猫の頭頚部腫瘍を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。​

「最近、愛猫の口の中にしこりがある」
「鼻血が続いている」
「首のあたりに腫れを感じる」​

このような症状が見られる場合、ねこちゃんの頭頚部腫瘍の可能性があります。

​特に7歳以上の中高齢猫(シニア猫)に多く見られ、早期発見が遅れると食事がとれなくなったり、呼吸が苦しくなったりすることもあります。
しかし、適切な診断と治療を受ければ、愛猫の健康を守ることができます。​

この記事では、

  • 猫の頭頚部にできる腫瘍の種類​
  • 早期発見のポイントと注意すべき症状​
  • 治療法や予防策​

について解説いたします。

愛猫に気になる症状がある場合は、放置せずに動物病院に相談することが大切です。​

猫の頭頚部腫瘍とは?

ねこちゃんの頭頚部腫瘍とは、頭部や首(頚部)に発生する腫瘍のことを指します。

​腫瘍には良性と悪性のものがあり、発生部位や種類によって治療法や予後が異なります。

猫の頭頚部に発生しやすい腫瘍の種類

ねこちゃんの頭や首の周辺(頭頚部)には、口腔、鼻、耳、喉、甲状腺、リンパ節などの組織があり、それぞれに腫瘍が発生するリスクがあります。​

腫瘍は大きく「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(がん)」に分けられますが、多くは悪性腫瘍で進行が早く、転移のリスクが高いため注意が必要です。​

猫の頭頚部腫瘍が発生しやすい部位と種類

部位主な腫瘍の種類
口腔内(歯肉・舌・口蓋)扁平上皮癌(悪性)、線維肉腫(悪性)
鼻腔・副鼻腔腺癌(悪性)、扁平上皮癌(悪性)、リンパ腫(悪性)
耳道・外耳耳道腺癌(悪性)、良性ポリープ
喉頭・気管扁平上皮癌(悪性)、喉頭腫瘍(良性・悪性)
甲状腺甲状腺腫瘍(良性・悪性)
リンパ節リンパ腫(悪性)

これらの腫瘍は外見だけでは判断が難しく、検査が必要となります。​

猫の口腔内腫瘍(口の中)

口腔内(歯肉、舌、頬の粘膜、口蓋)には、比較的腫瘍が発生しやすいと言われています。​

以下に代表的なものを挙げます。​

扁平上皮癌:悪性

  • ​口腔内腫瘍の中で最も多く、歯肉や舌・口蓋にできやすいといわれています。
  • 骨を破壊しながら大きくなるため、歯のぐらつきや出血が見られます。
  • 進行が早く、リンパ節や肺に転移しやすいです。​

線維肉腫:悪性

  • ​口腔内で発生し、歯肉や口蓋にしこりを作ります。
  • 転移しにくいですが、局所再発が多いです。​

鼻腔・副鼻腔腫瘍

ねこちゃんの鼻腔腫瘍は多くが悪性で、進行すると顔の変形や呼吸困難を引き起こします。​

以下に代表的なものを挙げます。​

腺癌:悪性

  • ​鼻腔や副鼻腔に発生しやすいです。
  • 進行すると脳に浸潤することもあります。​

扁平上皮癌:悪性

  • 口腔内と同様に、鼻腔にも発生することがあります。​

リンパ腫:悪性

  • ​リンパ節が腫大し、鼻や喉に腫瘍ができることがあります。​

耳・咽頭・喉頭の腫瘍

耳や喉の腫瘍も比較的まれですが、発生することがあります。​

以下に代表的なものを挙げます。​

耳の腺癌(耳道腫瘍):悪性

  • ​慢性の外耳炎を持つねこちゃんに多く、耳道にしこりができます。​

喉頭腫瘍:良性・悪性

  • ​喉頭(のど)に発生し、呼吸困難や咳を引き起こします。​

甲状腺腫瘍:良性・悪性

  • 首の甲状腺に発生します。
  • 悪性の場合は血管や肺へ転移しやすいです。

猫の頭頚部腫瘍の症状

腫瘍の種類や場所によって症状は異なりますが、一般的に以下のような変化が見られます。

見た目の変化

  • 顔や首にしこりができる
  • 口や鼻からの出血
  • 目の周りの腫れ

行動の変化

  • 食欲の低下(特に口腔内腫瘍)
  • 口を開けづらそうにする
  • 口臭がひどくなる

その他の症状

  • よだれが増える
  • くしゃみや鼻詰まり
  • 体重減少

特に 口の中の腫瘍は発見が遅れやすく、進行が速いため、早めの診察が重要です。

猫の頭頚部腫瘍の診断方法

ねこちゃんの頭頚部腫瘍の診断には、以下の検査が用いられます。

視診・触診

診たり触ったりして、口腔内や首のしこりをチェックします。

細胞診(FNA:細胞診吸引検査)

細い針を刺して腫瘍細胞を採取し、悪性かどうかを調べます。

生検(組織検査)

腫瘍の一部を切り取って、詳しく検査します。

画像診断(X線・CT・MRI)

  • X線(レントゲン):骨への浸潤や肺への転移を確認します。
  • CT・MRI:鼻腔腫瘍や脳への浸潤を詳しく調べます。

猫の頭頚部腫瘍の治療方法

ねこちゃんの頭頚部腫瘍の治療法は、腫瘍の種類や進行度によって異なります。

代表的な治療法を紹介します。

外科手術

多くの腫瘍に対して、最も効果的な治療方法が外科手術です。
扁平上皮癌や線維肉腫は外科手術が第一選択となります。
特に、良性腫瘍や外科的に切除可能な悪性腫瘍では、手術によって完治が期待できる場合があります。
ただし、腫瘍が広範囲に広がっている場合や、切除が難しい場所にできている場合は、別の治療法を検討する必要があります。

放射線治療

外科手術が困難なケース(鼻や喉)や、完全に腫瘍を取り切れなかった場合に用いられます。
特に鼻腔内腫瘍や扁平上皮癌など、手術だけでは対応が難しい場合に有効です。
放射線治療は数回に分けて実施され、腫瘍を縮小させることで症状を改善します。

化学療法(抗がん剤)

リンパ腫や転移が見られる腫瘍に対して行われます。
ねこちゃんはわんちゃんに比べて抗がん剤の副作用が出にくいとされていますが、個体差があるため、副作用を最小限に抑えながら治療を進めることが重要です。

緩和治療

腫瘍が進行しており根治が難しい場合でも、痛みを和らげるための緩和治療を行います。
鎮痛剤や炎症を抑える薬を使いながら、ねこちゃんができるだけ快適に過ごせるようサポートします。

猫の頭頚部腫瘍の早期発見のポイント

腫瘍の発生を完全に防ぐことは難しいですが、以下のポイントを意識することで、早期発見につながります。

日々のスキンシップを大切にする

ねこちゃんの頭や首まわりを撫でるときに、しこりや腫れがないか触れて確かめる習慣をつけましょう。

特に高齢のねこちゃん(7歳以上)は、腫瘍が発生しやすいため、こまめに確認することが重要です。

食欲や行動の変化に気を配る

ねこちゃんが急に食べにくそうにしている、口臭が強くなった、よだれが増えたなどの変化があれば、口腔内腫瘍の可能性があります。

また、鼻づまりやくしゃみが続く場合は鼻腔内腫瘍の疑いがあるため、注意が必要です。

定期的な健康診断を受ける

年に1回の健康診断(シニア猫は半年に1回)を受けることで、腫瘍の早期発見につながります。

血液検査や画像診断を活用し、見えない部分の異常もチェックしましょう。

当院では、年2回の健康診断キャンペーンがありますので、ぜひご利用ください。詳細はこちら

猫の頭頚部腫瘍のまとめ

ねこちゃんの頭頚部腫瘍は、早期発見・早期治療が非常に重要です。

「うちの猫、ちょっと気になる症状があるかも…?」と感じた方は、ぜひ当院までご相談ください。

愛猫の健康を守るために、日々の観察と定期的な健康チェックを心掛けましょう。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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