犬が車で吐く・震える…車酔いの症状と今すぐできる予防法

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

GWが近づき、愛犬と一緒に車に乗ってドライブへ出かけたり、旅行や帰省の際に車で移動したりする機会も増えてくると思います。
また、動物病院への通院のために車に乗せるという方も多いと思います。

そんなドライブ中に
“愛犬の様子がおかしい?!”
と思ったら車酔いをしていたという経験をしたことはありませんか?

わんちゃんも人と同じように車酔いをします。
今回はわんちゃんの車酔いの原因と症状、車酔いを防ぐための対策などをご紹介します。

車内に柴犬が乗っていることを知らせるステッカー風のイラスト
目次

車酔いの原因

車酔いの原因は様々ありますが、代表的なものとして以下の3つがあります。

車酔いで気分が悪そうにぐったりしている犬のイラスト

車の振動や揺れ

人と同様にわんちゃんの耳の奥には平衡感覚を司る三半規管があります。
車の揺れによって三半規管が刺激されると平衡感覚が乱れて車酔いを起こします。

慣れない環境による緊張やストレス

車に慣れていないわんちゃんは、車に乗ること自体が緊張やストレスになり、車酔いを起こす原因となります。
また、車酔いの経験がある、車での移動で嫌な思いをしたことがあるなど、過去の経験で車が苦手になり、余計に緊張やストレスを感じている場合もあります。

車特有のにおい

車内には芳香剤やガソリンなど車特有のにおいがあり、人でも苦手という方がいらっしゃいます。
わんちゃんの嗅覚は人よりも優れているので、これらのにおいはかなりの刺激となり、車酔いを起こす原因となります。

車酔いによって気分が悪くなりふらついている犬のイラスト

車酔いの症状

車酔いを起こすとどのような症状が見られるのでしょうか?

車酔いの軽度症状

  • そわそわ落ち着きがなくなる
  • 何度もあくびをする
  • くんくん鳴いたり、吠えたりする

    ⬇

車酔いの中等度症状

  • 口をくちゃくちゃさせる  
  • よだれが出る  
  • 口を開けてハアハアするなど、呼吸が荒くなる

    ⬇

車酔いの重度症状

  • 嘔吐する
  • 下痢をする  
  • 元気がなくなりぐったりする  

症状が重症化してしまうと、少し休んだだけでは回復せず、病院での治療が必要となることがあります。
わんちゃんを車に乗せる際は、様子をよく見て体調変化に早く気づいてあげましょう。

車に乗せる前に準備する物

どんなに気をつけて運転していても、危険回避の為やむを得ず急ブレーキや急ハンドルなどを行うこともあります。
愛犬が車内で自由に歩き回れる状態だと、衝撃によって座席から落ちたり、怪我をしてしまうことがあります。

愛犬の安全で快適なドライブのために、わんちゃん用の安全装備を必ず用意しましょう。

ドライブボックス

座席に固定するボックスタイプになります。
体の揺れや振動が軽減され車酔いの予防になり、飛び出し防止リードを装着すれば、万が一事故に遭った場合でも愛犬が外に投げ出されずに済みます。
キャリーバックやペットカートとしても使える物なども販売されています。

乗車中も愛犬の様子が確認しやすく、愛犬も飼主さんの顔や外の景色を観たりできるので、ストレスを比較的感じにくいかもしれません。

ドライブ用シートに座って安全に乗車しているダックスフンド
ドライブボックスの使用例

犬用シートベルト

ヘッドレストに掛けるタイプやシートベルト差込口に装着出来るものなどあります。
ドライブボックス同様、愛犬が外に投げ出されるのを防止します。

ハーネスに取り付けるだけなので簡単に装着できますが、愛犬をそのまま座席に乗せるタイプが多いので、ドライブボックスより安定感や安全性は劣りそうです。

ドライブボックスの飛び出し防止リード、犬用シートベルトは必ずハーネスに装着して下さい。

万が一事故に遭った場合、首輪だと事故の衝撃が首に集中して大きな怪我をしたり、首の怪我により命を落としてしまう場合もあります。

ハードキャリー

プラスチック製のものが多く、座席やラゲージにシートベルトなどで固定して使用します。
万が一の衝撃にも強く、外に投げ出される心配もなく、安全性や耐久性が高いのが特徴です。

しかし、周りが囲まれているので愛犬の様子を確認しづらい、愛犬からは周りの様子を見ることが出来ないので、キャリーに慣れていないとストレスに感じてしまうかもしれません。

上記以外にも様々な種類の安全装備が販売されていますので、安全性が高く、愛犬の性格やサイズに合うものを探してみてください。
人も乗車時にシートベルトを装着するように、愛犬にも安全装備を用意してあげましょう。

車でドライブを楽しむ犬と飼い主のイラスト

車酔い対策① 車に慣れさせよう!

いきなり車に乗せてドライブだと、わんちゃんが車酔いしてしまうかもしれません。
また、車酔いをしてしまうと嫌な思い出が残り、車が苦手になってしまうこともあります。
すぐに慣れるわけではありませんので、少しずつ段階を踏んで慣らせていきましょう。

ステップ1

車が怖いところでは無いことを教えてあげましょう。
まずはエンジンをかけずに車に乗せ、車内でおやつを与えたり、お気に入りのおもちゃで遊んだり安心できる場所と教えてあげましょう。
その際にドライブボックスやキャリーの中でおやつを与えると、自分の居場所と覚えやすくなります。

慣れてきたらエンジンをかけてみましょう。
エンジン音や振動、車特有のにおいに驚いたり、緊張したりするかもしれません。
緊張してしまう子は抱っこで短時間乗せるなど、無理をせず時間をかけて慣らしていきましょう。 

ステップ2

車に慣れたら、5〜10分程度の短いドライブをしてみましょう。
家の周りを実際にドライブしてみて、愛犬の様子に変化がないかよくみてあげましょう。
家に戻ってきた時におやつをあげて、車に乗ると良いことがあると教えてあげてください。

ステップ3

短いドライブで車酔いの症状が見られなければ、徐々にドライブの時間を伸ばしていきましょう。
近くの公園やドッグラン、ドッグカフェなど愛犬の好きな場所に連れて行って、車に乗ると楽しいと覚えてもらいましょう。

ただし焦りは禁物です。
1日ですべて行うのではなく、時間をかけて徐々に慣らしていきます。

次のステップに進んだら車酔いの症状が出てしまったという時は、1つステップを戻って再スタートするなど焦らず、時間をかけて少しずつ進めていきましょう。

車酔い対策② 外出時の注意点

車に慣れたらいざ本番です。
長時間の移動になる時もあるので、車酔いをさせない為にここでも対策をしっかり行いましょう。

出かける前の対策

空腹や満腹は車酔いを起こしやすくなります。
出発の2~3時間前までに食事は済ませるようにしてください。

芳香剤などにおいの出るものはなるべく取り除き、車内の空気を入れ替えましょう。

車に乗せる前に散歩をして適度に疲れさせて、車内で眠れるようにしましょう。
車内で寝てくれれば車酔いの予防になります。

乗車中の対策

揺れや振動は車酔いの原因となります。
急発進や急停止などいつも以上に気をつけて、安全運転を心がけましょう。

時々窓を開けて車内を換気しましょう。
ただし、窓から顔を出したりしないよう十分気をつけてください。

移動が長時間になる場合は、こまめに休憩をとり、外を歩かせるなど気分転換をさせましょう。
ドックラン設営のサービスエリアもありますので、事前に確認して利用しましょう。

車酔いをしてしまったときの対処法

飼主さんが注意をしていても、愛犬が車酔いを起こしてしまうこともあると思います。
もしも、車酔いをしてしまった場合には、飼主さんはできるだけ速やかに適切な行動を取ってあげることが大切です。

車酔いの症状が見られたときは、車を停めて、愛犬に外の空気を吸わせ、症状が落ち着くまで休憩しましょう。
休憩してもぐったりしている場合は、近隣の動物病院を受診しましょう。

また、車酔いや緊張が原因で嘔吐や下痢をしてしまうこともあります。
このようなときに、飼主さんが驚いたり不安になったりすると、わんちゃんにも伝わってしまいます。
わんちゃんが安心できるように優しく声をかけながら、冷静に対処してあげましょう。

万が一に備えて、日頃から車内にペットシーツを敷いておいたり、ビニール袋、ウェットティッシュなどを常備しておき、緊急時にも速やかに対処できるようにしましょう。

動物用の車酔い止め

いろいろ対策したけど車酔いしてしまうわんちゃんも多いですよね。
だんだんと慣れてくるわんちゃんもいれば、何度乗っても車酔いをしてしまう子もいます。

その場合は動物用の車酔い止め薬を動物病院で処方してもらいましょう。
乗車する1時間前に飲ませれば車酔いを予防できます。

当院でも診察の上、処方出来ますので、車で出かける予定がある場合はご相談ください。

犬の車酔い対策に使われる動物用の薬のイラスト

よくある質問(FAQ)

Q. 犬の車酔いは自然に治りますか?
A. 徐々に慣れて改善する子もいますが、繰り返す場合は薬などの対処が必要です。

Q. 市販の車酔い止めは使えますか?
A. 人間用は絶対に使わないでください。犬用は動物病院で処方されるものが安全です。

Q. 吐いた後の対処はどうすればいい?
A. 車を停めて安静にさせ、症状が続くようなら早めに動物病院を受診しましょう。

まとめ

今回はわんちゃんの車酔いについて紹介させて頂きました。

車酔いは回数を重ねれば慣れるものでもなく、何度も繰り返すと車に乗ることが嫌いになり、より車酔いを起こしやすくなってしまいます。

我が家のダックスも対策を色々行いましたが、車酔いを起こすので動物用の車酔い止めを飲ませています。
飲ませる前は短時間の乗車でも吐いたり、元気がなくなったりしていましたが、酔い止めのおかげで症状が無くなり、自分から車に乗ろうとするなどお出かけを楽しんでいます。

楽しいお出かけの為にも、日頃より慣れさせる事と愛犬が快適に過ごせるような準備と対策をしっかり行いましょう。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師 
監修:山﨑 愛玩動物看護師

投稿者プロフィール

山﨑(愛玩動物看護師)

ずっとダックスを飼っているダックス好き。

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