地域密着のホームドクターとして35年
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川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。
『ウチの子、最近何だかいつもと様子が違うような気がするんだけど?』
そのように感じたことはありませんか?
そんな時、少し様子を見てみたり、もう歳だから仕方がないと考えたりしていませんか?
今回は
『何だか様子が違う』
『何だか元気がない』という
『未病』と言われる状態についてお話ししていきましょう。
中医学とは中国の伝統的な医学です。
分かりやすく言いかえると、漢方薬や鍼灸治療、薬膳などがこれにあたります。
ペットに漢方薬、ペットに鍼灸治療と聞くと、意外に思われると思います。
数千年以上の歴史をもつ中医学は、労働力や軍事のための牛や馬などの大動物の治療として発展してきました。
やがてそれは人間のための治療となり、現代では、人間と共に暮らすペットのための治療としても注目を集めています。
中医学では、「気」「血」「津液」を生命活動を維持するのに必要な基本の3要素としています。
これらが十分に満たされて、体内をスムーズに巡ることで体のバランスが保たれていると考えます。
「気」は簡単に言うと生命活動のエネルギー源のことです。
「血」は臓腑や組織の栄養となるもので、全身を巡って栄養を補給してくれます。
「津液」は体内に含まれる「血」以外の水分のことで、臓腑や組織を潤します。
これらの3つの要素が協調し合って生命活動を維持しています。
これらのバランスがとれてる状態が『健康』、バランスが崩れると体の不調が現れて『病気』へと発展します。
中医学における治療の基本は、崩れてしまった体のバランスを整えることです。
バランスを整え、自然治癒力を高め、健康な体へと導きます。
中医学の考えに、『未病』というものがあります。
西洋医学ではあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
『未病』とは、病気と健康の間のことをいいます。
つまり、病気ではないけれども、体に不調を感じたり、不調がなくても検査で異常が現れたりする状態です。
はっきりとした症状や病気がなく、「なんとなく…」が、未病の状態です。
「なんとなく元気がない」
「なんとなくいつもと様子が違う」
「なんと疲れやすい」
「なんとなく寝ていることが多い」
「なんとなく食欲が落ちている」
「なんとなく目の輝きが少ない」
未病では原因がはっきりと分からなかったり、病名がつけられないことがほとんどです。
西洋医学では、病気が発症して病名がつけられると、その病気や症状の原因を取り除く治療や手術を行います。
ですから、検査では異常がみつからなかったり、明確な症状のない『未病』に対しては、「とりあえず様子をみましょう」と、経過観察になることがほとんどです。
中医学の治療は、体のバランスを整えることですから、「なんとなく」の不調にも対応し、まだ病気と診断されない『未病』の段階から治療を行うことで、病気の発症を防ぐことが出来ます。
自然由来の生薬の組み合わせである漢方薬を使い、体のバランスを整えます。
体の負担が少ないため、安心して使えます。
鍼やお灸、レーザーを使い、ツボを刺激することで、「気」「血」「津液」の巡りを整えます。
ストレス軽減にもつながり、自然治癒力を高めてくれます。
栄養バランスのとれた食事や新鮮なお水は、健康な体を作ります。
人では体調不良などの自覚症状があるために『未病』の状態に気付くことが出来ます。
ペットたちは体の不調があってもそれを訴えることが出来ないこともあります。
そこで、飼い主さんが日頃から気を付けてあげることで、ペットたちの『未病』のサインを見逃さないようにしましょう。
体重測定をすることで、肥満チェックや体調不良に気付くことが出来ます。
体の小さなペットたちは、人間と比べて体重が軽いため、人間ならちょっと体重が増えたな、減ったなぐらいでも注意が必要です。
例えば、体重4kgの子が急に400g増えたり減ったりするのは、体重50kgの人に換算すると、5kgに当たります。
何もしていないのに体重が5kgも変化すれば、人間も体調不良を疑いますよね。
日頃から健康な時の体重を知っておくと、病気になった時の診断に役立つこともあります。
ペットのトイレを清潔に保ち、排泄物のチェックをすることも大切です。
汚れたトイレでは、トイレを我慢してしまうこともあります。
清潔で快適なトイレは、泌尿器の病気の予防にもつながります。
また、排泄の回数やだいたいの量をチェックしておくことで、変化が起きた時に早く気付くことが出来ます。
ワンちゃんでは、お散歩の時に排泄をすることが多いと思います。
毎日決まった時間にお散歩に行くことで、排泄のリズムを作ってあげましょう。
また、お散歩だけでなく室内でも排泄ができるようにしてあげることで、雨天時や災害時などお散歩に行かれないときも我慢せずに排泄することができます。
おしっこが変化する場合には、泌尿器の病気や腎臓の病気、糖尿病などの内分泌の病気がある事もあります。
長引く軟便や下痢の場合、腸の深刻な病気が隠れている事も考えられます。
毎日の食事の取り方にも目を向けてみましょう。
いつもの量を少し残すようになったり、硬いものを食べにくそうにしていたり、食べこぼしが多くなったりする場合には、口の中に違和感があるのかもしれません。
お腹が空いている様子があるのに、食事の前で考え込んでしまい、なかなか食べようとしないなどの変化も不調の現れかもしれません。
水をあまり飲まない子が、急にたくさんお水を飲むようになった場合も注意が必要です。
ペットたちの「なんとなく」の変化を見つけることが出来るのは、いつも一緒に暮らしている飼い主さんです。
食事や排泄以外にも、お散歩の時に歩くスピードが遅くなったり、階段の上り下りを躊躇するようになったりしていないか。
毛艶の変化や目の輝きなどにも注意をしてみましょう。
いつもと違うペットの行動や変化に気が付いたら、動物病院に相談してみましょう。
「なんとなんとなく」をきっかけに、血液検査やレントゲン検査、超音波検査を行う事で、症状がまだ現れていない体の異常を早期に発見できる事もあります。
また、検査では大きな異常が見つからない場合でも、中医学の観点から治療を開始したり、生活習慣を見直す事で、将来的な病気のリスクを軽減する事も出来ます。
中医学では、西洋医学では経過観察となる『未病』の治療をすることが出来ます。
『未病』とは、体が健康から病気へと変化する途中の段階の事をいいます。
中医学で体のバランスを整え、病気の発症を防ぐことで、ペットの健康を守ってあげましょう。
名取(獣医師)
生まれ変わっても猫と暮らしたい。
IKEDA ANIMAL HOSPITAL
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