【犬のパルボウイルス感染症】子犬の嘔吐・下痢・血便に注意|症状・治療・ワクチンによる予防を解説|池田動物病院・武蔵小杉・川崎市

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

「子犬が急に下痢をして、元気もなくなってきた」
「何度も吐いていて、ごはんを食べない」
「まだワクチンが全部終わっていないけれど、大丈夫?」

子犬さんにこのような症状がみられると、飼い主さまも心配になると思います。

子犬さんの嘔吐や下痢には、お食事の変化や寄生虫、誤食などさまざまな原因がありますが、その中でも注意したい病気のひとつが犬パルボウイルス感染症です。

犬パルボウイルス感染症は感染力が強く、特にワクチン接種が十分でない子犬さんでは、激しい嘔吐や下痢、脱水などを起こし、重症化すると命にかかわることもあります。

一方で、犬パルボウイルス感染症は、ワクチンによって予防できる代表的な感染症のひとつでもあります。

今回は、犬パルボウイルス感染症について、症状や感染経路、診断・治療、受診の目安、ワクチンによる予防まで、飼い主さまにわかりやすく解説いたします。

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目次

犬パルボウイルス感染症とは?

元気がなく横になる子犬のイラスト|犬パルボウイルス感染症をイメージ

犬パルボウイルス感染症は、犬パルボウイルス(Canine Parvovirus:CPV)によって起こる感染症です。

特に子犬さんや、ワクチンを接種していない、または必要なワクチン接種がまだ完了していないわんちゃんで注意が必要です。

犬パルボウイルスは、腸管や骨髄、リンパ組織など、細胞分裂が活発な場所に影響を与えます。

腸管が障害されることで、嘔吐や下痢などの強い消化器症状がみられます。
また、骨髄やリンパ組織が影響を受けることで白血球が減少し、細菌感染などの合併症を起こしやすくなることがあります。

犬パルボウイルスはどのように感染する?

犬パルボウイルスは、主に感染したわんちゃんの便に含まれるウイルスから感染します。

感染した便を直接口にするだけでなく、

  • ウイルスに汚染された床や地面
  • ケージ
  • 食器
  • おもちゃ
  • ヒトの手
  • 靴や衣服

などを介して、間接的に感染することもあります。

そのため、「ほかのわんちゃんと直接ふれ合っていないから大丈夫」とは限りません。

また、犬パルボウイルスは環境中でも比較的強いウイルスです。

感染したわんちゃんがいる場合には、ほかのわんちゃんとの接触を避けるだけでなく、生活環境の清掃や適切な消毒も重要になります。

犬パルボウイルス感染症の症状

犬パルボウイルス感染症では、次のような症状がみられることがあります。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 血便(水様性粘血便:いちごジャム状)
  • 脱水
  • おなかを痛がる
  • ぐったりする

初めは「なんとなく元気がない」「ごはんを食べない」といった症状から始まり、その後、嘔吐や下痢がみられることがあります。

犬パルボウイルス感染症というと「血便」のイメージが強いかもしれません。

しかし、すべてのわんちゃんに血便がみられるわけではありません。

血液を伴わない下痢をすることもあるため、「血便ではないからパルボではない」と判断することはできません。

重症になると、強い脱水や低血糖、電解質異常、細菌感染などを起こし、ショック状態に陥ることもあります。

特に身体の小さな子犬さんでは、短時間で状態が悪化することがあるため注意が必要です。

こんな症状があったら早めに動物病院へ

子犬さんの嘔吐や下痢には、犬パルボウイルス感染症以外にも、

  • 食事の変化
  • 消化不良
  • 寄生虫
  • 細菌やほかのウイルスによる感染症
  • 誤食
  • 消化管内異物

など、さまざまな原因があります。

そのため、嘔吐や下痢があるからといって、必ずしも犬パルボウイルス感染症というわけではありません。

特に、ワクチン接種が完了していない子犬さんで、嘔吐をくり返す、下痢や血便がある、元気や食欲がない、ぐったりしているといった症状がみられる場合には、様子を見ず、速やかに動物病院へ相談しましょう。

犬パルボウイルス感染症は感染力が強いため、感染が疑われる場合には、来院する前に動物病院へ電話で相談することをおすすめします。

ほかのわんちゃんへの感染を防ぐため、待合室ではなく別の場所で待つなどの対応が必要になることがあります。

犬パルボウイルス感染症の診断

診断では、症状だけでなく、

などを組み合わせて判断します。

犬パルボウイルス感染症が疑われる場合には、便を使ってウイルスの抗原を調べる検査を行うことがあります。

ただし、感染していても検査を行う時期などによっては陰性になることがあります。
また、最近ワクチンを接種した場合には、検査結果に影響する可能性もあります。
必要に応じてPCR検査などを検討することもあります。

血液検査では、白血球の減少や脱水、低血糖、電解質異常などが確認されることがあります。

検査結果だけではなく、症状やワクチン歴などを含めて総合的に判断することが大切です。

犬パルボウイルス感染症の治療

犬パルボウイルス感染症では、症状や全身状態に応じた治療を行います。

主な治療には、

  • 点滴による脱水の改善
  • 吐き気や嘔吐を抑える治療
  • 電解質や血糖値の補正
  • 栄養管理
  • 二次的な細菌感染への対応

などがあります。

犬パルボウイルスによって腸の粘膜が大きく障害されると、本来腸管内にいる細菌が体内へ侵入し、重い細菌感染につながることがあります。

そのため、単に下痢や嘔吐を抑えるだけではなく、脱水や低血糖、電解質異常などを改善しながら、全身状態を維持することがとても重要です。

症状が強い場合には、入院して点滴などの集中治療が必要になることもあります。

犬パルボウイルス感染症は重症化することのある病気ですが、適切な治療を早く始めることが大切です。

犬パルボウイルス感染症はワクチンで予防できる?

犬パルボウイルス感染症は、ワクチンによって予防することがとても重要な感染症です。

犬パルボウイルスは、犬ジステンパーウイルスや犬アデノウイルスなどとともに、犬のコアワクチンの対象となっています。

コアワクチンとは、生活環境などにかかわらず、基本的にすべてのわんちゃんへの接種が推奨される重要なワクチンです。

当院の犬のワクチンについては、こちらでも詳しくご紹介しています。

子犬はなぜワクチンを何回も接種するの?

「子犬のころは、どうして何回もワクチンを打つの?」と疑問に思われる飼い主さまもいらっしゃると思います。

その理由のひとつが、母体由来抗体(移行抗体)です。

子犬さんは、生まれて間もない時期にはお母さんから受け継いだ抗体によって感染症から守られています。

しかし、この抗体は成長とともに少しずつ減っていきます。

一方で、母体由来抗体がまだある程度残っている時期には、ワクチンを接種しても十分な免疫がつかないことがあります。

そして母体由来抗体が減ってくると、今度は感染症に対する防御力も弱くなります。

つまり子犬さんには、お母さんからもらった抗体は減ってきているけれど、ワクチンによる免疫がまだ十分についていない時期が生じる可能性があります。

この期間をできるだけ短くし、しっかり免疫をつけるために、子犬さんでは一定の間隔をあけてワクチンを複数回接種します。

WSAVA(世界小動物獣医師会)の2024年ワクチネーションガイドラインでも、母体由来抗体によるワクチンへの影響を考慮した子犬期の複数回接種が推奨されています。

ワクチンを接種する時期や回数については、子犬さんの年齢やこれまでの接種歴、生活環境などによっても異なります。

その子に合ったワクチンスケジュールについて、動物病院で相談しましょう。

ワクチンが終わるまでは外に出してはいけない?

子犬さんを迎えた飼い主さまからよくいただく質問のひとつです。

感染症を予防することはもちろん大切ですが、子犬さんの時期は社会化にとっても大切な時期です。

そのため、「すべてのワクチンが終わるまで、一切外に出してはいけない」と単純に考えるのではなく、感染症のリスクと社会化の両方を考えることが大切です。

ワクチン接種が完了する前は、不特定多数のわんちゃんが利用する場所や、わんちゃんの排泄物が多い場所などを避けるといった工夫をしましょう。

ワクチンの接種状況によっても感染リスクは異なりますので、「いつからお散歩していい?」「ほかの犬と会わせてもいい?」など迷うことがあれば、動物病院へご相談ください。

犬パルボウイルス感染症を予防するために

犬パルボウイルス感染症の予防では、適切な時期にワクチンを接種することが基本です。

特に子犬さんでは、まだ十分な免疫がついていない時期があるため、ワクチン接種が完了するまでは感染リスクの高い環境に注意しましょう。

また、感染が疑われるわんちゃんがいる場合には、

  • ほかの犬との接触を避ける
  • 便や吐物を適切に処理する
  • 汚染された場所や物品を清掃する
  • パルボウイルスに有効な方法で消毒する

といった感染対策も重要です。

犬パルボウイルスは環境中で比較的抵抗性が強く、一般的な消毒剤のすべてが有効というわけではありません。
感染が確認された場合には、動物病院に消毒方法について相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 犬パルボウイルスはヒトにうつりますか?

A. 犬パルボウイルスがヒトに感染し、わんちゃんと同じパルボウイルス感染症を起こすものではありません。
ただし、ヒトの手や靴、衣服などにウイルスが付着して、別のわんちゃんへ運んでしまう可能性があります。
感染したわんちゃんにふれた場合や、便・吐物などを処理した場合には、適切な衛生管理を行いましょう。

Q. 血便がなければパルボウイルス感染症ではありませんか?

A. いいえ。
犬パルボウイルス感染症では血便がみられることがありますが、必ず血便になるわけではありません。
特にワクチン接種が完了していない子犬さんで、嘔吐や下痢、元気・食欲の低下などがみられる場合には、血便がなくても注意が必要です。

Q. ワクチンを1回接種していれば安心ですか?

A. 子犬さんでは、お母さんから受け継いだ母体由来抗体の影響によって、ワクチンを接種しても十分な免疫がつかないことがあります。
そのため、子犬さんでは適切な時期に複数回ワクチンを接種することが大切です。
「1回打ったから大丈夫」と考えるのではなく、獣医師と相談しながらその子に合った接種スケジュールを組みましょう。

Q. 成犬でも犬パルボウイルス感染症になりますか?

A. 子犬さんで特に注意が必要な感染症ですが、成犬でも感染する可能性はあります。
特にワクチンを接種していない場合や、接種歴がわからない場合には注意が必要です。
成犬を新しく迎えた場合など、これまでのワクチン歴がわからないときは動物病院へご相談ください。

まとめ

犬パルボウイルス感染症は、特に子犬さんやワクチン接種が十分でないわんちゃんで注意したい感染症です。

感染すると、元気・食欲の低下、嘔吐、下痢、血便などがみられ、重症化すると強い脱水や細菌感染などによって命にかかわることもあります。

一方で、犬パルボウイルス感染症は、適切なワクチン接種によって予防することが重要な病気です。

特に子犬さんでは母体由来抗体の影響があるため、1回だけではなく、適切な時期に複数回ワクチンを接種することが大切です。

「ワクチンは何回必要?」
「いつからお散歩に行っていい?」
「以前のワクチン歴がわからない」

など、子犬さんのワクチン接種や感染症予防について気になることがありましたら、川崎市中原区・武蔵小杉の池田動物病院までお気軽にご相談ください。

犬のパルボウイルス感染症のご相談なら池田動物病院へ|池田動物病院電話番号|044-433-2274

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:松本 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護師

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

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