しい栄養バランスを支えましょう。
  • 痰が絡むような咳や、鼻炎症状が続く場合は、早めの受診をお勧めします。

秋の食養生

東洋医学で「食は最高の薬」とされます。
健康を維持するには、その季節の旬の食材から「気」をもらいましょう。

おすすめ食材とその効果

白背景に並べられた秋の食材イラスト。左上から右下にかけて、赤いりんご、黄色い梨、カットされたかぼちゃ、紫色のさつまいもが丁寧に描かれている。

りんご・梨

喉の乾きや咳に優しい食材です。
皮を剥いて、細かく刻んだりすりおろして与えましょう。

さつまいも・かぼちゃ

胃腸を整え、体に潤いを与えてくれます。
蒸して潰してから与えましょう。

白身魚・鶏胸肉

消化に優しく、気を補ってくれます。
体の潤いを保つ効果もあります。
茹でて細かくほぐして、フードにトッピングしましょう。

どの食材も与え過ぎは良くありません。
毎日・少量ずつを心がけて、しっかり加熱をし、食べやすい大きさに細かくして与えるようにして下さい。

アレルギーや持病がある場合には、必ず事前にご相談ください。

日常でできる生活習慣の工夫

秋は季節の移り変わりから、生活リズムに軽い変化が出やすい時期です。
変化に敏感なわんちゃん・ねこちゃんは、以下の点を気をつけるよう心がけてみてください。

散歩・運動の時間帯

  • 朝や夕方の涼しい時間に、無理のないペースで行いましょう。
  • 外気の寒さを感じる場合は、服や首元にバンダナを巻くなとし、外気の負担を減らす工夫をしましょう。

室温・湿度の調整

  • 朝晩の冷え込みに備え、暖房は使わず、温かい寝床やブランケットで体を温めましょう。
  • 加湿器と換気をセットで行うことで、空気を清潔に保てます。

食事・睡眠リズムの安定化

  • 毎日の食事と寝る時間のリズムをなるべく一定にしましょう。
  • 朝日を浴びることで、体内時計をリセットしましょう。
  • 特にシニアの子は、環境のちょっとした変化がストレスになります。
    環境を整えることが重要です。

まとめ

秋は暑さが和らぎ過ごしやすくなる一方で、夏の疲れが出やすく、季節の変わり目でわんちゃん・ねこちゃんにとって体調の揺らぎが出やすい時期でもあります。
冬に向けて乾燥してくる空気は肺や皮膚へと影響を及ぼします。
咳や呼吸の異常、フケ、痒み、乾燥、脱毛などの皮膚の症状を引き起こします。
乾燥対策が秋の体調管理のポイントとなります。
夏の疲れを癒し、乾燥対策を行い、生活リズムを整えることで秋を健やかに過ごせるようサポートしてあげましょう。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

名取(獣医師)

生まれ変わっても猫と暮らしたい。

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