地域密着のホームドクターとして35年
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川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。
「うちに子猫ちゃんがやってきました!」
そんな嬉しいご報告とともに、「どんなごはんをあげたらいいですか?」というご相談をよくいただきます。
生まれて間もない子猫ちゃんの食事は、その後の健康な成長を支えるとても大切なステップです。
特に、母乳の代わりとなるミルクの与え方や、離乳食への切り替え方は悩む方も多いのではないでしょうか?
このブログでは、生後0〜4か月頃の子猫ちゃんを対象に、
ミルクの選び方やフードの始め方、食事のポイントについてわかりやすくご紹介します。
初めて子猫を育てる方にも安心して読んでいただける内容となっていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
子猫ちゃんの成長はとても早く、生まれてから1歳になるまでの1年間で、驚くほどの変化を見せてくれます。
この時期は身体の成長だけでなく、内臓機能や免疫、社会性なども育まれる「一生の土台づくりの期間」といえる大切な時期です。
以下のように月齢ごとにステージを分けて、それぞれに合った食事やケアを行うことが大切です。
月齢 | ライフステージ | 特徴 | 主な食事内容 |
---|---|---|---|
0~3週 | 新生児期 | 目も耳も未発達。母猫からの授乳が基本 | 母乳または子猫用ミルク |
3~8週 | 移行期(離乳期) | 徐々に自力で歩けるように。乳歯が生え始める | ミルク+離乳食(ふやかし) |
2~4か月 | 成長初期 | 活発に動き、体重も急増。免疫も未完成 | 子猫用フード(高カロリー) |
4~12か月 | 成長後期(若齢期) | 見た目は「小さな成猫」に。性成熟も近づく | 成猫への移行を意識したフード管理 |
このように、生後0か月から12か月までの間に4つの段階があることを意識しておくと、
食事内容の選び方やタイミングで迷ったときにも役立ちます。
生後間もない子猫ちゃんは、まだ目も開いておらず、自力で体温を保ったり排泄をしたりすることもできません。
この時期は「授乳」が命を支える最も重要な要素になります。
もし母猫がそばにいて、健康な状態で育ててくれているのであれば、基本的には母乳で十分です。
母乳には子猫ちゃんの免疫を高める成分が含まれており、成長に必要な栄養も完璧に含まれています。
やむを得ず人工保育を行う場合は、必ず「子猫用ミルク」を使用してください。
牛乳や人間用ミルクは、子猫の身体に合わず、下痢や栄養不足を起こす原因になります。
週齢 | 1日の授乳回数 | 1回量の目安(ml) | 備考 |
---|---|---|---|
0〜1週 | 2~3時間おき(8回程度) | 2~4ml | 夜間も必要 |
2週 | 6~8回 | 5~10ml | 体重に応じて増やす |
3週 | 5~6回 | 10~15ml | 哺乳瓶に慣れ始める時期 |
※1回量は子猫の体重や発育によって調整してください。
0~3週齢の子猫ちゃんは、自力で排泄できないため、ミルクのあとにぬるま湯で湿らせたコットンやティッシュでお尻を優しく刺激してあげましょう。
この時期の子猫育ては不安も多いですが、毎日の体重測定と排便・排尿のチェックが大切な健康のバロメーターになります。
生後3週を過ぎる頃から、子猫ちゃんは少しずつ「離乳期」に入ります。
乳歯が生え始め、ミルクだけでは必要な栄養やカロリーをまかなえなくなってくるからです。
この時期は、ミルクから子猫用フードへ移行する大切なステップになります。
こうしたサインが見え始めたら、離乳食のスタート時期です。
2〜3週間かけて、少しずつ「噛んで食べる習慣」をつけるのがポイントです。
離乳期は飼い主さまにとって「一番大変で、でも一番成長が嬉しい時期」でもあります。
しっかり観察しながら、子猫ちゃんのペースに合わせて少しずつステップアップしてあげましょう。
子猫ちゃんは身体も心もぐんぐん成長する時期。
成猫用フードでは不足してしまう栄養素やエネルギーがあるため、必ず「子猫用フード」を選ぶことが大切です。
項目 | 子猫 | 成猫 |
---|---|---|
エネルギー量 | 約2倍必要 | 安定期で少なめ |
たんぱく質 | 多め(発育に必須) | 維持に必要な量 |
カルシウム・リン | 骨・歯の発達に必須 | 過剰は腎臓に負担 |
DHA・EPA | 脳・視覚の発達に必要 | 成猫は必須度低め |
このように、成猫用フードでは栄養が不足するため、必ず子猫用を選ぶ必要があるのです。
成長期の1年間は、食事が一生の健康を左右する「黄金期」といえます。
子猫ちゃんは日々ぐんぐん成長しているため、必要なカロリー量は成猫の約2倍になります。
そのため、きちんと計算してあげることが健康な発育につながります。
以下に、生後~4か月頃の子猫の1日に必要なフード量の計算方法を載せてみました。
【1日あたりに必要なフード量の計算方法】
猫の体重から安静時エネルギー要求量(RER)を求めます
↓
RERに活動係数をかけて1日当たりのエネルギー要求量(DER)を求めます
↓
DERをフードの100gあたりのエネルギー量で割り、100をかけます
RERとはRest Energy Requirementの略称であり、正常な動物が常温環境で安静にしているときの1日に必要なエネルギー要求量のことを指します。
つまり、「ねこちゃんが安静にしているときに必要な1日あたりのエネルギー量」のことです。
RERの数値の出し方は
RER(kcal)= (体重)0.75 × 70
となります。
ちょっと難しそうに見えますが、電卓で次のように計算できます。
電卓を使ってRERを計算する場合
(体重)0.75は
体重×体重×体重の結果に √√とルートを2回押して出し、
最後に70をかけて算出します。
例)体重1.2kgのねこちゃんの場合
1.2 × 1.2 × 1.2 = 1.728
1.728に「√(ルート)」を2回押すと「約1.316」
1.316 × 70 ≒ 92.12kcal/day
この92kcalが、その子が静かに過ごす1日に必要なカロリー(RER)になります。
計算が苦手な方は、簡単にRERを求められる概算表があるので載せます。
体重(kg) | RER(kcal/day) |
---|---|
0.5 | 42 |
1.0 | 70 |
1.5 | 95 |
2.0 | 118 |
2.5 | 139 |
DERとはDaily Energy Requirementの略称であり、各成長段階や活動度に応じた平均的な1日あたりのエネルギー要求量のことを指します。
つまり、「日常生活を送るうえで実際に必要なカロリー量」です。
DERは
DER(kcal)= RER × 活動係数
の計算式で導かれます。
例)1.2kg・4か月齢のこねこちゃんの場合
RER=92
92 × 3.0 = 276kcal/day(DER)
276kcalが1日に必要なカロリー量となります。
猫の活動係数(DER計算用の目安)
状況・ライフステージ | 活動係数(目安) |
---|---|
成猫(避妊・去勢済み、室内飼い) | 1.2〜1.4 |
成猫(未避妊・未去勢、活動的) | 1.4〜1.6 |
成猫(とても活発/屋外に出る) | 1.6〜1.8 |
成猫(肥満傾向で減量が必要) | 1.0 |
子猫(生後4か月まで) | 3.0 |
子猫(生後4〜12か月) | 2.5 |
妊娠期 | 2.0〜2.5 |
授乳期(ピーク時) | 4.0〜5.0 |
シニア猫 | 1.1〜1.2 |
ここまでで「その子に必要な1日のカロリー量(DER)」がわかりました。
あとは与えたいフードのエネルギー量(kcal/100g)を使って、必要なグラム数を計算します。
1日あたりに必要なフード量は、DERをフード1gあたりのエネルギー量で割ると求められます。
1日に必要なフードの量(g)= DER × 100 ÷ フードの100gあたりのカロリー
例)体重1.2㎏ 生後~4か月齢子猫 子猫用総合栄養食 445kcal(445kcal/100g)のフードを与えたい場合
276(DER)×100 ÷ 445 = 約62.02g
上記の式より、1日のフード量は62gと導かれ、1日にあげる回数(3~4回)で分けて与えてください。
計算がむずかしいときは…
「計算がちょっと苦手」「自信がない」という方は、無理にご自分でやらなくて大丈夫です。
池田動物病院では、ねこちゃんの体格や生活習慣をもとに、ぴったりのごはん量やフード選びをお手伝いしています。
どうぞお気軽にご相談ください。
子猫ちゃんは「食べすぎかな?」と感じるくらいでも大丈夫。
ただし下痢や嘔吐が続く場合は調整が必要です。
毎日の体重測定が、一番確実な指標になります。
子猫ちゃんは消化器が未発達で、一度にたくさん食べられません。
そのため、少量を複数回に分けて与えることが基本です。
また、月齢ごとに必要なカロリーや身体の成長スピードが異なるため、適切な食事回数を知っておくことが大切です。
月齢 | 食事回数 | 1日の必要量(目安) | 備考 |
---|---|---|---|
0〜1か月 | 8回程度(2〜3時間おき) | ミルクのみ | 夜間も必要、体温管理必須 |
1〜2か月 | 6回程度 | ミルク+ふやかしフード | 離乳スタート期 |
2〜3か月 | 4〜5回 | 子猫用フード 40〜60g前後 | 活動量が急増、成長ピーク |
4か月頃 | 3〜4回 | 子猫用フード 50〜70g前後 | ドライフードへ移行可能 |
5か月以降 | 3回(多頭飼育は2回も可) | 体重・体型に応じて調整 | 避妊・去勢後は太りやすい |
※必要量は体重や使用フードのカロリーによって変動します。必ずパッケージの給与量も参考にしてください。
この時期は「かわいいからついおやつをあげたくなる」飼い主さまも多いですが、基本は総合栄養食のみで十分です。
おやつはごく少量、トレーニングやご褒美として取り入れる程度にしましょう。
子猫ちゃんの食事については、飼い主さまからたくさんのご相談をいただきます。
特に多いのは「食べない」「下痢をする」「太りすぎる」といったお悩みです。
それぞれの原因と対処法をまとめました。
小さな不調でも、子猫ちゃんは体調を崩すと一気に悪化してしまうことがあります。
「ちょっと気になるな」と思ったら、どうぞ早めにご相談ください。
子猫ちゃんの時期は、ちょっとした食事の変化が体調に直結します。
飼い主さまが「気になるな」と思ったときが、実は早めにケアすべきサインかもしれません。
子猫ちゃんの1年は、健康の土台を作る大切な時間です。
小さな変化に気づいてあげられるのは、毎日そばにいる飼い主さまだけ。
「これくらい大丈夫かな?」と思わずに、どうぞお気軽にご相談ください。
池田動物病院では、ねこちゃんひとりひとりに寄り添ったアドバイスをご用意しています。
子猫ちゃんの1年間は、心と身体の基礎をつくる大切な成長期です。
この時期に「どんなごはんを食べるか」で、その後の健康状態が大きく変わります。
初めての子猫ちゃん育ては、わからないことや不安なことがたくさんあると思います。
でも、毎日の食事とちょっとした気づきが、健康を守るいちばんの近道です。
「これで合っているのかな?」と迷ったときは、どうぞ一人で悩まずにご相談ください。
池田動物病院では、ねこちゃん一頭一頭に合った食事のアドバイスを、わかりやすくお伝えしています。
🐾 猫のお食事シリーズはこちら
ねこちゃんの年齢やライフステージに合わせたごはん選びの参考に、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶ 生後0〜4か月の子猫のお食事と栄養|ミルクから離乳へ健康な成長をサポート (この記事)
▶ 生後5〜12か月の子猫のお食事と栄養|成猫に向けた健康な成長と体重管理
▶ 成猫のお食事と栄養|健康を維持するフード選びと体重管理
▶ シニア猫のお食事と栄養|年齢に合わせた健康管理
この記事の執筆・監修
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師
菊地(さ)愛玩動物看護師
ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。
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