急にぐったり、命にかかわることも…猫の急性腎臓病とは【川崎市の動物病院】

川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。​

ねこちゃんの健康を守るうえで、特に注意が必要な疾患のひとつが「急性腎臓病」です。
突然の嘔吐や食欲不振、水を飲まないなど、急激に進行することがあり、命にかかわるケースもあります。

「いつもとちょっと違うかも?」と感じたときに、すぐ対処できるよう、正しい知識を持っておくことが大切です。

この記事では、ねこちゃんの急性腎臓病について、原因・初期症状・検査・治療・予防法まで、わかりやすく解説します。

目次

猫の急性腎臓病とは?突然進行し命にかかわる危険な病気

猫の急性腎臓病の特徴と注意点

ねこちゃんの急性腎臓病とは、数日以内の短期間で腎臓の機能が急激に低下する状態を指します。
健康だったねこちゃんが、突然ぐったりして元気をなくしたり食欲を失ったりするのが特徴です。
進行が非常に早いため、数日で命にかかわることもあり、早期の気づきと治療が必要不可欠です。

慢性腎臓病との違いとは?

慢性腎臓病は時間をかけて進行しますが、急性腎臓病は数日という短期間で急激に症状が悪化します
その分、異変に気づきやすい傾向にあります。
早期発見と対応によって回復できる可能性がある点が大きな違いです。

猫の急性腎臓病の主な原因

ユリや薬品など腎毒性物質の誤食に注意

ユリ科の植物(ユリ、チューリップなど)や、ヒト用の鎮痛薬(イブプロフェンやアセトアミノフェン)の誤食は、ねこちゃんの腎臓に強いダメージを与えます。
観葉植物や薬品が家の中にある場合は、ねこちゃんの手の届かない場所に保管しましょう。

感染症・脱水・外傷などによる急性発症

代表的なものとして、猫伝染性腹膜炎(FIP)などのウイルス感染症、脱水状態、交通事故による外傷などが挙げられます。
これらは腎臓の血流を急激に低下させ、急性腎障害の原因になることがあります。
特に、急に食欲がなくなったり、隠れてじっとしているような変化が見られる場合は、早めの受診をおすすめします。

猫の急性腎臓病で見られる初期症状

吐いた直後のようにぐったりしている猫(目が半開き・そばに少しの吐しゃ物)
水分摂取をせず、お水のボウルの前でじっとしている猫

飼い主さまが気づける体調の異変とは?

以下のような急激な体調変化は、急性腎臓病の初期サインかもしれません。

  • 急な嘔吐や食欲不振
  • ぐったりして動かない
  • 水をまったく飲まなくなる
  • 尿の量が極端に減る、または出なくなる
  • アンモニア臭のような強い口臭や口内の異常

これらの症状が見られた場合は、早急に動物病院を受診しましょう。

猫の急性腎臓病の検査と診断方法

血液検査やSDMAによる腎機能のチェック

血液検査では、BUN(尿素窒素)CRE(クレアチニン)SDMA(早期腎不全マーカー)といった腎機能マーカーを調べます。
急性腎臓病では、これらの数値が短期間で急上昇することが特徴です。

尿検査・エコー・血圧測定の役割

尿検査では尿の濃度や量を確認します。
エコー(超音波検査)では腎臓の腫れや血流状態をチェックし、必要に応じてレントゲンや血圧測定も併用して、総合的に評価します。

猫の急性腎臓病の治療方法と対応の流れ

水分補給と電解質バランスの調整

急性腎臓病では、腎臓の働きが低下することで体内の水分と電解質のバランスが崩れます。
これを整えるために、点滴治療が行われます。
脱水がある場合は、静脈点滴によって迅速に調整します。

薬剤投与や誤食時の処置

具体的な治療内容は以下の通りです。

  • 静脈点滴による水分と電解質の調整
  • 利尿剤・制吐剤の投与
  • 感染症や高血圧に対する抗菌薬・降圧剤の使用
  • 誤食が原因の場合には、胃洗浄や活性炭の投与

急性腎臓病の治療は入院管理が必要になることが多く、初期の対応の速さが予後を大きく左右します。

猫の急性腎臓病の回復とその後の注意点

早期発見で回復が見込めるケースも

原因の特定と早期治療が成功すれば、ねこちゃんの腎機能は回復することがあります。
数日から1週間程度の入院治療を経て、状態が安定するケースも珍しくありません。

慢性腎臓病への移行を防ぐために

急性期が終わっても、腎臓にダメージが残ると慢性腎臓病に移行することがあります。
治療後も定期的な血液・尿検査を続けることで、腎臓の状態をモニタリングすることが重要です。

猫の急性腎臓病を予防する生活習慣

誤食防止と脱水対策の工夫

  • ユリ科植物や薬をねこちゃんの手の届かない場所に保管
  • 食べ残しや異物はその都度片付ける
  • 複数の水飲み場を設けて、常に新鮮なお水を提供

健診と日々の観察習慣が重要

年に1~2回の健康診断に加え、ねこちゃんの日常の様子を観察することが重要です。
「なんとなく元気がない」「トイレの回数が減った」など、小さなサインも見逃さないようにしましょう。

猫の異変に気づき、優しく見守る飼い主(しゃがんで猫をのぞく姿勢)

まとめ|猫の急性腎臓病は“早期対応”が命を救うカギ

ねこちゃんの急性腎臓病は突然発症し、急速に悪化する病気です。
だからこそ、飼い主さまが小さな変化に気づき、すぐに行動することが命を救う第一歩になります。

川崎市近隣にお住まいの飼い主さまへ。
ねこちゃんに急な嘔吐や元気消失、お水を飲まない・尿が出ないなどの症状が見られた際は、迷わず池田動物病院にご相談ください。
腫瘍科などの専門性を活かし、急性腎臓病の早期診断と迅速な治療に取り組んでいます。

この記事の執筆・監修 
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:名取 獣医師

投稿者プロフィール

菊地(さ)愛玩動物看護士

ペンギンが好きです。ジェンツーペンギンも好きですが、アデリーペンギンが一番のお気に入りです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次