犬のリンパ腫を徹底解説!症状、原因、治療法、予防法をチェック

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。

わんちゃんも高齢になると、がん(悪性腫瘍)にかかるリスクが高くなります。
その中でも比較的よく見られるのが「リンパ腫」という血液のがんです。

「最近、首のあたりが腫れているような気がする」
「なんとなく元気がない…」

そんなサインが、実はリンパ腫の初期症状だったというケースも少なくありません。

この記事では、わんちゃんのリンパ腫について、わかりやすく丁寧に解説いたします。

目次

犬のリンパ腫とは

リンパ腫とは

わんちゃんのリンパ腫は、血液のがんの一種です。
身体の中にある「リンパ球」という免疫細胞ががん化(悪性化)し、無制限に増殖してしまう病気です。

リンパ球は、リンパ節(首やわきの下など)や脾臓、骨髄、消化器官などに存在しています。
そのため、リンパ腫は身体のさまざまな場所に影響を及ぼす病気で、全身性の病気といわれています。

犬のリンパ腫の分類

わんちゃんのリンパ腫には、以下の5つの分類があります。

  1. 多中心型リンパ腫
    身体の複数のリンパ節(特に首、わきの下、ひざ裏など)が腫れます。

  2. 消化器型リンパ腫
    胃や腸に腫瘍ができ、嘔吐・下痢・体重減少が目立ちます。

  3. 縦隔型リンパ腫
    胸の中に腫瘍ができ、呼吸が苦しそうになります。

  4. 皮膚型リンパ腫
    皮膚にしこりや赤み、かさぶたができるタイプです。

  5. 節外型リンパ腫
    中枢神経、眼、腎臓などに発症する珍しいタイプです。

特に多いのは「多中心型リンパ腫」と呼ばれるタイプです。

犬のリンパ腫の症状

リンパ腫の症状は、どの部位に発症するかで少し異なりますが、代表的な症状は以下の通りです。

リンパ節の腫れ

  • あごの下
  • 首の横
  • わきの下
  • 後ろ足のつけ根

これらの部位に「しこり」や「ふくらみ」を感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

全身症状

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 微熱がある
  • 体重が減ってきた
  • 嘔吐、下痢(特に消化器型リンパ腫の場合)

しこりは痛みを伴わないことが多いため、わんちゃん自身は気にしていないこともあります。
そのため、飼い主さまの触診が発見のきっかけになるケースが多いです。

犬のリンパ腫の原因

わんちゃんのリンパ腫のはっきりした原因は、まだ完全にはわかっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。

  • 遺伝的要因(ゴールデン・レトリーバー、ボクサー、ラブラドール・レトリーバー、ビーグルなどがなりやすい)
  • ウイルス感染(犬白血病ウイルスなど)
  • 免疫異常
  • 化学物質や環境要因(農薬、除草剤、タバコの煙など)
  • 慢性的な炎症

また、7歳以上の中高齢犬に多く見られる傾向があり、年齢が進むにつれて発症リスクは上がります

ただし、どの犬種・年齢でも発症する可能性はあります
早期に気づいて、最善の対応をすることが大切です。

犬のリンパ腫の診断方法

リンパ腫の診断では、以下のような検査を行います。

  • 触診・視診
    飼い主さまからの情報とともに、獣医師がリンパ節の腫れや異常をチェックします。

  • 細胞診(FNA)
    細い注射針で腫れたリンパ節から細胞を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。
    ※もっとも簡便で負担の少ない検査です。

  • 血液検査
    貧血、白血球の異常、内臓の数値をチェックします。

  • レントゲン・超音波検査
    腫瘍の広がりや内臓への影響を確認します。

  • 病理組織検査・免疫染色
    リンパ腫の型(B細胞型・T細胞型)や悪性度を詳細に判定します。

当院では、細胞診・超音波検査は初診時に検査可能です。
より詳細な検査が必要な場合は、外部の専門検査機関とも連携して診断精度を高めています。

リンパ腫の治療方法

わんちゃんのリンパ腫の治療は、基本的に抗がん剤による化学療法(CHOP療法など)が中心です。

化学療法(抗がん剤療法)

多くのリンパ腫に対して有効なのが化学療法です。
わかりやすく言うと、抗がん剤治療です。
複数の抗がん剤を組み合わせて治療するのが一般的(CHOP療法など)です。

治療によって期待できること

  • 70〜90%のわんちゃんで症状の改善(寛解)が得られます
  • 寛解期間は6〜12か月が平均ですが、2年以上元気に過ごすわんちゃんもいます
  • 生活の質(QOL)を維持できるケースが多いです

寛解とは、がんが見えなくなって症状が改善した状態で、治癒とは異なります。

副作用はある?

  • 嘔吐や下痢(軽度であることが多い)
  • 食欲不振(一時的であることが多い)
  • 白血球の減少(定期検査で管理可能)

抗がん剤と聞くと「つらい治療」をイメージされるかもしれませんが、わんちゃんの抗がん剤治療は、ヒトより副作用が少ないことが多いです。

当院では、副作用が出にくいように投薬量を調整し、治療中も定期的に検査しながら丁寧にサポートしています。

治療中の副作用の軽減やQOL向上のために、東洋医学なども行っています。

犬のリンパ腫の予防法と早期発見のポイント

残念ながら、わんちゃんのリンパ腫を完全に予防する方法はまだ確立されていません。
しかし、早期発見と健康管理によって、病気の進行を防ぐことは可能です。

  • 年に1〜2回の健康診断を受ける
  • 毎日のスキンシップでしこりをチェック
  • 食生活を見直し、免疫力を保つ
  • ストレスの少ない生活環境を整える

当院では、「がんの早期発見」を目的とした健診プランもご用意しています。
お気軽にご相談ください。

犬のリンパ腫のまとめ

わんちゃんのリンパ腫は、早期発見と適切な治療で改善が期待できる病気です。
早期発見には、飼い主さんの「いつもと違うかも?」という気づきがとても大切です。

投稿者プロフィール

院長 石井 隼

あなたは犬派?猫派?どっち派?

わたしは…どっちも好き!とどちらか選べない院長です。

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