犬の乳腺腫瘍を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

愛犬のお腹を撫でていたら、“小さなしこりを見つけた…”そんな経験はありませんか?
もしかすると「乳腺腫瘍」かもしれません。

「様子を見ていれば治るかも?」
「痛がっていないし、大丈夫?」

でも、乳腺のしこりは放置すると危険です!

  • 犬の乳腺腫瘍は、2頭に1頭が悪性(がん)
  • 進行すると肺やリンパ節に転移し、命に関わることも!
  • でも、早く発見すれば治療できる!

乳腺腫瘍は特に高齢の未避妊の雌犬に多く発生し、適切な治療をしないと命に関わることがあります。
しかし、早期に発見し治療すれば、わんちゃんの健康と寿命を守ることができます!

この記事では、乳腺腫瘍の原因・症状・診断方法・治療・予防法、そして飼い主さんができることについて詳しく解説します。

「このしこり、大丈夫かな?」と少しでも気になったら、最後までお読みください!

目次

犬の乳腺腫瘍とは?

犬の乳腺腫瘍ってどんな病気?

乳腺腫瘍とは、乳腺(おっぱい)の部分に発生する腫瘍(できもの・しこり)のことを言います。
「良性」と「悪性(がん)」に大きく分けられます。
わんちゃんの腫瘍の中でも発生頻度が高く、特に避妊手術を受けていない女の子や高齢のわんちゃんで発症のリスクが高まります。

犬の乳腺腫瘍の種類

乳腺腫瘍には、大きく分けて「良性腫瘍」と「悪性腫瘍」の2種類があります。
わんちゃんの乳腺腫瘍の約50%が良性、50%が悪性といわれています。
良性腫瘍は転移せず比較的安全ですが、悪性腫瘍(乳腺がん)は進行すると肺やリンパ節などに転移する可能性があります。

わんちゃんの乳腺は、5対(計10個)あることが一般的で、どの部分にも腫瘍ができる可能性があります。
また、1つの乳腺だけでなく、複数個の腫瘍が同時に発生することもあります。

○良性腫瘍の特徴:命に関わることは少ない

  • ゆっくりと成長する
  • 触ると滑らかで、動きやすい
  • 痛みが少ない
  • 転移しない

○悪性腫瘍の特徴:乳がん

  • 急速に大きくなる
  • 皮膚のただれや潰瘍を伴うことがある
  • しこりが硬く、動きにくい
  • リンパ節の腫れが見られることがある

良性と悪性の見分け方は?

見た目や触っただけでは分かりません。
ですが、次のような特徴がある場合は悪性の可能性が高いです。

特徴良性腫瘍悪性腫瘍(がん)
大きさゆっくり成長急激に大きくなる
硬さしこりが柔らかく、動くしこりが硬く、動かない
皮膚の状態皮膚の変化なし皮膚がただれたり潰瘍ができる
リンパ節腫れなしリンパ節が腫れる

※1つでも当てはまったら、すぐに動物病院へ!

犬の乳腺腫瘍の原因とリスク要因

ホルモンの影響

乳腺腫瘍の発生には、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が深く関係しています。
そのため、発情を繰り返している未避妊のわんちゃんでリスクが高まります。

避妊手術の影響

乳腺腫瘍の主な原因は、上記にもあるように、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)です。

避妊手術の時期によって乳腺腫瘍の発生リスクが大きく変わります。

避妊手術のタイミング乳腺腫瘍の発生率
初回発情前(6か月齢頃)0.5%(ほぼゼロ!)
2回目の発情前8%
2回目の発情後以降26%(避妊手術をしない場合とほぼ同じ)

つまり、避妊手術が最も効果的な予防方法といえます。

遺伝的要因

特定の犬種では乳腺腫瘍の発生率が高いことが知られています。

○乳腺腫瘍の発生率が高い犬種

  • ダックスフンド
  • プードル
  • シーズー
  • ヨークシャーテリア

これらの犬種で避妊手術をしていない場合は要注意です。

肥満

肥満のわんちゃんはホルモンバランスが崩れやすく、乳腺腫瘍の発生率が高くなることが報告されています。
適切な食事管理や運動で予防しましょう。

※男の子のわんちゃんにはほとんどできませんが、まれに発生することもあります。

犬の乳腺腫瘍の症状

「うちの子、大丈夫かな?」と思ったら、お腹(乳腺)をチェックしてみてください⚠️

○こんなしこりは要注意!

  • 乳腺のあたりに小さなしこりがある(大豆くらいのサイズ)
  • しこりがだんだん大きくなっている
  • しこりが硬くて動かない
  • 皮膚が赤くなっていたり、ただれている
  • 乳頭から血や膿が出る

○進行すると

  • 食欲がなくなる
  • 呼吸が苦しそうになる(肺に転移した場合)

しこりがある場合、良性か悪性かは見た目や触っただけでは判断できません。
症状が進行すると腫瘍が破裂し、周囲の皮膚にダメージを与えることもあります。
これにより細菌感染のリスクが高まるため、早期発見が非常に重要です。

犬の乳腺腫瘍の診断方法

触診

動物病院ではまず獣医師がしこりの位置、大きさ、硬さなどを確認します。

細胞診(FNA:細胞吸引検査)

細い針をしこりに刺して細胞を採取し、顕微鏡で確認する方法です。
ただし、確定診断には組織検査が必要な場合があります。

組織生検(病理検査)

腫瘍の一部を採取し、詳しく調べる方法です。
確実に良性・悪性を判別できます。

画像診断(レントゲン・超音波検査)

悪性腫瘍の場合、転移の可能性を確認するためにX線(レントゲン)や超音波検査を行います。
特に肺への転移が起きていないかどうかを調べることが重要です。

犬の乳腺腫瘍の治療方法

外科手術(最も有効な治療法)

腫瘍が良性でも悪性でも、基本的には手術で腫瘍を切除することが最も効果的です。

  • 小さい・単独のしこり → しこりの周辺組織を含めて切除
  • 複数のしこり → 乳腺全体または片側の乳腺を摘出
  • 悪性腫瘍の場合 → リンパ節も切除することが多い

手術後、1週間ほどで回復する子が多いです。

化学療法(抗がん剤)

手術で取り切れなかった場合や、悪性腫瘍で転移がある場合、手術後に抗がん剤治療を行うことがあります。
ただし、わんちゃんでは副作用が強く出ることがあるため慎重に判断します。

放射線治療

乳腺腫瘍ではあまり一般的ではありませんが、進行がんの痛みを軽減する目的で行われることがあります。
進行した腫瘍や転移が見られる場合に、化学療法と併用されることがあります。

犬の乳腺腫瘍の予防方法

早期の避妊手術

上記にもありますが、避妊手術は乳腺腫瘍の予防に非常に効果的です。
可能であれば“初回発情前(生後6か月前後)”に手術を行うのが最も理想的です。

  • 初回発情前:乳腺腫瘍発生率は0.5%
  • 2回目以降の発情後:発生率が大幅に上昇

定期的な健康チェック

毎月1回、愛犬の乳房を優しく触り、しこりがないか確認しましょう。
少なくとも年に1回は動物病院で健康チェックを受けましょう。

適切な体重管理

適切な食事と運動により、肥満を防ぐことでホルモンバランスを整え、乳腺腫瘍のリスクを下げることができます。

犬の乳腺腫瘍のまとめ

犬の乳腺腫瘍は決して珍しい病気ではありませんが、早期発見と適切な治療で愛犬の健康を守ることができます。
定期的な健康チェックと早めの避妊手術を心がけ、万が一しこりを見つけた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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