SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:重症熱性血小板減少症候群)について

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、わんちゃんやねこちゃんが感染すると命に関わる危険なウイルス感染症です。

近年、わんちゃんやねこちゃんのSFTSの感染例が報告され、川崎市近隣でも感染リスクが指摘されており、多くの飼い主さまが不安を感じています。

この記事では、SFTSの症状・感染経路・予防法・治療法を詳しく解説し、大切な愛犬・愛猫を守るために今すぐできる対策をお伝えします。

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?

SFTSは2013年に日本国内で初めて確認され、西日本を中心に感染が拡大しています。
近年では神奈川県や川崎市近隣でもSFTSに感染したマダニの生息が報告されており、わんちゃんやねこちゃんの感染リスクが高まっています。

SFTSは、SFTSウイルスによって引き起こされる感染症です。
このウイルスは、主にフタトゲチマダニやタカサゴキララマダニなどのマダニの吸血を介して感染し、ヒトだけでなくわんちゃんねこちゃんも発症することがわかっています。

SFTSは発熱食欲不振血小板減少(血が止まりにくくなる)などの症状を引き起こし、致死率が高いことで知られています。
特に、わんちゃんやねこちゃんが感染した場合の治療法は確立されていないため、予防がとても大切です。

SFTSはどうやって感染するの?(感染経路)

SFTSウイルスの感染経路は主に3つです。

  1. マダニによる感染
    SFTSウイルスを持つマダニに噛まれることで感染します。
    最も一般的な感染経路です。

  2. 感染した動物との接触
    SFTSに感染したわんちゃんやねこちゃんの血液・唾液・体液に触れることで、他の動物に感染する可能性があります。

  3. ヒトへの感染リスク
    感染したわんちゃんやねこちゃんの唾液・体液・排泄物に触れることで、ヒトにも感染する可能性が指摘されています。
    現時点で詳細は不明ですが、注意が必要です。

特に川崎市近隣では、自然環境が残る公園や河川敷が多く、わんちゃんのお散歩時や、自由に外出するねこちゃんは、感染リスクが高まります。

SFTSの症状

SFTSに感染したわんちゃんやねこちゃんには、数日~2週間の潜伏期間を経て、以下のような症状が現れることがあります。
SFTSの初期症状は一般的な感染症と似ていますが、急速に悪化するのが特徴です。

犬でのSFTSの症状

元気・食欲の消失、発熱、消化器症状などが主な症状です。
血液検査では、血小板・白血球の減少、肝酵素の上昇などが見られます。
わんちゃんでは感染しても症状が見られないことも多く(不顕性感染)、検査してはじめて感染が判明することもあります。
この感染症によるわんちゃんでの致死率は約29%といわれています。
マダニの予防を行っていたわんちゃんでも発生が見られます。

猫でのSFTSの症状

わんちゃんと同じように、元気・食欲の消失、黄疸、発熱、嘔吐などが主な症状です。
下痢は少ないとされています。
血液検査では、血小板・白血球の減少、肝酵素の上昇などが見られます。
特にねこちゃんがSFTSに感染すると重症となることが多く、致死率はわんちゃんの2倍の約60%といわれています。
マダニの予防を行っていたねこちゃんでも発生が見られます。
ねこちゃんからねこちゃんへの感染の可能性もありますので注意が必要です。

ヒトでのSFTSの症状

発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)が主な症状で、頭痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などがみられることもあるとされます。
血液検査では、血小板減少、白血球減少、AST、ALT、LDHの上昇などが見られます。
ヒトでの致死率は約12.5%といわれています。

特に血小板の減少によって、出血しやすくなるのがSFTSの特徴的な症状です。

SFTSは急速に悪化し、治療が遅れると命に関わるので、異変を感じたらすぐに病院を受診してください。

SFTSの予防法:飼い主さんができること

SFTSには現在、特効薬やワクチンが存在しないので、感染しないように予防することが最も重要です。

犬のSFTSの予防法

  • 予防薬の投与
    月に1回マダニ予防薬(錠剤タイプ・スポットタイプ)を使用しましょう。

  • 草むらや茂みを避けて散歩
    毎日のお散歩で、草むらや河川敷・公園の茂みを避けましょう。
    特に、春から秋にかけて、マダニは活発になります。

  • 散歩後に全身チェック
    お散歩から帰ってきたら、全身をチェックして、マダニが付いていないか確認しましょう。
    耳・首・わきの下、股の部分を重点的に確認しましょう。

猫のSFTSの予防法

  • 完全室内飼育を徹底
    外に出さないのが最も効果的です。
    外出を避けることでマダニとの接触を防ぐことができます。

  • 予防薬の投与
    月に1回マダニ予防薬(スポットタイプが一般的)を使用しましょう。
    お外に出る機会のあるねこちゃんはもちろん、完全室内飼育のねこちゃんにも予防が推奨されます。

  • 外出後にマダニチェック
    お外に出た場合は、帰宅後すぐにブラッシングをして、マダニが付いていないか確認しましょう。

特に川崎市周辺では、公園や河川敷などにマダニが生息している可能性があるため、注意が必要です。

マダニの予防には、動物病院で処方されるスポットタイプや錠剤・チュアブルタイプのものがあります。
特に、毎月1回の投与が推奨される予防薬は、継続的に使用することで高い効果を発揮します。

外出後は、首・耳の裏・脇の下・股の部分を重点的にチェックし、万が一マダニがついていたらすぐに動物病院で相談しましょう。

もしSFTSに感染してしまったら…治療方法は?

現在、SFTSに対する特効薬やワクチンはありません
そのため、動物病院では以下のような対症療法(症状を和らげる治療)を行います。

  • 点滴治療
    脱水症状や電解質バランスの異常を補正します。

  • 抗生剤の投与
    細菌の二次感染を防ぎます。

  • 血液検査:血小板や赤血球の補充
    出血を防ぐために行う場合があります。
    重症例では輸血が必要になることもあります。

  • 免疫サポート療法
    動物の免疫を高める治療を行います。

SFTSは早期発見・早期治療がとても重要なので、少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

SFTSのまとめ

SFTSは、わんちゃんやねこちゃんにとって命に関わる感染症ですが、適切な予防を行うことで感染リスクを大幅に減らせます。

大切な愛犬・愛猫の健康を守るために、しっかりと予防をしましょう。

普段から愛犬・愛猫の体調をこまめにチェックすることも大切です。

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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