猫の乳腺腫瘍を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「最近、愛猫のおなかにしこりのようなものがある…」
「乳腺のあたりが腫れている気がする…」
このような変化に気づいたことはありませんか?
もしかすると、ねこちゃんの乳腺腫瘍かもしれません。

ねこちゃんの乳腺腫瘍は、特に未避妊の雌猫に多く発生し、その80~90%が悪性とされています。

この記事では、乳腺腫瘍の原因や症状、治療法、そして予防策について詳しく解説します。

「このしこり、大丈夫かな?」と少しでも気になったら、ぜひ最後までお読みください。

目次

猫の乳腺腫瘍とは?

猫の乳腺腫瘍ってどんな病気?

乳腺腫瘍とは、乳腺(おっぱい)の部分に発生する腫瘍(できもの・しこり)のことをいいます。

特に、避妊手術を受けていない女の子高齢(7歳以上)のねこちゃんで発症のリスクが高まります。

実際に、避妊手術をしていない女の子のねこちゃんでは、乳腺腫瘍が発生する確率が25~30%ともいわれています。

わんちゃんの乳腺腫瘍では約半数が良性とされていますが、ねこちゃんの場合は80~90%が悪性(乳がん)とされており、早期発見・早期治療が極めて重要です。

乳腺は通常、5対(計10個)あり、どの部分にも腫瘍ができる可能性があります。
また、1つの乳腺だけでなく、複数個の腫瘍が同時に発生することもあります。

腫瘍が進行すると、肺やリンパ節などに転移することもあり、放置すると命に関わる病気です。

良性と悪性の見分け方は?

見た目や触っただけでは判断が難しいですが、以下のような特徴がある場合は悪性の可能性が高いです。

特徴良性腫瘍悪性腫瘍(がん)
大きさゆっくり成長急激に大きくなる
硬さしこりが柔らかく、動くしこりが硬く、動かない
皮膚の状態皮膚の変化なし皮膚がただれたり潰瘍ができる
リンパ節腫れなしリンパ節が腫れる

1つでも当てはまったら、すぐに動物病院へご相談ください。

猫の乳腺腫瘍の原因とリスク要因

ホルモンの影響

乳腺腫瘍の発生には、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)が深く関係しています。
そのため、発情を繰り返している未避妊のねこちゃんでリスクが高まります。

避妊手術の影響

乳腺腫瘍の主な原因は、上記にもあるように、女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)です。
避妊手術の時期によって乳腺腫瘍の発生リスクが大きく変わります。

避妊手術のタイミング乳腺腫瘍の発生率
初回発情前(6か月齢頃)0.5%(ほぼゼロ!)
2回目の発情前8%
2回目の発情後以降26%(避妊手術をしない場合とほぼ同じ)

つまり、避妊手術が最も効果的な予防方法といえます。

遺伝的要因

特定の猫種では乳腺腫瘍の発生率が高いことが知られています。

○乳腺腫瘍の発生率が高い猫種

  • ペルシャ
  • シャム

これらの猫種で避妊手術をしていない場合は要注意です。

肥満

肥満のねこちゃんはホルモンバランスが崩れやすく、乳腺腫瘍の発生率が高くなることが報告されています。
適切な食事管理や運動で予防しましょう。

猫の乳腺腫瘍の症状

「うちの子、大丈夫かな?」と思ったら、おなか(乳腺)をチェックしてみてください⚠️

○こんなしこりは要注意!

  • 乳腺のあたりに小さなしこりがある(大豆くらいのサイズ)
  • しこりがだんだん大きくなっている
  • しこりが硬くて動かない
  • 皮膚が赤くなっていたり、ただれている
  • 乳頭から血や膿が出る
  • 痛みや違和感があり、触られるのを嫌がる

○進行すると…

  • 食欲がなくなる
  • 元気がなくなる
  • 呼吸が苦しそうになる(肺に転移した場合)

これらの症状に当てはまる場合は、今すぐ動物病院を受診しましょう。

しこりがある場合、良性か悪性かは見た目や触っただけでは判断できません。
症状が進行すると、体調全体に影響を及ぼしたり、腫瘍が破裂して周囲の皮膚にダメージを与えることもあります。

猫の乳腺腫瘍の診断方法

ねこちゃんの乳腺腫瘍は、早期発見が何よりも重要です。

乳腺腫瘍を診断するために、以下の検査を組み合わせて行います。

視診・触診

乳腺部のしこりの大きさ・硬さ・動きやすさを確認します。
小さな腫瘍は発見が難しいため、触診のみでは判断が難しいこともあります。

細胞診(FNA: 細針吸引生検)

細い針を用いてしこりの細胞を採取し、顕微鏡で観察し、良性か悪性かを調べます。
短時間で結果が出るため、初期診断に有効です。
ただし、確定診断には組織検査が必要な場合があります。

組織生検(病理検査)

確定診断のために、腫瘍の一部を切除し、より詳しい病理検査を行います。
良性か悪性かを判断し、治療方針を決定します。

画像診断(レントゲン・超音波・CT検査)

肺やリンパ節への転移がないかを確認します。
進行が速い場合、転移を伴うケースが多いため重要な検査です。

※転移のチェックが重要!

ねこちゃんの乳腺腫瘍はリンパ節や肺に転移しやすいため、診断時には全身の検査を行うことが推奨されます。

猫の乳腺腫瘍の治療方法

治療方法は、腫瘍の大きさや転移の有無によって異なります。

乳腺腫瘍の主な治療法

治療法内容適応例
外科的切除(手術)腫瘍とその周囲の乳腺を切除する早期発見時、転移がない場合
化学療法(抗がん剤)抗がん剤を用いて腫瘍の成長を抑える転移がある場合、再発予防
放射線療法局所的に放射線を当てる手術ができない場合

外科手術(最も効果的な治療法)

最も一般的な治療法で、腫瘍を含む乳腺組織を手術で取り除きます。
早期発見の場合(1cm以下の小さなしこり)、外科手術で完治する可能性が高いです。

化学療法(抗がん剤)

手術で取り切れなかった場合、悪性度の高い腫瘍や転移がある場合、再発防止のために、手術と併用して抗がん剤治療を行うことがあります。
副作用(食欲低下・嘔吐など)が出ることもあるため、ねこちゃんの体調を見ながら進めます。

放射線治療

手術後の再発予防や、腫瘍が大きく手術ができない場合に適応されます。

早期に治療を開始することで、ねこちゃんの余命や生活の質(QOL)を大きく改善できます。

猫の乳腺腫瘍の予防方法

早期の避妊手術

上記にもありますが、避妊手術は乳腺腫瘍の予防に非常に効果的です。
可能であれば“初回発情前(生後6か月前後)”に手術を行うのが最も理想的です。

  • 初回発情前:乳腺腫瘍発生率は0.5%
  • 2回目以降の発情後:発生率が大幅に上昇

定期的な健康チェック

毎月1回、愛猫のおなか・乳房を優しく触り、しこりがないかチェックしましょう。

少なくとも年に1~2回は動物病院で健康チェックを受けましょう。

当院では、年に2回【春と秋】に健康診断キャンペーンを行っています。詳細はこちら

適切な体重管理

バランスの取れた食事管理で肥満を防ぎましょう。

猫の乳腺腫瘍のまとめ

ねこちゃんの乳腺腫瘍の80~90%は悪性で進行が早いといわれていますが、早期発見と適切な治療で愛猫の健康を守ることができます。
定期的な健康チェックと早めの避妊手術を心がけ、万が一しこりを見つけた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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