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川崎市中原区の飼い主のみなさま、こんにちは。
武蔵小杉駅からすぐの池田動物病院です。
今回は、特に避妊手術をしていない女の子のわんちゃんに多くみられる『子宮蓄膿症』という病気について、詳しくご紹介いたします。
この病気は、放置すると命にかかわるほど危険ですが、早期に発見し適切に対処すれば助けることができる病気でもあります。
「少し元気がないな」
「水をよく飲むようになったな」
など、ささいな変化が大きな病気のサインであることもあります。
本記事では、子宮蓄膿症の症状、原因、検査法、治療内容、費用、そして予防方法までをわかりやすく解説いたします。
子宮蓄膿症とは、文字通り子宮の中に膿がたまる病気で、感染性の子宮疾患です。
多くの場合、避妊手術をしていない中高齢の女の子のわんちゃんに発症し、特に発情後のホルモン変化がきっかけになります。
膿がたまることによって子宮が大きく膨れ、そこに細菌が繁殖することで全身に影響を及ぼす可能性があります。
この病気は「開放性」と「閉鎖性」の2タイプに分かれます。
開放性では膿が陰部から排出されるため、比較的早期に気づかれることが多いですが、
閉鎖性では膿が体内に留まり外からは見えないため、症状が進行してから発見されるケースが多く、命にかかわることも少なくありません。
初期の段階では目立った症状が出ないこともあります。
しかし、病状が進むにつれて次第に以下のような症状が見られるようになります。
こうした症状は、子宮蓄膿症だけでなく他の病気でも見られることがあるため、正確な診断のためには動物病院での検査が必要です。
特に高齢のわんちゃんや避妊手術をしていないわんちゃんでは、この病気を早めに疑うことが大切です。
子宮蓄膿症の最大の原因は、ホルモンバランスの変化にあります。
特に発情期が終わった後の『黄体期』に分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が深く関係しています。
このホルモンは妊娠の準備をするために子宮内膜を厚くし、同時に子宮の免疫力を低下させる働きもあります。
このような状態で子宮内に細菌が侵入すると、蓄膿症を引き起こすのです。
わんちゃんは妊娠しなくてもホルモンの変化は毎回起こるため、年齢を重ねるにつれこの病気にかかりやすくなります。
発情後、2~8週の時期は特にリスクが高く、4歳以上(15%以上)では注意が必要で、9歳以上の女の子のわんちゃんでは発症率がさらに高まります。
動物病院では、複数の検査を組み合わせて診断を行います。
子宮に膿が溜まっているか確認するのが一番になります。
子宮蓄膿症の治療で最も確実な方法は、子宮と卵巣を摘出する外科手術です。
これにより感染源を取り除き、再発のリスクを防ぎます。
ただし、手術には全身麻酔が必要なため、心臓や腎臓に持病のある高齢のわんちゃんなどでは慎重な判断が求められます。
そのような場合には、内科的治療で一時的に状態を落ち着かせてから、改めて手術を検討することもあります。
手術の注意点とリスク
手術後の注意点として、避妊手術の時と同様に太りやすくなるため体重管理に気を付けましょう。
また、炎症を起こした子宮は非常にもろく、少しの刺激で破れてしまうリスクがあります。
そのため、手術は通常の避妊手術よりも広範囲にわたり、慎重な操作が求められます。
さらに、感染による毒素の影響で、DIC(播種性血管内凝固症候群)や腎不全を併発するリスクもあるため、術後の経過観察も重要です。
「開放性」の子宮蓄膿症の場合、子宮内の膿がほとんど排泄されていて貯留がごくわずかで、なおかつ全身状態が良好といった限定的なケースでは内科治療を行うこともあります。
また、「高齢で麻酔に耐えられない」、「子供を産ませたいので子宮を取りたくない」などの場合、子宮を収縮させ黄体期を終わらせるホルモン剤を注射して、点滴を行うことがあります。
ただし、再発する可能性はあるので毎回、発情後の2か月間は子宮蓄膿症の症状が無いか注意が必要です。
一方、「閉鎖性」の子宮蓄膿症の場合は、多くが膿を排泄させることができないので内科治療は行えません。
外科手術をして卵巣子宮を摘出する場合、子宮が破裂していて腹膜炎を合併している場合など、重症度によって費用は大きく変わってきます。
外科手術を行うと入院日数が数日となる事が多く、犬種や体格、年齢によっても異なりますが、おおよそ20~30万円ほどになります。
子宮蓄膿症は避妊手術で予防できる病気です。
妊娠させる予定がないわんちゃんであれば早めの避妊手術を検討しましょう。
早めに避妊手術をすることで子宮蓄膿症だけでなく、乳腺腫瘍の発生率も大幅に下げることが期待できます。
また、愛犬が避妊手術をしておらず子宮蓄膿症がご心配な方は、発情周期(生理の出血)を記録しておきましょう。
前述したように、発情周期のホルモンによって子宮蓄膿症にかかりやすい時期があります。
発情出血が確認された後、1~2か月くらいは体調に気をつけたい時期です。
食欲や飲水量を確認し、気になる変化があればすぐに動物病院を受診しましょう。
避妊手術にはリスクもありますが、健康な時期に計画的に行うことで体への負担を最小限に抑えられます。
わんちゃんの健康と長生きのために、予防的な手術もご検討ください。
子宮蓄膿症は命にかかわる怖い病気ですが、早めに気づいて治療すれば、助けることができます。
「元気がない」
「おりものが出ている」
など、ちょっとした変化が大切なサインです。
避妊手術を受けるか迷っている方も、まずは一度お気軽にご相談ください。
避妊手術を行わない理由として、「元気な身体に手を加えることに抵抗感がある」という飼い主さまからのご意見があります。
このお気持ちは、正当で明確な理由だと思います。
しかし、避妊手術を行う1つの理由に「病気の予防」があることも理解しなければなりません。
もし、愛犬が歳を重ねて抵抗力が落ちて子宮蓄膿症にかかった場合、命の危険と隣合わせで手術に臨む必要があります。
避妊手術であれば、身体が元気なうちに最も低リスクで手術を行うことができます。
このような病気の予防効果よって避妊手術を行った方が長生きするというデータも存在します。
今回のブログ記事を読んでいただいた飼い主さまの中で、愛犬の避妊手術を悩まれている方がいらっしゃったら、この記事が1つの検討材料になれば幸いかと思います。
手術の判断に悩んだ際は納得がいくまで相談にお付き合いいたしますのでお申し付けください。
当院では、丁寧な診察とわかりやすいご説明、手術後のフォローまでしっかりと対応しておりますので、安心してご相談ください。
この記事の執筆・監修
執筆:菊地(さ) 愛玩動物看護師
監修:吉窪 獣医師
吉窪(獣医師)
これまでに、金魚、シマリス、ポメラニアン、猫と一緒に暮らしてきました。
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