【犬の逆くしゃみ】突然のフンフン音は病気?原因と見分け方・受診目安を解説

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「うちの子が、突然鼻を鳴らして苦しそうにしている…」
「グーグーと変な音がして止まらないけど、これって大丈夫?」
こうした突然の呼吸音に驚き、不安を感じた経験はありませんか?

その症状、実は「逆くしゃみ」と呼ばれるものかもしれません。

わんちゃんの逆くしゃみは、一見苦しそうに見えても命にかかわることはほとんどなく、多くは自然に治まる軽い症状です。
しかし、似たような症状を示す別の病気もあるため、飼い主さまが「見極める力」を持つことがとても大切です。

今回は、わんちゃんの逆くしゃみについて、原因・特徴・他の病気との見分け方・対処法・そして受診のタイミングまで詳しく解説します。
東洋医学を含む当院ならではのケア方法もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

犬の逆くしゃみとは?|突然の吸気音に驚かないで

わんちゃんの逆くしゃみ(逆くしゃみ症候群)は、わんちゃんが短時間に連続して「フンフン」「グーグー」と音を立てながら、息を吸い込むような発作的な呼吸をする症状です。

ヒトのくしゃみが「息を吐く」動作であるのに対して、逆くしゃみは「息を吸う動作が主体であることが大きな違いです。

この症状は一過性で、数秒~1分ほどで自然におさまることが多いです。
ほとんどの場合、わんちゃん本人も発作後は何事もなかったかのように元気にしています。

犬の逆くしゃみの見分け方|こんな様子なら逆くしゃみの可能性が高い

初めて逆くしゃみを見ると、「何かの病気では?」「喉に詰まったのでは?」と驚かれることがほとんどです。
以下のような特徴が見られたら、逆くしゃみの可能性があります。

よく見られる特徴

  • 首を前に突き出して、鼻を大きく鳴らす
  • 鼻の奥から「フンフン」「グーグー」と吸うような音がする
  • 呼吸が止まっているように見えるが、実際には吸気している
  • 数秒~1分以内で自然におさまり、その後は何事もなかったように元気
  • 食後、興奮後、散歩の後、寝起きに起こりやすい
逆くしゃみの発作が起きている犬と驚く飼い主(短時間で自然におさまる吸気発作)

犬の逆くしゃみの原因|なぜ起こる?どんな犬に多い?

逆くしゃみは、完全なメカニズムが解明されていないものの、以下のような要因が関与していると考えられています。

主な要因

  • ホコリや花粉、香料などの吸入刺激
  • 首輪による圧迫やリードでの引っ張り
  • 食事や水を飲んだ直後の刺激
  • 急激な気温・湿度変化
  • 興奮やストレス
  • アレルギー性鼻炎の併発

また、チワワ・パグ・シーズーなどの短頭種や、小型犬に多い傾向があります。
これらの犬種は、解剖学的に鼻腔や咽頭が狭く、刺激に反応しやすいためです。

他の病気との見分け方|ただの逆くしゃみと思っていたら…

逆くしゃみに似た症状を示す病気も少なくありません。
中には命にかかわるものもあるため、「様子見でよいのか」「動物病院を受診すべきか」を見極めることが重要です。

気を付けたい似た症状の病気

似ているが異なる病気の例

  • 気管虚脱
    ゼーゼーという持続的な音が出る。
    高齢の小型犬に多く、運動後に悪化。
  • 僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病
    夜間や安静時に咳をする。
  • 鼻腔内異物・腫瘍
    片側からの鼻水や出血、顔の腫れを伴う。

  • 咽頭炎・喉頭炎
    炎症によって呼吸時に異常音が発生。

犬の逆くしゃみで病院に行くべき症状とは?|受診が必要なケースを解説

以下のような状態が見られる場合は、逆くしゃみ以外の病気の可能性があります。
早めの受診をおすすめします。

  • 1回の発作が1分以上続く
  • 頻度が急激に増えている
  • 咳やくしゃみ、鼻水など他の呼吸器症状を伴う
  • 発作後にぐったりして元気がない
  • 食欲が落ちている、息が荒い

犬の逆くしゃみの診断方法|動画持参でスムーズに

逆くしゃみの症状で動物病院を受診し、検査を受ける犬と飼い主

池田動物病院では、以下の流れで診断を行っています。

問診

  • 逆くしゃみの発生頻度・発症時間帯・誘因となる状況をヒアリング

身体検査

  • 聴診による気道音の確認
  • 咽頭部および喉頭部の視診

補助検査(必要に応じて)

  • 胸部X線検査(気管虚脱や心拡大の有無確認)
  • 血液検査(炎症・感染症・アレルギーの確認)
  • 鼻腔内検査(内視鏡)

スマートフォンで発作時の動画を撮影して持参いただくと、より的確な診断に役立ちます。

犬の逆くしゃみの治療・対処法|基本は「慌てず様子を見る」

逆くしゃみはほとんどが自然におさまるため、基本的には経過観察(様子見)が第一選択です。

発作が起きたときの対処法

逆くしゃみが起きた犬を落ち着かせようとしている飼い主(安心感のある対応)
  • 首元をやさしくマッサージして落ち着かせる
  • 名前を呼びながらやさしく声かけをする
  • 落ち着ける静かな場所に移動させる
  • 鼻の穴を一瞬だけ軽くふさぎ、嚥下運動を促す(※短時間・慎重に。実施する際は獣医師にご相談ください。)

発作時に大きな音や無理な動作は避け、わんちゃんがリラックスできる環境を作ることが大切です。

頻度が多い・慢性的な場合の対応|生活環境の見直しと投薬治療

逆くしゃみが頻繁に起こる場合、根本的な要因へのアプローチが求められます。

環境整備のポイント

  • 空気清浄機や加湿器の導入
  • ホコリや花粉が多い季節の散歩時間の見直し
  • アロマや柔軟剤など香料の使用制限
  • 首輪ではなく、Y字型のハーネスの使用

医学的対応が必要なケース

  • 抗ヒスタミン薬や抗炎症薬の投与(アレルギー性鼻炎に準じた治療)
  • アレルゲン検査で原因を特定し除去

池田動物病院の東洋医学的ケア|逆くしゃみにも“体質改善”を

当院では、西洋医学とともに東洋医学を取り入れた統合治療を行っています。

漢方薬による体質改善

体質や症状に応じて、粘膜の過敏性を抑える処方を行います。
例えば、呼吸器の働きを補い、発作を抑える効果のある漢方薬を使用することがあります。

鍼灸療法によるアプローチ

肺・脾・肝経への施術により、自律神経のバランスを整え、興奮性の高いわんちゃんの発作頻度を減らすことが可能です。

東洋医学は副作用が少なく、長期的に体質を整えるのに適しています。

東洋医学の診療は、名取獣医師が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。
鍼治療に関しては、2回目以降もお電話か窓口でのご予約のみとなります。

まとめ|犬の逆くしゃみに慌てないために

わんちゃんの逆くしゃみは、多くのケースで命にかかわることのない軽い発作です。
しかし、心配のない症状であることを見極めるためには、飼い主さま自身が正しい知識を持つことが大切です。

頻度が多い・症状が長引く・元気がないといった異常が見られる場合は、迷わず動物病院へご相談ください。

池田動物病院では、豊富な診療経験に加え、東洋医学的アプローチも活用しながら、一頭一頭のわんちゃんに合わせた丁寧なケアを行っております。

愛犬の呼吸の様子に不安を感じたときは、どうぞお気軽にご相談ください。

この記事の執筆・監修
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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