猫の乳腺腫瘍の初期症状とは?見逃しやすいサインと気づき方

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅近くの池田動物病院です。

「おなかに小さなしこり?」
「でも元気そうだし…」
実はそれ、ねこちゃんの乳腺腫瘍の初期症状かもしれません。

乳腺腫瘍は進行が早く、気づかないうちに手遅れになることもあります。
この記事では、“見逃さないための初期サイン”や“毎日のチェック方法”をわかりやすく解説します。

目次

猫の乳腺腫瘍とは

ねこちゃんの乳腺腫瘍は、乳腺(乳房の組織)にできる腫瘍のことで、特に中~高齢の女の子のねこちゃんに多く見られます。
ねこちゃんの乳腺腫瘍のうち約85~90%が悪性であり、わんちゃんと比較しても、進行が速く、肺やリンパ節などへの転移リスクが非常に高い腫瘍です。

通常、ねこちゃんの乳腺は左右に4対(計8個)あり、腫瘍はそのどこかに小さなしこりとして触れることがあります。
初期のしこりは数ミリ~1cm程度ですが、放置すると短期間で大きくなることもあります。
発見・治療が遅れると、命にもかかわります。

乳腺腫瘍と避妊手術の関係

乳腺腫瘍の発症には、エストロゲンプロゲステロンといった性ホルモンが大きく関与しています。
避妊手術をしていない女の子のねこちゃんでは、これらのホルモンの影響を受け続けるため、乳腺腫瘍のリスクが大幅に高くなります。

避妊手術の実施時期によって乳腺腫瘍の発生率は大きく変わります。

避妊手術の時期発生率
生後6か月未満で避妊手術約9%
生後6~12か月で避妊手術約14%
生後12か月以降で避妊手術約89%

このように、早期の避妊手術が乳腺腫瘍の予防において非常に効果的であることがわかります。

猫の乳腺腫瘍の初期症状|こんなしこりは要注意!

ねこちゃんの乳腺腫瘍は、初期症状がとてもわかりにくく、ねこちゃん自身も痛みを訴えることはあまりありません。
ですが、以下のようなサインに気づくことができれば、早期発見・早期治療につながります。

見逃さないで!よくある初期サイン

  • 米粒~エンドウ豆くらいのしこり
    柔らかくても皮膚にぴったりくっついて動かない場合は注意が必要です。
    左右の乳腺で大きさが異なることもあります。

  • 乳腺周囲の赤みや熱感
    腫瘍の成長によって炎症が起きている可能性があります。
    さわったときに「熱い」と感じるようなら要注意です。

  • 乳頭からの分泌物や出血
    にごった液体や血がにじむような変化が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

  • 舐め続ける、さわられるのを嫌がる
    しこりのある場所を気にして舐めたり、なでようとすると嫌がる場合は違和感を感じている可能性があります。

猫の乳腺腫瘍相談が増加している理由

川崎市内では、過去3年間で乳腺腫瘍に関する相談が約1.5倍に増加しています。
その背景には、以下のような変化があります。

  • 高齢猫の増加
    飼育環境やフードの質の向上により、ねこちゃんの平均寿命は15歳以上に伸びています。
    高齢化に伴い、腫瘍性疾患の発症率も上昇しています。
  • 避妊手術の実施率の低下
    避妊手術のタイミングを逃したり、あえて手術を行わない方針を取る飼い主さまも増えており、それに比例して乳腺腫瘍のリスクも高まっています。

自宅でできる!乳腺腫瘍セルフチェックの方法

日常的に触診チェックを行うことで、早期に異変を発見することができます。

触診の手順

  1. 愛猫をリラックスした状態で仰向けや横向きに寝かせます。
  2. 前足の後ろから後ろ足のつけ根までの乳腺ラインをやさしく撫でましょう。
  3. 左右対称かどうか、しこり・硬さ・腫れを確認しましょう。

チェック内容を記録しましょう

  • しこりの有無と大きさ(◯mm程度)
  • 位置(右◯番目・左◯番目など)
  • ねこちゃんの反応(嫌がる・気にしないなど)

記録を続けることで、変化にすぐ気づけるようになります。
メモだけでなく、写真もおすすめです。

お腹を見せて寝ている猫(乳腺腫瘍のしこりに気づくきっかけ)

猫の乳腺腫瘍の診断と治療

治療と聞くと心配になるかもしれませんが、乳腺腫瘍は早期であればしっかり治療が可能です。
飼い主さまの不安に寄り添いながら丁寧に対応いたします。

池田動物病院では、腫瘍科に精通した獣医師が診断から治療・術後のケアまで一貫対応しています。

○診断

  • 触診・視診
    しこりのサイズや位置、炎症の有無を確認します。
  • 画像診断(レントゲン・エコー)
    腫瘍の内部構造や転移の有無をチェックします。
  • 細胞診・病理組織検査
    針で腫瘍の一部を採取して、顕微鏡で腫瘍細胞の性質(良性・悪性)を診断します。

○治療

  • 外科手術
    乳腺腫瘍の基本的な治療法です。
    可能な限り早期に腫瘍を切除することで、転移や再発を防ぐことができます。
  • 抗がん剤治療(化学療法)
    悪性腫瘍で転移のリスクが高い場合には、術後に抗がん剤治療を併用します。

術後の経過観察や再発チェックも含め、継続的なケアが大切です

診察を受けている猫(乳腺腫瘍の初期診断の様子)

\ 気になるしこりを見つけたら… /
迷わず、早めの受診をおすすめします。
早期発見・早期治療が、愛猫の命を守ります。

猫の乳腺腫瘍と初期症状 まとめ

当院では、腫瘍科に特化した診療体制を整えており、乳腺腫瘍の早期発見・的確な治療に注力しています。

「なんとなく変かも…」「しこりを感じた気がする」など、少しの違和感でも大丈夫です。
まずはお気軽にご相談ください。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師 
監修:石井院長 獣医師

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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