シニア猫(⾼齢猫)の⾷事

川崎市中原区の飼い主の皆様こんにちは。武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

猫ちゃんの健康を考えた時に、気をつけてあげたいことのひとつに食事があります。

猫ちゃんは7歳くらいから中高年期10〜11歳から高齢期と言われています。

7歳では見た目ではほとんど変化がなく、歳をとっているようには思えないかもしれません。しかし、体の機能や代謝量は徐々に低下しています。

そこで、老化に伴う食事量や運動量の変化に合わせたフードを与えることが大切になります

目次

1| シニア猫(高齢猫)の食事の選び方

7歳以降の猫ちゃんは人間と同様、加齢によって健康面での様々な変化が起こります。運動時間が減ってきて筋肉が衰えてきたり、内臓機能も衰えてくるため必要なカロリーも減ります。

タンパク質、脂質、カロリーともに高すぎるものを避けてビタミンや腸の働きを助ける成分が含まれたフードを選んだり、高齢期に多い腎臓病の子はリンを過剰に摂りすぎる事で、病気の進行を進めてしまうため、食事が十分に取れている子はタンパク質量の多すぎないもの、リンの含有量が少ないものを選ぶなど、その子の健康状態に合わせたシニア用のフードを選びましょう。

何か症状がある場合には病気が原因の可能性もあるので、早めに動物病院で診療を受けて獣医師に相談し、その子に適した療法食や総合栄養食を選ぶ必要があります。

2| シニア猫(高齢猫)の食事量

まずはパッケージに記載されている給与量を参考に与えてください。

その子によって消費エネルギーは異なるため、あくまで参考程度です。体重の変化や体調などを見ながらフード量を調整してあげてください。

以下に、1日に必要なフード量の計算方法を載せてみました。

【1日あたりに必要なフード量の方法】

猫の体重から安静時エネルギー要求量(RER)を求めます

 RERに活動係数をかけて1日当たりのエネルギー要求量(DER)を求めます

 DER100をかけフードの100gあたりのエネルギー量で割ります

2-1| RERについて

RERとはRest Energy Requirementの略称であり、正常な動物が常温環境で安静にしているときの1日に必要なエネルギー要求量のことを指します。

RERの数値の出し方は

RER =体重(kg)の0.75乗×70

となります。

電卓を使ってRERを計算する場合、体重(kg)の0.75乗は、体重×体重×体重の結果に √√ とルートを2回押して出し、最後に70をかけて算出します。

下に概算表も載せておくので参考にしてみてください。

安静時エネルギー量(RER)の概算表

KgRER(kcal/day)
1.595
2.0118
2.5139
3.0160
3.5179
4.0198
4.5216
5.0234
6.5285
7.0301
7.5317
8.0333
8.5348
9.0364
9.5379

2-2| DERについて

DERとはDaily Energy Requirementの略称であり、各成長段階や活動度に応じた平均的な1日あたりのエネルギー要求量のことを指します。

DERは、

DER = RER × 活動係数

の計算式で導かれます。

シニア猫(高齢猫)の活動係数は1.1なのでそこからDERを計算します。

例) 体重4.5㎏ シニア猫(高齢猫)

 DER=216×1.1=237.6kcal/day ← 1日に必要なカロリー量となります。

2-3| 1日あたりに必要なフード量

「DER=1日あたりに必要なカロリー量」が計算出来たら、フード100gあたりのエネルギー量を確認します。

1日あたりに必要なフード量は、DERをフード1gあたりのエネルギー量で割ると求められるため、

1日に必要なフードの量 = DER×100÷フードの100gあたりのエネルギー量(kcal/100g)

の計算式で求められます。

例) 体重4.5㎏ シニア猫(高齢猫) シニア猫用総合栄養食 321kcal(321kcal/100g) のフードを与えたい場合

1日あたりに必要なフードの量は 237×100÷321=73.8g となります。

上記の式より、1日のフード量は約73.8gと導かれ、1日にあげる回数で分けて与えてください。

計算が面倒であったりよくわからない場合は池田動物病院スタッフにご相談ください。

3| シニア猫(高齢猫)の食事回数

シニア猫(高齢猫)は自分の食事量をコントロールすることができなくなり、多く与えてしまうと食べすぎてしまう場合もあります。食事回数の目安は1日1~4回ですがその子の食べ方や体重の変化を見ながら調整してあげてください。 

またシニア猫(高齢猫)は食べる時と食べないときの差が出るようになる子がでてきます。そのため、いつでも食べられる環境を整えておくと猫ちゃんのストレスも少ないので、その子に合わせて回数や1回量の分配を決めてあげてください。

4| シニア猫(高齢猫)の食事環境

高齢になると咀嚼力や消化機能が衰えてきたり、歯周病や口内炎などさまざまな原因でごはんを食べてくれない事が多くなってきます。そういう時は飲み込みやすいようにドライフードをふやかしたり、ウェットフードを与えてみたり、シニア猫(高齢猫)用のペースト状のおやつをトッピングしてみるのも方法のひとつです。

また新鮮な水も必ず用意してください。あまり水分をとっていないようならば、上記ようにウェットフードを与えてみたり、ドライフードをふやかしてあげるなど水分補給をしやすい環境を整えてあげてください。

猫ちゃんも年を取ると筋肉が少なくなって姿勢や飲み込むのがつらい可能性があります。

楽な姿勢で食事できるように猫ちゃんの体型に合わせて器の高さを台にのせて調整してあげたり手やスプーンで食べさせてあげたりするのも良いでしょう。

5|まとめ

シニア猫(高齢猫)になってもできるだけ健康を維持するためには自分の口から適切な栄養を摂ることがとても大切です。愛猫の健康状態や行動の変化をよく観察して、不調や不便さを理解し食事環境や内容を整えてあげましょう。

もし、愛猫の食事のことでお悩みのことや困ったことがあれば池田動物病院スタッフへ気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

森田(動物ケアスタッフ)

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