犬の関節炎・関節痛とは?原因や症状を徹底解説

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「最近、わんちゃんが歩きたがらない」
「階段を嫌がる」
そんな変化に気づいたことはありませんか?

実はそれ、関節炎や関節痛 が原因かもしれません。

関節炎は関節の中で炎症が起こり、軟骨や周囲の組織が傷ついてしまう病気です。
関節痛は、その炎症や摩耗によって出てくる痛みのことを指します。

特にシニア犬に多く見られる病気ですが、若いわんちゃんでも外傷や遺伝的要因で発症することがあります。
放置すると歩行障害や生活の質の低下につながるため、早期発見と治療 がとても大切です。

それでは、犬の関節炎・関節痛の原因や症状、治療法、予防法 を順番に見ていきましょう。

関節炎で後ろ足に違和感を抱え、座り込んでいる優しい表情のシニア犬(ゴールデンレトリーバー)
目次

犬の関節炎・関節痛の主な原因

わんちゃんの関節炎や関節痛にはさまざまな原因があります。

代表的なものをご紹介します。

加齢による変形性関節症

年齢を重ねると関節の軟骨がすり減り、クッションの役割を果たせなくなって炎症が起こります。

肥満による関節への負担

体重が増えると、それだけ関節にかかる負荷も大きくなり、痛みの原因となります。

外傷や手術後の影響

捻挫や骨折のあとに関節が変形してしまい、その影響で痛みが出る(慢性的な関節痛)ことがあります。

先天的な異常

股関節形成不全や膝蓋骨脱臼など、特定の犬種に多い先天性疾患も原因になります。

免疫性関節炎・感染症

関節液に細菌が入り炎症を起こす場合や、免疫の異常で関節が腫れるケースもあります。

犬の関節炎・関節痛の症状チェック

関節炎や関節痛は初期には気づきにくく、症状が進むと日常生活に支障が出ます。

関節炎で後ろ足をかばいながら歩くシニア犬(ゴールデンレトリーバー)、少しつらそうな表情

代表的なサインは次の通りです。

  • 足を引きずる、びっこをひく
  • お散歩中に立ち止まる、座り込む
  • 階段やソファの上り下りを嫌がる
  • 関節をさわると嫌がる、怒る
  • 朝や休憩後の動き始めがぎこちない
  • 遊びや走ることを避けるようになった

実際に、武蔵小杉にお住まいの飼い主さまから「冬になると歩き方がぎこちなくなる」と相談を受けた柴犬は、膝の関節炎が原因でした。
温灸と漢方薬を組み合わせた治療を行ったところ、3か月後には散歩の距離が大幅に伸び、飼い主さまも驚かれていました。

犬の関節炎・関節痛の診断方法

正確に診断するには、いくつかの検査を組み合わせて行います。

  • 問診・視診・触診
    日常の行動や歩き方、関節の腫れや熱をチェックします。

  • レントゲン検査
    骨や関節の変形、骨のとげ(骨棘)ができていないかを確認します。

  • 関節液検査
    炎症や感染があるかどうかを調べます。

  • 血液検査
    炎症のサインや免疫の異常を確認します。

  • 関節鏡検査
    関節内部を直接観察し、損傷の場所を特定します。

日常の小さな変化に気づき、定期的に健診を受けることが早期発見につながります。

犬の関節炎・関節痛の治療法

治療の目的は「痛みをやわらげること」「病気の進行を遅らせること」です。

西洋医学的治療

  • 消炎鎮痛薬(NSAIDs)
  • 関節保護サプリメント(グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸)
  • 体重管理で関節への負担を減らす
  • 理学療法(水中トレッドミル、ストレッチ、マッサージ)
  • 重度の関節炎には手術(人工関節置換や骨切り術)

東洋医学的治療(当院の強み)

東洋医学では、関節の痛みを「血や水の流れが滞っている」「冷えでこわばっている」と考えます。
当院の東洋医学科では、西洋医学だけでなく以下の方法も組み合わせて治療しています。

  • 鍼灸治療
    足腰や背中のツボを刺激し、血流を促して炎症を抑えます。

  • 漢方薬
    体質や症状に合わせて、経絡(けいらく:血や水)の流れをスムーズにし、冷えを改善する漢方などを処方します。

  • 温灸
    冷えやこわばりを和らげ、動きをスムーズにします。

  • 食事療法
    身体を温めるショウガやラム肉、抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸を取り入れます。

例えば、肝臓病を持っていてNSAIDsを使えなかった12歳の柴犬に、鍼灸と漢方を組み合わせたところ、歩く距離が2倍に伸び、痛みも大幅に軽減しました。

犬の関節炎・関節痛の予防方法

  • 適正体重を維持する
  • 室内の床を滑りにくい素材に変える
  • 高い段差や急な階段を避ける
  • 栄養バランスの良い食事を与える
  • 適度な運動で筋力を保つ

飼い主さまができる日常ケア

  • 無理のない範囲でのお散歩や軽い運動
  • 足裏の毛をカットして滑りにくくする
  • 爪をこまめに整えて歩行を安定させる
  • 冷え対策として服やマットを活用する
  • 関節にやさしいベッドやマットを用意する
  • 年2回以上の健康診断で早めの発見を

まとめ

わんちゃんの関節炎・関節痛は、加齢や肥満、遺伝的要因、外傷などさまざまな理由で起こります。
初期症状は見逃されやすいですが、早めに気づいて治療を始めることで進行を抑え、わんちゃんの生活の質を守ることができます

川崎市・武蔵小杉エリアの池田動物病院では、消炎鎮痛薬やサプリメントなどの西洋医学に加え、鍼灸・漢方・温灸といった東洋医学を組み合わせ、副作用を抑えながら症状改善を目指す治療を行っています。

「歩き方がぎこちない」
「散歩を嫌がる」
などのサインに気づいたら、どうぞお早めにご相談ください。
私たちが、わんちゃんの健やかな毎日をサポートいたします。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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