猫のリンパ腫を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。​

「最近、うちの猫がごはんを残すようになった」
「いつもより寝ている時間が長い気がする」
——そう感じたことはありませんか?

ねこちゃんを飼っている飼い主さまの中には、こうした小さな変化をきっかけに動物病院を受診し、「リンパ腫」と診断されたというケースも少なくありません。

猫のリンパ腫は、ねこちゃんに多いがんのひとつで、見た目では気づきにくい症状から始まるため、発見が遅れることもあります。

この記事では、猫のリンパ腫の種類・原因・症状・治療法について、解説いたします。
愛猫とより長く、健康に過ごすために知っておきたい情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

猫のリンパ腫とは

ねこちゃんのリンパ腫は、血液のがんの一種です。
身体の中にある「リンパ球」という免疫細胞ががん化(悪性化)し、無制限に増殖してしまう病気です。

リンパ球は、リンパ節(首やわきの下など)や脾臓、骨髄、消化器官などに存在しています。
そのため、リンパ腫は身体のさまざまな場所に影響を及ぼす病気で、全身性の病気といわれています。

ねこちゃんに発生する腫瘍の中でも非常に多く見られるもので、特に中高齢(6歳以上)のねこちゃんに多い傾向がありますが、若い子でも見られます。

猫のリンパ腫の種類と発生部位

ねこちゃんのリンパ腫は、発生する場所によっていくつかのタイプに分類されます。

  • 消化器型リンパ腫
    胃や腸などの消化器に腫瘍ができ、食欲低下や下痢、嘔吐が続きます。
    体重も減り、おなかをさわるとゴロゴロした塊があります。

  • 縦隔型リンパ腫
    胸の中に腫瘍ができ、呼吸が苦しそう(呼吸が浅い・咳)になります。
    元気もなくなります。

  • 多中心型リンパ腫
    身体の複数のリンパ節(首や足のつけ根)が腫れます。
    熱が出て元気がなくなることもあります。

  • 鼻腔内リンパ腫
    鼻血、くしゃみ、顔の変形などが起こります。

  • 中枢神経型リンパ腫
    まれに脳や脊髄に発生し、けいれんや歩行困難が見られます。

「消化器型リンパ腫」「縦隔型リンパ腫」の症例が多く報告されており、特に若年~中年のねこちゃんに見られることがあります。

猫のリンパ腫の原因

猫のリンパ腫の明確な原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

  • ウイルス感染
    猫白血病ウイルス(FeLV)猫免疫不全ウイルス(FIV)への感染がリスクを高めます。
    これらのウイルスに感染すると免疫機能が低下し、がん化しやすくなります。

  • 遺伝的要因
    特定の遺伝子が関与している可能性があります。

  • その他
    多頭飼育によるストレス
    喫煙者のいる家庭(受動喫煙)
    芳香剤や除菌剤など化学物質の影響
    偏った食生活や肥満

猫のリンパ腫の症状

リンパ腫は進行するまで症状が目立ちにくく、見逃されがちです。
腫瘍ができる場所によって異なりますが、以下のような一般的な兆候が見られます。​

  • 食欲不振
    ご飯を食べる量が減少します。​おやつにも興味を示さなくなります。

  • 体重減少
    ​急激な体重の減少が見られます。​

  • 元気消失
    ​活動量が減り、寝ている時間が増えます。​

  • 嘔吐や下痢
    ​消化器系に異常が現れることがあります。​

  • 呼吸困難
    胸部に腫瘍ができると、呼吸が苦しくなることがあります。​

  • リンパ節の腫れ
    首やおなかのしこりが触れるようになる。

  • 鼻血・くしゃみ
    鼻腔内に腫瘍ができると、鼻血が出たり頻繁にくしゃみをしたりします。

これらの症状が1週間以上続いた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
特に、都市部に暮らすねこちゃんは、環境ストレスが原因で免疫力が低下しやすく、病気にかかりやすい傾向があります。

猫のリンパ腫の検査方法

リンパ腫の診断には、いくつかの検査を組み合わせて行う必要があります。

  • 身体検査
    ​触診や視診で異常を確認します。​

  • 血液検査
    ​全身の健康状態やウイルス感染(FeLV・FIV検査含む)の有無を調べます。​

  • 画像診断
    レントゲンや超音波検査で腫瘍の位置や大きさを確認します。​

  • 細胞診
    ​腫瘍から細胞を採取し、顕微鏡で観察します。​

  • 病理検査組織生検)
    ​必要に応じて、組織の一部を採取し、詳しく分析します。​

猫のリンパ腫の治療

リンパ腫の治療は、主に以下の方法が用いられます。​

  • 抗がん剤(化学療法)
    ​腫瘍の進行を抑えるために行われます。​

  • 放射線療法
    特定の部位に対して放射線を照射します。​

  • 外科手術
    ​腫瘍が限局している場合、摘出手術が検討されます。​

治療法の選択は、ねこちゃんの状態や腫瘍の進行度、飼い主さまの希望などを考慮して決定されます。​

抗がん剤(化学療法)

ねこちゃんのリンパ腫の治療は、抗がん剤(化学療法)を中心に行われます。
手術が適さないケースが多いため、内科的アプローチが基本です。

抗がん剤治療のメリット

  • 高い延命効果(半年~2年の生存例あり)
  • 痛みを和らげ、生活の質(QOL)を保てる
  • 投薬だけで治療が可能な場合も

抗がん剤治療のデメリット

  • 通院が必要(週1回~月1回)
  • 食欲不振や嘔吐などの副作用の可能性
  • 完治は難しく、再発の可能性もある

当院では、副作用の少ないプロトコルを用い、ねこちゃんの負担を軽減した治療を提供しています。
高齢のねこちゃんにも対応可能です。

漢方薬など東洋医学を組み合わせることで、QOLの維持・向上をサポートします。

猫のリンパ腫の余命と予後

ねこちゃんのリンパ腫はステージや発生部位、治療開始時期によって余命が大きく異なります。

タイプ治療なし治療あり
消化器型約1~2か月6か月~2年
縦隔型数週間~1か月6か月~1年
鼻腔内型数か月1年以上生存例あり

治療を行うことで、愛猫との時間を大幅に延ばすことが可能です。

猫のリンパ腫の予防法

リンパ腫の発症を完全に防ぐことはできませんが、以下の習慣を意識することでリスクを下げることができます。

  • ウイルス感染の予防
    FeLVやFIVの感染を防ぐため、ワクチン接種室内飼育を徹底しましょう。​

  • 定期的な健康診断
    早期発見のために、年に1〜2回の健康診断(血液検査・画像診断)を受けることをおすすめします。​

  • ストレスの軽減
    ​ねこちゃんが安心して過ごせる環境(静かな場所の確保など)を整えることで、免疫力の低下を防ぎます。​

  • バランスの取れた食事
    良質なキャットフードと水分補給

当院では、ねこちゃんのライフステージや性格に応じた健康管理プランをご提案しています。

猫のリンパ腫のまとめ

ねこちゃんのリンパ腫は、早期発見・早期治療によって余命を延ばし、QOL(生活の質)を高く保つことが可能です。
愛猫の健康を守るためには、日頃の観察と早めの対応が鍵となります。

「うちの猫、もしかしてリンパ腫かも?」と感じたら、小さなことでもかまいません。
どうぞお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次