地域密着のホームドクターとして35年
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わんちゃんは生まれてから成犬になるまでの12か月間に、驚くほど身体が急激に成長します。
この急速に成長を遂げる子犬期は、筋肉や内臓、歯や骨、免疫機能など、将来の犬を支える様々な機能が成長を遂げるとても大事な時期になります。
子犬期の栄養管理は、その後の犬の健康に影響を与える可能性があるため、この記事を参考に適切な食事を選択しましょう。
主食にする食事にはドライフードでもウェットフードでも、「子犬(パピー)用総合栄養食」と記載されているものを選びます。
総合栄養食とは、そのフードとお水だけで健康を維持できる栄養バランスが整ったペットフードになります。
一方、「一般食」や「副食」と表記されているものは、総合栄養食に混ぜて与える“おかず”のようなフードです。
「子犬(パピー)用総合栄養食」は子犬の成長に必要な、ビタミン、ミネラル、タンパク質などのほか、免疫力を高める抗酸化物質や十分なエネルギーが入っています。
最近だと、消化に良いもの、皮膚に良いもの、犬種別でドライフードの粒の大きさが違うものなど、様々な製品が出ていますのでその子に合ったものを選びましょう。
子犬の学習能力の発達を助けると言われているDHA入りのフードもおすすめです。
まずは子犬用総合栄養食のパッケージに記載されている給与量を参考に与えてください。
ワクチンなどで来院した際は、月齢に対して体重や体格が適正かを獣医師に判断してもらいましょう。
以下に、子犬の1日に必要なフード量の計算方法を載せてみました。
【1日あたりに必要なフード量の計算方法】
犬の体重から安静時エネルギー要求量(RER)を求めます
↓
RERに活動係数をかけて1日当たりのエネルギー要求量(DER)を求めます
↓
DERをフードの100gあたりのエネルギー量で割り、100をかけます
RERとはRest Energy Requirementの略称であり、正常な動物が常温環境で安静にしているときの1日に必要なエネルギー要求量のことを指します。
つまり、「わんちゃんが安静にしているときに必要な1日あたりのエネルギー量」のことです。
RERの数値の出し方は
RER(kcal)= (体重)0.75 × 70
となります。
ちょっと難しそうに見えますが、電卓で次のように計算できます。
電卓を使ってRERを計算する場合
(体重)0.75は
体重×体重×体重の結果に √√とルートを2回押して出し、
最後に70をかけて算出します。
例)体重2kgのわんちゃんの場合
2 × 2 × 2 = 8
8に「√(ルート)」を2回押すと「約1.68」
1.68 × 70 ≒ 118kcal/day
この118kcalが、その子が静かに過ごす1日に必要なカロリー(RER)になります。
計算が苦手な方は、簡単にRERを求められる概算表があるので載せます。
Kg | RER(kcal/day) | Kg | RER(kcal/day) |
0.5 | 42 | 5.5 | 251 |
1.0 | 70 | 6.0 | 268 |
1.5 | 95 | 6.5 | 285 |
2.0 | 118 | 7.0 | 301 |
2.5 | 139 | 7.5 | 317 |
3.0 | 160 | 8.0 | 333 |
3.5 | 179 | 8.5 | 348 |
4.0 | 198 | 9.0 | 364 |
4.5 | 216 | 9.5 | 379 |
5.0 | 234 | 10 | 394 |
DERとはDaily Energy Requirementの略称であり、各成長段階や活動度に応じた平均的な1日あたりのエネルギー要求量のことを指します。
つまり、「日常生活を送るうえで実際に必要なカロリー量」です。
DERは
DER(kcal)= RER × 活動係数
の計算式で導かれます。
活動係数は
幼犬 | 活動係数 |
0~4か月齢 | 3.0 |
4~9か月齢 | 2.5 |
10~12か月齢 | 2.0 |
となり、これからDERを計算します。
例)2kg・3か月齢のわんちゃんの場合
RER=118
118 × 3.0 = 354kcal/day(DER)
354kcalが1日に必要なカロリー量となります。
ここまでで「その子に必要な1日のカロリー量(DER)」がわかりました。
あとは与えたいフードのエネルギー量(kcal/100g)を使って、必要なグラム数を計算します。
1日あたりに必要なフード量は、DERをフード1gあたりのエネルギー量で割ると求められます。
1日に必要なフードの量(g)= DER × 100 ÷ フードの100gあたりのカロリー
例)体重2㎏ 3か月齢 子犬用総合栄養食 383kcal(383kcal/100g)のフードを与えたい場合
354(DER)×100 ÷ 383 = 約92.42g
上記の式より、1日のフード量は、約92gと導かれます。
→1日に4回に分けるなら、1回あたり23gが目安となります。
計算がむずかしいときは…
「計算がちょっと苦手」「自信がない」という方は、無理にご自分でやらなくて大丈夫です。
池田動物病院では、わんちゃんの体格や生活習慣をもとに、ぴったりのごはん量やフード選びをお手伝いしています。
どうぞお気軽にご相談ください。
子犬の成長が著しい時期には、たくさんの栄養素やエネルギーを必要としますが、子犬の胃は小さく消化吸収も未発達のため、一回の食事量が多いと嘔吐や下痢をして成長を妨げてしまう可能性があります。
また、子犬は糖やエネルギーを体に貯めておく機能も不十分なため、食事回数が少なく空腹の時間が長くなると低血糖になり命に危険が及びます。
そのため、子犬の時期は食事1日量を3~5回に分けて与えましょう。
子犬の食事回数の目安
3か月齢まで | 3~5回(低血糖に要注意) |
5か月齢まで | 3~4回 |
6か月齢以降 | 2~3回 |
12か月齢以降 | 2回 |
※低血糖とは
血液中の糖分濃度(血糖値)が低下して起こる病気です。
脳は血液中の糖分をエネルギー源としているため、血糖値が著しく低下すると様々な症状を引き起こします。
「ふらつき・ぐったり・食欲の消失・全身性のけいれん発作・昏睡状態」
などこのような症状が現れたら危険な状態なので迷わず病院へ連絡してください。
お家に連れてきたばかりの子犬には、2~3日はペットショップやブリーダーのところで与えられていたものと同じ食事を与えましょう。
食事を切り替えていく場合は、少しずつ混ぜながら1週間程度かけて新しい食事の割合を増やしていきます。
こうすることで子犬の胃腸への負担を減らし、新しい風味や食感に慣れやすくなります。
3~4か月齢までは消化に良く、喉に詰まらせないようにふやかしたドライフードを与えます。
以降は少しずつ水分量を少なくしてふやかし具合を減らしていきます。
こちらも1週間~10日間かけて変更していきましょう。
食事の他に、必ずいつも新鮮な水を用意してあげてください。
飲みたいときにいつでも飲めるようにしてあげましょう。
食欲旺盛な子犬は食事をいくらでも欲しがるかもしれませんが、成長期だからといって欲しがるだけ与えたり、いつでも食べられるように食事を出しっぱなしにするのは、将来の肥満のリスクを高めるので止めましょう。
決められた適正量を規則正しく与えることが将来の健康につながります。
大型犬や超大型犬の子犬の成長期は11~15か月齢まで続きます。
この期間の急激な成長や体重増加が骨格の成長に悪影響をおよぼすことがあります。
「大きいから、大きくしたい」と食事の与えすぎや栄養の過剰には要注意です。
適正な量を与えてゆっくりと成長させましょう。
子犬の時期は食事の管理が大変かもしれませんが、将来の健康な身体づくりの時期なので食事を正しく管理して、健全な発育を促してあげましょう。
もし、犬の食事のことでお悩みのことや困ったことがあれば池田動物病院スタッフへ気軽にご相談ください。
この記事の執筆・監修
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:関根 愛玩動物看護師
関根(愛玩動物看護師)
10才のチョコタンチワワと暮らしてます。目指せ20才!
― 院長コメント -
成長期のわんちゃんは、成犬よりもたくさんの栄養を必要とします。特に月齢の小さいわんちゃんは、1か月の間に体重が1.5~2倍ほど成長することも珍しくありません。この急激な成長を支えるためにはしっかりとした栄養が欠かせません。
しかし、過剰な栄養は成長期以降の肥満にもつながるため、ただたくさんフードを与えるのではなく、適切な栄養量を給餌することが大切となります。
今回取り上げた栄養計算はあくまで目安であり、順調なからだ作りが行われているか判断するためには定期的に獣医師に体を触診してもらいましょう。栄養不良や栄養過多になっていないか体つきをチェックしてもらうと良いでしょう。
IKEDA ANIMAL HOSPITAL
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