うちの子に合う治療法を知りたい!犬のてんかんの薬と費用のこと

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

わんちゃんが「てんかん」と診断されると、多くの飼い主さまが驚き、不安を感じられます。

「発作が起きたときどうすればいいの?」
「治療にどれくらいお金がかかるの?」
「副作用が心配…」

そんなご不安を抱えてご来院される飼い主さまは少なくありません。

この記事では、わんちゃんのてんかん治療に使われる薬や費用、そして飼い主さまが知っておくべきポイントについて、愛玩動物看護師の視点からわかりやすく解説いたします。

また、当院では東洋医学(漢方・鍼灸)も取り入れた統合的なケアを行っております。
必要に応じて補助療法についてもご紹介します。

目次

そもそも「てんかん」ってなに?

てんかんとは、脳の神経の信号に一時的な乱れが起こることで、けいれんやふるえ、意識の混濁などの発作を繰り返す病気です。

わんちゃんでは、若齢期から中高齢まで幅広い年齢層で発症することがあり、定期的な治療と観察が重要です。

てんかん発作の種類

全身性発作

全身がけいれんするタイプです。

部分発作

顔や足だけのピクピクといった局所的な症状が見られるタイプです。

原因の分類

  • 特発性てんかん(遺伝的・原因不明):若齢~中年齢の発症が多い
  • 症候性てんかん(脳腫瘍・外傷・炎症など)
  • 中毒や代謝性疾患が引き金となる場合もあります

治療はどうするの?~基本は「抗てんかん薬」~

発作が頻繁に起こる場合は、「抗てんかん薬」による内科治療が基本となります。

完全に発作をなくすことは難しくても、「発作の頻度を減らす」「発作の重症度を軽くする」ことで、わんちゃんの生活の質(QOL)を守ることが治療の目標です。

おやつと一緒に抗てんかん薬を与えられている犬(てんかん治療中の投薬風景)

犬のてんかん治療薬とその種類

代表的な抗てんかん薬

動物医療でよく使用される薬には、以下のようなものがあります。

フェノバルビタール

もっとも古くから使われているお薬です。

即効性があり、コントロールしやすい反面、副作用(肝障害など)が出ることもあります。

ゾニサミド

日本で多く使用されているお薬で、副作用が比較的少ないと言われています。

臭化カリウム

他の薬でコントロールが難しい場合に併用されることがあります。

イメピトイン

比較的新しい薬で、てんかん発作に特化した作用を持ちます。

鼻から吸わせる新しい治療法「鼻腔噴霧薬」

てんかん発作時の補助療法として、ミダゾラムなどの抗てんかん薬を鼻腔に噴霧するタイプの薬剤も使われています。

この薬は、発作が起きたときに速やかに効果が出やすく、飼い主さまがご自宅で応急処置として使用できるのが大きな利点です。

自宅での“緊急用”としての役割

鼻腔噴霧薬は「発作が長く続いたとき」や「群発する恐れがあるとき」の緊急止め薬として活躍します。

常備薬として持っておくことで、いざというときの安心感にもつながります。

使用タイミングや保管方法についても、事前に説明を受けておくと良いでしょう。

緊急用として、「坐薬」を使用することもあります。

発作の際に、お顔周りをさわることが難しい子にも使うことができます。

薬ごとの特徴と副作用について

副作用には眠気、食欲増進、肝酵素の上昇などがあります。

定期的に血液検査を行いながら、安全に治療を続けていくことが大切です。

治療費の目安は?

てんかんは長期間のおつきあいになることが多いため、継続的な費用が気になる方も多くいらっしゃいます。
以下は一例ですが、目安として参考にしてください。

  • 初期検査(血液検査、画像検査など):1~3万円程度
  • 抗てんかん薬:月5,000~15,000円程度(体重・薬の種類による)
  • 定期検査(肝機能や抗てんかん薬の血中濃度測定など):3か月~6か月ごとに5,000~15,000円程度

※病院や薬の種類によって異なるため、目安としてご参考ください。

東洋医学からのアプローチも可能です

鍼治療を受けているわんちゃん(東洋医学によるてんかんの補助療法)

当院では、西洋医学による治療に加えて、必要に応じて東洋医学(漢方・鍼灸)を取り入れた統合的なアプローチを行っています。
特に、てんかんのように慢性的に発作が繰り返される疾患では、体質を整えることや、発作の引き金になりやすい要因への対応が重要です。
そのため、漢方薬の処方や定期的な鍼治療を組み合わせるケースもあります。

漢方薬では、気の巡りや身体のバランスを整え、発作を起こしにくい体質づくりを目指します。
鍼灸では、神経の興奮を抑えたり、自律神経のバランスを整えることで、発作を軽減する効果が期待されます。

「副作用が心配」「できれば薬の量を減らしたい」という方にとって、東洋医学は補助療法としての選択肢を広げることができます。

飼い主さんにできるサポートとは?

日常生活の中で、以下のようなことに気をつけてあげましょう。

  • 発作時の様子を動画に撮っておく(診断の参考になります)
  • お薬の飲み忘れを防ぐ(決まった時間に投薬)
  • 発作の頻度や様子を記録する
  • ストレスの少ない環境を整える
  • 音や光など、発作の引き金になりそうなものを避ける

まとめ|その子に合った治療法を一緒に考えましょう

てんかんは、一生付き合っていく可能性がある病気です。

だからこそ、「その子に合った治療法」を見つけ、安心して暮らせる日々をサポートしていくことが大切だと私たちは考えています。

「薬を飲ませるのが大変」
「治療の選択肢を知りたい」
「副作用が不安」
など、どんなお悩みでもお気軽にご相談ください。

池田動物病院では、西洋医学・東洋医学の両面から、わんちゃんにとって最適な治療法を一緒に考えてまいります。
気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

この記事の執筆・監修
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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