犬・猫・うさぎ・フェレットの脱水症状|夏に注意!原因・見分け方・応急処置・予防法

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

暑い季節になると、わんちゃん、ねこちゃん、うさぎさん、フェレットさんも「脱水症状」になりやすくなります。
脱水は「軽度でも命にかかわることがある」ほど重大です。
体調を崩す前に、原因・見分け方・応急処置・予防法をしっかり押さえておきましょう。

目次

脱水症状とは?

脱水症状とは、体内の水分やナトリウム・カリウムなどの電解質バランスが崩れた状態です。
水分は尿や便、呼吸、汗(※動物では汗腺が少ない種もあります)から失われ、補給が追いつかないと脱水になります。

脱水が進むと、血流が悪くなり、腎臓や心臓などの働きが低下します。
最悪の場合、ショックや死に至ることもあるため、日常的なケアが欠かせません。

脱水症状の犬・猫・うさぎ・フェレットのイラスト。ぐったりとして目に力がなく、皮膚のたるみや口の乾きなど、脱水症状の典型的なサインが描かれている。

共通する主な原因

  • 高温多湿な環境
    夏場の室温・湿度の上昇

  • 水分摂取不足
    お水が空、飲水器具の不具合

  • 下痢・嘔吐
    脱水が急速に進行

  • 発熱・感染症・慢性疾患
    腎不全や糖尿病など

  • 激しい運動や興奮
    散歩や遊び後に要注意

動物別 注意ポイント

犬・猫

わんちゃんやねこちゃんは、比較的脱水には気づきやすく、自らお水を飲む行動をとりますが、高齢や病気がある場合は、飲水量が急に減ると脱水になりやすいです。

うさぎ

汗腺を持たず、お耳で体温を調整します。
暑い環境では急激な体温上昇と脱水が起こりやすく、症状の進行が早いのが特徴です。

フェレット

尿を濃縮できる体質で、少しのお水で生きられる分、脱水に気づきにくくなります。
暑い時期、下痢・嘔吐があるとあっという間に脱水状態になります。

脱水症状の見分け方

共通のサイン

  • 元気がない、ぐったりしている
  • 食欲がない
  • 目に力がない、目が落ちくぼんでいる
  • 粘膜(口腔内・歯茎)が乾いている
  • 尿の量が少ない、尿の色が濃い
  • 皮膚を軽くつまんで元に戻る速さを確認する「ツルゴールチェック」では、戻りが遅い場合に注意が必要です

ツルゴールチェックとは?

「ツルゴール」とは皮膚の張り具合のことで、脱水症状があると皮膚の弾力が失われて戻りが遅くなる特徴があります。

この特性を利用して、簡易的に脱水の有無を確認するのが「ツルゴールチェック」です。
動物病院でも初期評価としてよく用いられます。

犬・猫の場合
  1. 肩甲骨の後ろあたりの皮膚をやさしくつまみ上げます。
  2. 数秒間つまんだままにし、ゆっくり離します。
  3. 正常であれば、皮膚はすぐに元の状態に戻ります。
  4. 戻りがゆっくり(2秒以上)だったり、皮膚がたるんだまま戻らない場合は脱水の疑いがあります。
うさぎの場合
  • 首の後ろ(うなじ)の皮膚で同様に行います。
  • ただし皮膚が薄くデリケートなので、強くつままないように注意しましょう。
フェレットの場合
  • 同じく首の後ろ(うなじ)の皮膚が目安ですが、個体によって皮膚の戻りが早くても脱水しているケースもあります。
  • 他の症状(元気の有無、粘膜の乾燥、尿量)と併せて総合的に判断しましょう。
猫のツルゴールチェック(皮膚をつまんで戻りを確認)をしているイラスト

ツルゴールチェックはあくまで簡易的な判断方法であり、「戻りが早いから大丈夫」と自己判断せず、少しでも不安があれば動物病院の診察を受けることをおすすめします。

動物別チェックポイント

  • 犬・猫・うさぎ・フェレット共通
    意識がぼんやり、虚脱状態、けいれん、ふらつき

  • うさぎ
    呼吸が荒く、お耳をさわると熱くなっている

  • フェレット
    尿の色が濃く、便が緩い・下痢している

重症度の目安(体重に対する脱水率)

重症度脱水率の目安症状
軽度~5%食欲や元気が少し落ちる
中等度6~9%ぐったり、皮膚戻り遅い
重度10%以上ショック、意識障害あり、命にかかわる

しっかり把握しておきたいポイントです。

応急処置の方法

自宅でできる対応

  • 涼しい環境へ移動:エアコン・扇風機・日陰など温度25℃程度に
  • 新鮮なお水を常に各所に用意
  • ペット用電解質飲料(動物病院で販売)をこまめに与える
  • 食べやすいウェットフードやぬるま湯でふやかしたフード

絶対NG

  • 無理に水を飲ませる → 誤嚥やストレスの原因になることも
  • 放置 → 状態が急速に悪化するリスク大

病院受診の目安

  • 水を飲まなくなる
  • 嘔吐・下痢が止まらない
  • ぐったり状態、けいれんや呼吸困難
  • ツルゴール遅延

点滴や注射による補液が必要になるため、早めの受診が重要です。

予防法

こまめな水分補給

  • 複数の飲水ポイント
  • 流れる水を好む子向けの自動給水器
  • 夏季は水に氷少量を入れて冷たくする
  • ウェットフードやスープと合わせて水分補給

環境管理

  • 室内温度:25℃前後、湿度60%以下が目安
  • 日陰・風通しの良い場所を用意
  • 散歩は早朝や夜間など涼しい時間帯に実施

定期的な健康チェック

  • 毎日の食欲や排泄の確認
  • 月に一度の全身触診(特に皮膚のツルゴールチェック)

シニア・持病のある子は特に注意

体調の変化が命に直結する場合があるため、定期的な通院・こまめな観察と加湿器や冷房の活用を推奨します。

脱水症状と熱中症の関係

脱水は熱中症の初期段階としてしばしば見られます。
特に、汗をかきにくいうさぎさんやフェレットさんは、わんちゃん・ねこちゃん以上に高体温状態に陥りやすく、体温上昇が急激です。

水分が不足すると体が熱を逃せず、猛暑の中では熱中症やショック状態にすぐ移行します。
水分補給と冷却が重要な理由がここにあります。

まとめ

わんちゃん・ねこちゃん・うさぎさん・フェレットさんは、ヒトよりも暑さに弱く脱水による影響が非常に早く深刻化します。
以下をチェックして、安心で快適な夏をお過ごしください。

  • こまめな水分補給
  • 適温の環境(約25℃前後)
  • 毎日の観察(元気・食欲・排泄・皮膚チェック)
  • 異変時すぐに応急処置&動物病院へ

「ちょっといつもと違う」と感じたら、迷わず受診することが命を守るカギです。

エキゾチックアニマルの診療は、石井院長が担当いたします。
初診の方は、お電話でのご予約をお願いいたします。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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